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第一話  私は知らない

 暑い。

 本当に暑い。


 外気温が38度、室内温度が33度。

 窓を開けて換気せよというが、冗談じゃない。

 節電なんて、言ってる場合か。死ぬぞ、これは。

 外を頻繁に走る、救急車のサイレンの音を聞けと言いたいけど、電気代が心配だ。

 とは言え、三年前に買い替えたエアコンは、実に優秀だった。



 今回は、そのお話をします。

 あついという言葉は日本語の表現としては古くからあり、漢字は後から付けられたそうです。


 かつての日本には文字が無かったので、今使っている漢字の大半は、中国語の転用です。

 ただ、意味をそのまま流用した訳もなく、ただの音が近いと言う理由で使った当て字だったり、中には日本オリジナルの漢字(国字)もあったりと、少々ややこしくなっていますけど。


 とは言え、漢字の導入のお陰で、文章が分かりやすくはなりました。


 そうでないと、”あつい”と文書で書かれても、熱いのか暑いのか、それとも篤いのか、または厚い等々、よく分からなくなるそうですが、昔の日本人は特に困らなかったみたいです。


 だって、字が無ければ文書化する必要は無いし、”いま”、”ここ”でやり取りする為のツールが、言葉だったんですから。


 ちなみに、さむいは後から増えた表現だったそうですが、それまでは、つめたいイコール寒いだったそうです。

 いと、つめたしだったかな?

 だからさむいという表現が創造されなかったら、今日はつめたいですねとなったかもしれません。

 その意味で、現在進行形で様々な言葉が生まれていますが、それは悪いこととは言えないと思います。


 ただ、付いて行けるかどうかで会って、古い人間は取り残されるだけでしょう。


 そしてその若者も、いつかは古い人間のカテゴリーに入るものだからです。

 

 だからそれを日本語の崩壊とか、日本語らしくないとは、ならないのではないかと私は思います。

 新しい言葉は、いつか古い言葉になるだけですから。


 そんなことを考えながら、この文章を書きました。

 

 ふらふらするぐらいに暑くても、そんなことを考えられる内は、私はまだ大丈夫ということだろう。

 基本、夏は強い方だし。


 しかし、近年エアコン無しはあり得ず、暑い夏もエアコンはおおいに活躍してくれました。


 だが、いつかは寿命が来るものです。


 一応、我が家のエアコンは部屋を冷やしてはくれたけど、電気代がすさまじい。


 政府からの節電の呼びかけもあり、東電からは省エネ家電への買い換えを推奨してきた。


 余計なお世話と言いたいけど、効かないエアコンはやはり我慢ならない。


 そんな訳で、エアコンを買い替えようと、私は家電量販店に向かった。


 シーズン前だったので、エアコンがどれだけあるか不明だったけど、杞憂に過ぎなかった。


 あるはあるは、壁一面に飾ってあるエアコンの見本。


 有名メーカーから、聞いたことのないメーカーまで、様々なエアコンがあった。


 一応、カタログも入手し、その節電機能を調べた。


 年間電気代も展示品に表示してあり、一目瞭然であるのは有り難かった。


 基本、エアコンの値段が高ければ高い程、省エネ機能は高く、年間電気代も安く出来ている。


 しかし、ハイエンド機はさすがに高く、購入するのに躊躇した。


 だが、安物買いの銭失いと言うように、どうせまたしばらく使うんだから、ここは思い切って買おうと思った。

 こういった家電に、お金を惜しむと必ず後悔するからだ。

 

 一応、店員さんにハイエンド機について聞いてみたところ、意外な事を聞かれた。

「お客様のお部屋ですけれども、エアコン用のコンセントはご用意されていますでしょうか?」

 何だ、そのバカ丁寧な接客は?

「ええっと、一応あります」

「さようでございますか。それでしたら、コンセントの形状はご対応していらっしゃるでしょうか?」

 何だ、コンセントの形状って?

「何ですか、うちは普通のコンセントですけど?ええっと、アース線は使えますけど?」

 業務用って訳でもあるまいし。

「まことに申し訳ございません。この商品でしたら、コンセントの形状が少々特殊でして、他の商品ではいかかでしょうか?」

「え?何が違うの?」

 すると、店員さんはにこにこしながら、慣れた手つきでその変わった形状のコンセントを見せてくれた。

 何か色々と説明していたようだけど、少なくとも私には彼が何を言っているのか、到底理解出来なかった。

 ただ分かったことは、こんなコンセントは見たこともなく、我が家では対応していなかった。

 どうしても使いたかったら、工事が必要だと。

 おいおい。

 逡巡する私を見かねてか、店員さんはおススメを紹介してきた。

「これなら、いかがでしょうか?」

 ハイエンド機を見ただけに、見劣りが過ぎる気がするし、年間電気代もハイエンド機と比べて高い。

 すぐに頭の中で計算したところ、ハイエンド機を使った方が、だいたい10年目ぐらいで元が取れる計算になる。

 しかし、そこに電気工事代は含まれないし、そもそも工事が可能なのか?200Vって、可能なの?

 ああ、悩ましい。

 とにかく、今日は撤退しよう。

「ちょっと、考えます」

「いつでも、いらしてください。ああ、でもシーズン前がお勧めです。工事の手配もありますので、なるべくお早めがお勧めです」

「ああ、はい」

 とにかく、情報が欲しい。



 最新エアコンはもちろん、最新家電について、私はまったく無知だった。

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