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50年後の甲子園・最後の丸刈り高校

作者: 山本福志

2073年、夏の甲子園決勝。


9回裏一点差。ツーアウト二三塁。一打サヨナラのチャンスで打席が回ってきた。


気温41度。

俺はプレッシャーを跳ね返すように、バッターボックスで相手ピッチャーを睨み付けた。


その投手の髪型は緑色のドレッドヘアだ。


今年の甲子園に出場した49校の中で、坊主頭はうちの高校だけになってしまったのだ。


年配の人に聞いた話では、50年前の慶應高校の優勝以来、球児の髪型の自由化が加速したらしい。高校球児の外見に対する価値観は、その頃と比較にならないくらい変わってしまった。


だけど俺は信じている!

高校球児は丸刈りであるべきだと。

古風だと陰口をたたかれようとも。


この試合は、名誉ある優勝をかけた試合なのは言うまでもないが、甲子園には坊主頭が適しているということを証明するための戦いでもあるのだ。




だから、、、、



髪型なんかにうつつを抜かしているチャラいチームには絶対に負けられない!




ピッチャーの手からボールが放たれた。


来た!

得意なコースだ。


バットを振り抜く。


鋭い打球が飛ぶ。


しかし、サードを強襲したライナーは、不運にもノーバウンドでグラブにおさまった。


試合終了。


丸刈りの俺たちの夏が終わった。




俺は、びっしりとタトゥーの入った両腕で汗と涙をぬぐった。




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