表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
26/26

最終話 いつも通りの日常へ

そして幾日か経った頃。

 

紗良はすっかり仲良くなってしまった三人の侍女たちと厨房にいた。

熱々の釜からは、こんがりとバターが焼きあがる香りが広がってくる。

  

「ほんとに信じられない!紗良さまったら」

「自分の婚約発表パーティーなのに、料理作りなんて!」

「あんなに素敵だったあのドレスも着ないのよ。……でも、本当にうれしそうね」

 

「ほらほら、焼きあがったから次のトレーを用意してね。約束どおり、こき使うからね?」

「「「はーい」」」

そういわれ、厨房からたくさんの笑い声が広がった。


ジュウジュウと焼けるカラメルの音、シュワシュワと弾けるソーダの音。

ほっぺたが落ちるような、絶妙な口どけのアイスクリームが優しく溶ける。

そして、口に含んだ瞬間ほのかに香る芳醇なバニラ。


一口食べた後のみんなの恍惚とした表情が思い浮かぶようだ。

 

紗良はちらりと机の上のレシピ本を見た。

  

 ――そう。まだ、あちらの世界に未練はある。

 ただ、自分の元の世界は、もう遠い思い出になりつつある。


あの時もし葵の手を取ってなかったら、と思うこともある。

でもあの決断は後悔していないし、これが、成長したことなのか、諦めたことなのか、自らがそう選択したことだからなのかはわからない。

 

 でも、こちらの世界での居場所が――今はもう、大切な人たちがいる。

 それは、やはりこちらの世界でのみんなが、とてもいい人たちだからであろう。

 そして、これからたくさんの、この世界での楽しい思い出を――増やしていこう、とそう確かに思う。


 食卓の上に並ぶ温かな食事を前にみんなが待ちきれないとソワソワし始める。

 

「じゃあ、食べよっか!」

 

 紗良は嬉しそうにみんなに声をかけた。

 

「ね、故郷の、食べるときの合言葉だっけ?」

「そう――じゃあ、みんな一緒に」

「「いただきます」」



お読みいただきありがとうございました。

次回作を執筆中です。

10万字予定で、完結したら投稿予定です。


また、短編もいくつか執筆中です。


レビュー、コメント、評価どれも嬉しく思います。

お読みいただいた方、心より感謝いたします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ