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第20話 想定外?想定通りの円舞曲

広間は軽やかな音楽が鳴り響く。


どうやら支度が遅かったらしく舞踏会はすでに始まっていて、色とりどりの男女たちが悠揚と踊っていた。

誰よりも目を引いたのは聖女たる葵だ。

華やかで淡いシャンパンゴールドのドレスは上品で実によく似合っている。

 主役たるエドワード王子や葵に軽く話しかけ、会話をする人をかわしながら、ゆっくりとレオナルド王子を探す。

 シア姫を視界の端でひろい、同じ年頃の男の子にプレゼントを渡している姿を確認する。


――成功しただろうか。そう考え、思わず笑みがこぼれる。


やがて、視界の端に一人佇むレオナルド王子を見つけた。

近寄って話しかけようとした瞬間、誰かが遮る様に視界に入ってきた。


「なんて美しいお嬢さん、私と踊ってくれませんか」


 そういわれ男性は紗良の手を掴むようにとった。

 

「いえ、私は……あちらに用がありますので」

「そんなことはいわずに、さあ」


手を振り払おうと強く腕を引くが気にもしない様子で、男性は下卑(げび)た笑みを浮かべる。

紗良はその様子に悲鳴を上げたかったが飲み込み、思わず一歩引き下がった。


「でも私、ちょっと用が」

「ほう、ではどなたに用が?それならば私が一緒に探しますよ」


撫でるように手を触られ、その得も知れぬ気持ち悪さに鳥肌が立つ。

これは限界だと悟った瞬間、男性の手が離れた。


「俺のパートナーだ、触らないでもらおうか」


レオナルド王子は殺さんばかりの表情で男性を睨んだ。

が、よくよく見ればレオは男性の手を軽々と捻り上げているようだった。


「レオナルド王子!そうとは存じませんで……大変失礼しました」


慌てて逃げる男性に、紗良はホッと胸をなでおろした。


「ありがとう……」


息を落ち着かせ、レオナルド王子をしみじみと眺めた。

どこから見ても、端正な顔立ちと美しい肖像画のような立ち姿に、羨ましくてため息がでそうだ。

令嬢たちは周りを取り囲むようにしているが、レオに率先して話しかけはしない。

まあ確かに雰囲気が雰囲気だけに……どうにも話しかけづらいものなのかもしれないな、と紗良はチラリと思った。


「レオ、素敵なドレスありがとう」

「思った通り、とても似合っているな」

「私というより三人の侍女たちのおかげだけれども」


レオは静かに紗良の手を取って星空が見えるバルコニーに移動した。

 

ふいに差し出された手は、月の明りで照らされている。

「人目が多くてあまり広間は好きじゃない。踊るならここで」


そっと手を取り、腰を抱き寄せられる。

 何度も練習したのだが、いまだにこの距離感はどうも慣れない。

 

「だいぶうまくなった、――かもしれない」


レオのリードのおかげでもあるが、足元がかなり危なっかしい紗良は、なんとか踊れている。


「踊るならゆっくり、それに静かな方がいいだろ。あっちは視線が騒がしいからな」


レオは静かに紗良を見つめ、やがて口元を緩ませた。


「ここなら、互いに集中できるだろ?」


その言葉に、紗良はグッと息が詰まり、鼓動が速まった。

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