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新緑騎士団  王都No.1人気の騎士団に男装して潜入し、生き別れた兄を探します  作者: 北村 清
第三章 新緑騎士団の見習いの見習い

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入団初日

新緑騎士団。


王太子フリードリヒ直属の、その騎士団が結成されたのは今から5年前の事である。


設立当初はさほど大きな騎士団でもなく、つい2年ほど前まではメンバーは50人にも満たなかった。

しかし1年半ほど前に起こった新緑騎士団事件以降、王都屈指の人気の騎士団としてメンバーは膨れ上がり、現在では騎士見習いも含めて200人以上の人数がいるそうである。


彼らは王都の治安を守る為、日々精進を重ねている。それと同時に、王太子直属の親衛隊でもあり、いざ王太子の身に何かあったら王太子の盾となって働く事になるのだろう。ある意味王太子の指先一つで右にも左にも動く、王太子個人に忠誠を誓った私兵集団なのだ。


新しい騎士見習いの募集は年に一度行われる事になっていて、今年はフロルを含め33人の新人が集まった。


その33人の中から新緑騎士団に相応しい人間だけを選ぶ為、お試し期間が二週間とられるのである。それをクリアしたら更に何年か厳しい修行をし、騎士としてその後認められるという訳だ。


指定された時間に団舎に来たフロルは、きょろきょろと周りを見回した。

一目見て思ったのは、みんな若いなあ。という事である。というか見た感じ、自分が最年長なのではあるまいか?

だいたい皆、12歳から14歳くらいなのである。10歳くらいじゃないだろうか?という男の子もいた。


それくらいの年齢の男の子というものは、まだ見た目も可愛らしいものである。

ヒゲも生えてないし、喉仏も目立たない。まだ変声期を迎えていない子供もいっぱいいる。一瞬、女の子と間違えてしまいそうな可愛い男の子もいたりして。これならはっきり言って女とバレる可能性は絶対に無いな。とフロルは安心していた。


しかし、用心は大切だ。


男は皆、獣だ。危険だ。というウィンクラー氏の意見はともかくとして。やはり女という事がバレたら、グリューネバルト家の迷惑になるのである。

バレない為にもとにかく目立たないよう、これから2週間大人しく過ごさなければならない。しかし『兄弟探し』にも励まないといけないし。そんな事を考えているとフロルはすごく緊張してきた。

ウィンクラー氏の猛反対を押し切って来てみたのは良いけれど、本当に自分に出来るだろうか?だいたい2週間どういう事をするのだろう?


走り込みとか、腕立て伏せ300回。とかだろうか?


周囲の男の子達は皆自信にあふれて堂々として見える。品もあるし、頭も良さそうだし。何というか貧乏臭そうな雰囲気が全然無いのである。

きっとみんな、それなりにいい家の子達なのだろう。


自分って、あらゆる意味で浮いているなあ。

と、フロルはどんどんと暗い気持ちになってきた。


そうこうしているうちに、騎士団長と副団長、それに昨日会った栗色の髪の男の人がやって来た。


騎士団長が栗色の髪の青年を皆に紹介する。

「彼の名前はアレクサンデル・カイトだ。後方事務隊の隊長を務めている。君達の事は全て彼が指導していくので、2週間の間何においても彼が指示する事を聞くように。」


33人の66の瞳がアレクサンデルに集中した。


「それでは、まず。」

とアレクは言った。


何だろう、何だろう?走り込みか?腕立て伏せか?それとも懸垂か、一発芸か?


「団舎内の掃除をしてもらうから。はい、ついて来て!」

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