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新緑騎士団  王都No.1人気の騎士団に男装して潜入し、生き別れた兄を探します  作者: 北村 清
第三章 新緑騎士団の見習いの見習い

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見習い生活三日目(2)

「えっ!」

フロルは身を乗り出した。


「重要な情報って何?何⁉︎」

「んー。ちょっと、ここでは。もっと人のいない所に・・。」

「じゃあ、北館裏の倉庫に行こう。不用品を置いてある物置なんだけど天井が高くてロフトがあるから、そこで着替えたりしているんだ。

さ、こっちこっち。」

フロルはそう言って、リーリアを手招きした。


倉庫へ入り、ロフトに登ってからリーリアは周囲をぐるぐると見回した。さすがは掃除好きのフロルのアジトだけあって、清潔に片付けられている。リーリアは一枚の紙を差し出した。

「何、これ?」

「新緑騎士団事件があった時の第一隊メンバー全員の名前。オトフリートさんに聞いたのよ。」


オトフリートは、くだんの事件のおりの第一隊隊長だ。

現在は騎士団をやめ、石屋さんの婿養子となっているが、その石屋が今グリューネバルト邸の改修工事をしている為、リーリアはオトフリートとすっかり仲良くなっているらしい。


「オトフリートさんを含めた8人のメンバーが、もう騎士団を辞めているらしいけど、まだ12人は残っているって。だから、その12人を探してみて。もしかしたら、亡き伯爵様に瓜二つって奴がいるかもよ。」


うんうん、とうなずきながらフロルは疑問に思った。


「一年半の間に8人も辞めたの?」

「元々、ここの騎士団は地方出身者が多いのよ。というかさあ、ぶっちゃけ騎士団作って募集かけて人数少なかったらサマになんないじゃない。だから、王太子様が自分の派閥の田舎貴族に声かけて、地方の有望株を出向させたのよ。でも、今はもうそれなりに人数いるでしょう。王太子様への義理は果たしたし、例の事件で名をあげてハクもついたし、田舎に帰って元の御主人に仕えてるってわけ。」

「なるほど。」

「そいつらの事を詳しく調べる為に、ウィンクラー夫人が故郷のわかっている奴の所に調査員を派遣しているわ。ただ、故郷がわからないって奴が何人かいるのよ。オトフリートさんがド忘れしててね。」


「そうかあ。で、もう一つの情報って?」


リーリアは一瞬黙り、前後左右、足元に天井まで見回した。

それからフロルに顔を近づけ、声をひそめて言った。


「グリューネバルト領のアイゼナッハ夫人から連絡が来たの。アイゼナッハ夫婦は、伯爵の昔の友人知人に連絡をとって、情報を集めて回っているんだって。狙い目は、友人知人の中でももう亡くなっている人。その遺族に会って『伯爵様が昔出した手紙を回収しています』って言って手紙を返してもらっているらしいの。まあ、重要な手紙はなかなか見つからなくて、わりと見つかるのはしょーもない内容の手紙ばかりらしいんだけど。でも、重要な手紙がやっと見つかったらしいのよ。」

「重要な手紙って?誰に宛てた手紙だったの?何て書いてあったの?」

「そこまで詳しくは書いては無かった。だって、隠し子を探しているのは絶対秘密なんだから、一から十まで詳しく書いて、その手紙を誰かに見られたり盗まれたりしたら一大事でしょう。だからいろいろ、ぼかしぼかしにしか届いた報告書には書いてなくて、まあでも要するにね。あんたの双子の兄弟には養父はいるけど養母はいないんだって。それだけは確かみたい。」


何だかよくわからないが、アイゼナッハ夫婦も何らかの確かな証拠があってそう報告して来たのだろう。今はそれを信じるしかない。


「けっこう、これは決定的な情報よ。だからあんたも、今も騎士団内にいる12人を探して親の話を聞き出すのよ!」

「わかったけど、その手紙っていつ頃出された物なの?その手紙が出された時は母親がいなかったけど、今はお養父さんが再婚してて継母がいるとかあるかもしれないじゃない。」

「ああ、時期はわかっている。五年くらい前よ。あんたの両親がちょうど死んだ頃。」

「そうなの?じゃあ、この騎士団が出来た前後って事だよね。他にわかっている事は?どんな小さな事でもいいから!」


「そんな所で何してんの?」


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