第四話 エアコンに踊る
暑い夏がやってきたので、エアコンを使うことにしました。
節電には自動運転がいいというので、リモコンにあるだろう自動運転ボタンを押そうと思いました。
無い。
そんなボタンは無い。
念の為にリモコンの裏、横を見るものの、あるのは冷房、暖房、除湿、送風ぐらいだ。
後は風向きとか節電モードとか、いわゆる自動運転機能の為のスイッチが見つからない。
説明書を読むも、そういった機能は無いようだ。
恐らくだが、風向き、風力等が自動か手動かの違いのようだけど、ハイエンド機なら完全自動があるのかもしれない。
残念だ。
まあいい。
私は恭しく、リモコンをエアコンの方に向け、冷房スイッチを強く押した。
すると、エアコンは力強く稼働し、部屋を見る見る涼しくする、はずだった。
動かない。
正確に言うと、吹き出し口が少し開くものの、うんともすんとも言わない。
おい?
仕方が無いので、再び説明書を読むことにした。
よく、分からない。
もしかして、不良品か?
しばらくすると、エアコンの吹き出し口から風が出てきた。
一体、何をしていたんだと思ったら、どうもセンサーで色々と確認していたようだ。
小さなカメラみたいな突起が、右に左に回っていたからだ。
もしかして、右往左往している私を見て、少しいじわるしてやろうと思ったのだろうか?
将来、エアコンに高度なAIが搭載されたら、もしかしたらそんな機能が搭載されるかもしれない。
少し、からかってやろうと。
だったら、何か言えよ。
とは言え、無事に動いたので安心したけど、吹き出すその風量が普通では無かった。
写真立てなどの倒れやすいモノは軒並み倒壊し、ああ、こんなモノまであったのかと、家主である私を驚かせてくれました。
音を立てて倒れるまで、存在に気付かないぐらいなんだから、いい加減処分しろよと言われるかもしれませんが、まあ、大目に見てあげてください。
というか、すごくない?
ゴーという音と、吹き出し口から出てくるすさまじい風はひんやりとした風で、室温はあっという間に29度台まで下がった。
さっきまで、33度もあったのに。
さすが、15年後の最新機種だ。
時代は変わるなあ。
タイムスリップしてよかったと、そう思うことにしたけど、これって本当に省エネ?
電気代がどうなるかは、月を跨がないと分からない。
一応、工事業者を信じよう。
今は、この涼しさを満喫しよう。
すると、室温が28度台まで下がると、エアコンは静かになった。
便利だ。
いちいち風向きを変えなくていいというのも、ありがたいと思う。
エアコンを買い換えて、良かったと思う。
しかし、問題は夜に起きた。