第三話 15年前で止まった時間
購入したエアコンの取り付けの前に、古いエアコンを取り外してもらった。
すると、工事をする業者が、面白いことを言った。
「へ~、これは15年前の機種ですね。よく、持ちましたね」
「え?そうなの?」
「はい、ここに製造年が記載してありますよ」
私は業者の言うままに、その製造年を見た。
確かに、15年前の機種だった。
「これじゃ、冷えないでしょう?」
「まあ、そこそこは冷えましたけどね」
「きっと、電気代でびっくりしますよ」
「そうなんですか?」
「ええ。楽しみにしていてください」
ここで初めて、気が付いた。
そう、私は15年前から、今にタイムスリップしたようなモノだったのだと。
だから、今のエアコンのことが、まったくと言っていい程、分からないのだ。
エアコン清掃業なんて仕事が成立する理由も、よく考えれば分かるはずだった。
だって、下からフィルターを引っ張り出して水道で洗って済むなら、誰も業者にエアコンの清掃をお願いしたりしないだろう。
つまり、専門業者が必要になるということは、素人ではどうにも出来ない機能が、今のエアコンに備わっていたとそういうことなんだろうから。
これは他でも言えることだけど、それはまた機会があれば書きたいと思います。
エアコンに振り回される日々が、こうして始まるのでした。