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第11話:旅立ち(3)

 2010/04/16 修正版を更新(いくつか表現を修正、大都市の名称を固定)

 目を開くよりも先に体中がズキズキと痛み、痛みに顔をしかめながら意識を取り戻した所長。

なぜこんなに体中が痛むのかと、体の背筋を丸めて痛みに耐えながら思う。

意識を失う前の記憶が軽く飛んでいた彼は、とにかく現状を把握しようと目を開く。

ぼやける視界で辺りを見回すと目の前に黒い塊があってよく分からないがどうやら所長室のようだ。

なぜ私が所長室の床の上に横になっているんだ?

そう不思議に思いながら所長は体を起こそうとするが、どういう訳か何度やっても体を起こす事が出来ない。

所長はよくよく自分の体を見てみるとロープで体中を締め上げられ、まるで芋虫のように手すら出す事が出来ない状態になっていた。


 「ふ、ふがーっ・・・??」


助けを呼ぼうとしたものの口にまで猿ぐつわがされており、どうにかしようともがくものの前に進む事さえできない。

最早どうにもならない状態だった。


 「起きましたか」


突然の声に所長は声がした方を向くと、黒い塊に見えていた物が動き出す。

黒い塊は言葉を合図に動き出すと人の形へと変わっていくと、所長の寝ぼけている目でもよく分かる位置まで顔を近づけてきた。

目の前にいたのは笑ってはいるもののどこか引きつったような表情をしている『旅人』だった。

その顔を見た途端、所長は直前の記憶を全て思い出し、現状を理解した。

つまり、自分は今、『旅人』に捕えられているのだと。


 「ふが!ふががが!フーッフーッ!」


 「少し黙っていた方がいいですよ、まだ僕も毒が消えたわけではないですし、痛みや痺れがずっと続いているんです。うっかり血でも入るような事があったら・・・」


後は分かるよね?、と血管が浮き出そうなほど怒ってはいるがまだかろうじて笑顔で堪えている瞬。

それを見た所長はその意図を察し、冷や汗をかきながらとりあえず黙る事にした。

根元から気の優しい瞬が本当に怒ることなど生まれてこのかたありはしなかった。

だが、今がその初めての瞬間になるのではないかというほど瞬の頭には怒りが溜まりこんでいた。

まるでガソリン塗れでマッチを擦るような危険を感じた所長は、とにかく機嫌を損ねないようにするべきだと石になったかのように動かず、ただ彼が何をしているかを見ていた。

瞬は所長の食らわせた毒から『旅人』の力により回復しているようだ。

だが、回復には時間がかかるらしくフラフラとした足取りで机や棚を漁っている。

しばらくすると目的の物は見つからなかったのか瞬は探す手を止め、千鳥足のような足取りで所長へと向かって歩いてくると所長の顔は恐怖に歪む。

その場から逃げろと生存本能が所長に告げる。

それに従って芋虫状態のまま転がって逃げようとしたものの、いつの間にか先回りしていた瞬に足蹴に止められてしまった。


 「ふ、ふが、ふがががが!」


 「一体、どこに行こうというんですか?それとも、天国に・・・いや地獄に送ってほしいと?」


 「んーっ!んーっ!」


所長の目尻には涙が滲みだし体中がガタガタと痙攣し始めていた。

もう私の命はここで終わるのかと死を意識し始めていた。

だが、それをあっさり無視するように瞬は猿ぐつわを外すと所長室の奥へと転がしながら移動させる。


 「ゲホッ、ゲッホ!わ、私をどうする気だ!?」


 「『W2』について知っている事を全て喋ってもらいます。そうすれば命は助けましょう。どうですか、『白い世界』神灰市支部、所長さん?」


所長は事前に上から聞いていた『旅人』が別人へと変わったのを思い出す。

そして質問の内容からまだ無知な『旅人』が知識を仕入れようとここに来たのだろうと考える。


 「い、いいだろう、何が聞きたい?なんでも答えてやる」


 「そうですか、あっさり了承してくれて助かります。では、『W2』の日本支部はここで合っていますか?」


やはりか、と自分の考え通りである事を所長は確信した。

すかさず所長は短い間に嘘で言いくるめて誘導する事を考え付くとすぐさま実行に移す。


 「い、いや、ここはただの表向きの場所だ。本当の場所は(ビーッ!)」


突然、所長の言葉を遮るように所長の足元付近から電子音が鳴る。

不思議に思った所長を余所に、それを聞いた瞬はゴム弾の装填されたM92FSハンドガンを所長の体に向けるとためらいなく引き金を引く。

ボクサーにでも殴られたかのような痛みと衝撃が所長の腹部を襲い、予想だにしていなかった衝撃に思わず咳き込む。


 「ゴフッ!ぐ、ぐぅぅ・・・」


 「嘘は吐かない方が身のためですよ。嘘はすぐに分かりますからね。あなた達のご自慢の機械でね」


その言葉でピンと来た所長は痙攣したまま足元を見る。

そこには尋問用に使う最新の嘘発見器が置かれておりその先端が所長の足に取りつけられていた。

性能については既に何度も使った事がある所長からすればとても信頼できる物であった。

だが、使われる側となっては嘘を離す事をできなくするという非常に邪魔な存在でしかなく、都合の悪い事まで話してしまう事に青ざめた所長は慌てて訂正を行う。


 「そ、それは不良品で(ビーッ!)」


途端に躊躇なくまたゴム弾が撃ち込まれると、所長は悶絶しながらその場を転がる。


 「節操のない人だ。僕も好きで撃っているわけではないんですよ。ただ、貴方が素直に答えないから悪いんです」


ここで知っている事を全て放せば、『W2』からの粛正により自分の命はすぐになくなる。

だが、ここで黙り続ける事によって目の前にいる『旅人』から何度か痛めつけられようが、所詮は命を奪った事もない一般人。

命を取られる事まではないとたかをくくった所長はこのまま時間稼ぎを行おうとする。

そうするはずだったのだが、所長が涙交じりの視界で立ちながら背中を向けたままの瞬を捉えるとその考えは一瞬にして変わった。

目の前に立っていた瞬からオーラとして実体化しそうなほど溢れだすどす黒い雰囲気が辺りに立ちこめ、所長は部屋の温度がまるで氷点下にでもなったのかと思う寒さを感じた。

そして、まるでホラー映画のようにゆっくりと振り向いた顔に所長は鬼を見た。


 「ひ、ひぃぃぃ!お、鬼ぃ!」


 「アッハッハッ、やだな鬼なんて・・・。まぁ、鬼になるかはどうかは・・・ね?」


 「た、助けてくれーーーー!!!!」


 「アッハッハッ、ハーッハッハッハッハ!」


狂ったように笑い続ける瞬により所長室の扉はゆっくりと閉じられる。

そこからずっと悲鳴と銃声、時には鈍い音が聞こえたりしたのは言うまでもない。





 ようやく瞬は毒から完全に回復し、痛みと痺れが取れる。

白目をむきながら涙を流して失神している所長をそのままにし、所長室を出ると顔をパチンと両手で叩く。


 「う、うーん、僕にもあんな一面があったとは。できれば、今後は気をつけよう・・・」


さすがにやり過ぎたのかもしれないと反省をする瞬。

自分が殺される寸前まで追いやられた事で怒り、更に途中からはそれに悪ノリまで加わってしまったため仕方ないとは思える。

だが、まるで性格が180度変わってしまったかのように変貌した瞬は、時には所長の苦しむさまを楽しんでいた時まであった。

それは怒りが頂点に達したからなのか、実は2重人格なのか、それとも『旅人』の力による自己防衛なのかは今はまだ謎である。

今度はこうならないように気をつけると決めた瞬は、頭の中で涙目の所長から聞き出した情報の整理を行う。

聞き出せた情報としては以下の通りだった。


 ・『W2』とは『白い世界』の一部が『旅人』の力を奪う事を目的として活動している組織であり、その規模は世界全体に及ぶだけでなく、政府や国にまで影響力を持つ。

 ・表側の世界平和を謳っている『白い世界』は『旅人』や魔法の事を知らず、純粋に募金活動や援助活動を行っているだけのただの隠れ蓑である。

 ・日本支部は表側としての支部であり、『旅人』を追う方の、瞬にとって本物といえる支部はある山中の地中に建造されている。

 ・所長の立場は日本の中で上位の方ではあるものの、その上には日本支部の司令官、更にその上も存在している。


これで大体の事を把握できた瞬はここからそう遠くはない日本支部へと向かうのを決める。

そして、廊下からまだ何人もの隊員が横たわっているホールを横切り、外へと出る扉を開く。

すると、いきなり大量のライトが瞬を照らし、眩しさに目が眩み腕で目の前を覆う。

目を覆いながら何が起こっているか見ようとすると、ちょうど先頭に立っている男が腕を振り下ろすのが見えた。


 「撃て!」


様々な方向から銃声が鳴り響き、大量の弾丸が瞬目がけて飛んでいくものの瞬がすばやく展開した盾に阻まれ、弾は次々に弾かれていく。

だが、それでも攻撃の手は止むどころか更に激しくなっていき、グレネードランチャーやロケットランチャーなどの重火器による攻撃まで加わる。

あまりにも激しく続いたため、爆発によって上がった黒煙が瞬の周りに溜まり、瞬からは周囲の状況を探れないほどに視界を悪くする。


 「いきなり激しい事です・・・ね!」


瞬は黒煙を吹き飛ばすように空中へと飛び上がる。

すると『白い世界』の敷地内をホールにいた人数の比ではない大量の隊員で埋め尽くしているのが見える。

あまりの多さに瞬はどうするべきか戸惑っていると、下にいる隊員達は空中の瞬を狙って銃の照準を上に向けると引き金を引く。

瞬はそれに対抗するように閃光手榴弾を大量に生成すると、豆まきでもするように辺りに下へとばら撒く。

弾幕の間を縫う様に地面へと落ちた閃光手榴弾は大音量と閃光を伴って爆発する。

今のうちにこの場を離れようとした瞬だったが、下からの攻撃は一旦は途切れたもののすぐに再開され、大量の弾丸が盾に次々と当たる。

あまりにも早すぎる反撃に瞬は近くのビルの屋上に降りて隊員達をよく見てみる。

どうやら隊員達は遮光ゴーグルに防音用のヘッドホンをつけているようで、瞬もそれとなくその装備が何かを察する。


 「僕の攻撃に対する対策、ですかね。全員眠らせるのは厳しいし、人を殺したくはないし・・・」


実際、瞬がその気になればここにいる全員を殺す事は可能だ。

巨大な重火器をいくつか作り出してもいいし、さっきばら撒いた閃光手榴弾を手榴弾に変えてもいい。

被害を気にしないなら爆弾を作り出して一掃するのも可能だろう。

最も気優しい瞬にそんな事が出来るはずはなく、圧倒的な火力をあえて使わずに生かしたまま戦闘不能にするというのは、戦闘の素人である瞬には閃光手榴弾が封じられてしまった時点で難しい。

それを銃弾の雨の中で瞬は目を閉じて深く考え込むと、どうするか決めたらしく目が見開かれる。


 「支部まで逃げよう。それでは!」


下の隊員達に瞬はにこやかに手を振ると反対を向き、ビルの上からまた上空へと飛び上がる。


 「あっ!あの野郎・・・!全員追え!逃がすな!」


笑ってみせたのがよほど癇に障ったらしく、隊員達は止めてあったバイクや車へと乗り込む。

けたたましいエンジン音を上げながら次々に発車していくと、瞬が飛び去った後を猛スピードで追う。

ビルから降りて道路上を走りだした瞬がやたらうるさい音に後ろを振り返ると、そこにはバイクや軍用車、更にはヘリまでもが瞬を追いかけてきていた。

更に隊員達は追いかけながらも瞬目がけて銃を撃ち続ける。

銃弾はやはり盾によって弾かれるが、それよりも大量の追手というのが瞬に焦りを生む。

そのせいか瞬の走るスピードは出せる限界まで高まり、およそ100km/h近い速度を出しながら支部を目指して走り続ける。

当然、後ろからついてくる車やバイクもその速度を出し続ける。

だが、そもそも道路はそんな速度で走り続けられるよう設計されておらず、急に止まったり曲がったりができる瞬とは違い、車とバイクは急カーブがあるたびに次々に操作を誤って追う列から消えていく。

瞬は周りが森から平地の何もない所に抜けると、後からついてきている車やバイクの数は半分以上に減っていた。

追撃の手は少しだけ緩んだもののそれでも攻撃自体は止まない。

そのうち目的地である山が見えてくると隊員達は瞬の狙いを察知したのか、前からも大量の軍用車が迫ってくると瞬を包囲すべくバリケードのように行く手に何台も展開していく。

その間を縫うように大量の隊員が現れるとまた銃かと思っていた瞬だったが、一人が速度を考慮しながら調整して閃光手榴弾を投げる。

こちらから投げる場合は意識していたため特に問題なかったが、向こうからの攻撃としてはこれが初めてだった。

そのため、爆音はまだ耐えられたものの光に目が眩むとすぐにその場で足を止める。

隊員達は足を止められた事に喜んだものの、後ろからついてきていた車とバイクは急に止まる事が出来ず、次々にバリケードの車に衝突していく。

瞬をそのまま轢こうとした車もいたが盾によって弾かれ、弾と同じように違う方向へと弾き飛ばされる。


 「今だ!囲め!」


それでもめげずに隊員達は目のくらんだままの瞬を取り囲む。

効かない銃をしまいこみ、代わりに肩に取り付けてあった鞘から刀身が少しだけ普通の物よりも長いアーミーナイフを抜く。

どことなくボンヤリと紫色に光っているアーミーナイフを全員が逆手に構え、一斉に膝をついて目を押さえている瞬目がけて突き刺す。

本来ならば刺さった瞬間にアーミーナイフに封じ込められた魔力が相手の体内へと入り込み、傷口は小さくてもそこから内部を猛獣にでも食い荒らされたかのようにズタズタにまでするという一撃必殺であるはずだった。

だがその刃は瞬の体に1mmの傷も付けることなく、また瞬の肌に触れる事もなく盾によって弾かれる。

それどころか空中で止まっているように見える刀身は次々と簡単に折れていく。


 「ちぃ!これでもダメか!」


折れたナイフを見て隊員が舌打ちをしながらナイフを投げ捨てる。

その間に回復した瞬が立ちあがり、隊員と目があった瞬間にまた自然と笑顔を浮かべる。


 「こ、こっ・・・この野郎!」


その笑顔が目のあった隊員の逆鱗に触れたらしく、隊員はホルスターからデザートイーグル(ハンドガン)を抜くとその万人受けしそうな笑顔を掻き消すように撃ち続ける。

当然、弾は全て盾に弾かれていき、弾切れになるとそこには無事だがなんで怒っているのか分からずキョトンとした瞬。

そして、流れ弾で手や足を負傷して横たわりながら恨めしそうに睨んでいる彼の仲間達がいた。


 「あ・・・ああっ・・・」


 「えーと・・・。じゃ、そういうことで」


瞬はその場から逃げるように飛び上がるとバリケードを悠々と越えて、支部めがけて一目散に走る。

その後をヘリが追いかけていくが車やバイクはほとんどが使用不可能な状態であり、使用できるものもバリケードのおかげで前には進めそうにもない。


 「あれが『旅人』か・・・!畜生!あんなの反則じゃねぇか!」


瞬を追うように指示を出した指揮官は頭に載せた指揮官の象徴でもあるベレー帽を取ると、力任せに地面にたたきつけ、その場に力なく膝をついた。

夕暮れの中に傷ついた隊員達が呆然と立ち尽くすさまはまるで終戦した時の兵士のようであった。

隊員達が諦めると同時に、暴走した隊員の処理も含めた後処理を始めたのはこれから1時間後の事であった。





 時は2時間ほど巻き戻る。

瞬が神灰市を目指して南下していたころ、瞬がいなくなった病院では入院患者がいなくなったという事で大騒ぎしていた。

病院のスタッフ総出で病院中を探し回ったもののどこにも見当たらず、病院周辺の捜索が行われていた。

その捜索には親友の賢悟と幼馴染である花梨も心配から加わり、どこにも見当たらない瞬を土地勘はないものの探していた。


 「おーい、瞬!出てこいよ!・・・くそ、あいつどこいったんだ?」


 「うん、何かあったのかな?」


 「何か・・・ねぇ?誘拐されたとか?」


 「それはないと思うよ?瞬は孤児だし、孤児院からはもう独立してるんだから。それよりも事件に巻き込まれちゃったんじゃない?」


2人の頭の中には過去にもその馬鹿がつくほど気が優しすぎる性格が災いして、逃げていた犯人がつまずいたのを助けてそのまま人質に取られたのを思い出す。

他にも日常的なトラブルには毎度毎度巻きこまれてしまい、それが勘違いを招いてトラブルメーカーの呼び名まで一部ではついていた。


 「「・・・あり得る」」


2人して同じ事を言いながら同じように頭を項垂れてため息をつくが、それならそのうち帰ってくるだろうとも安心できていた。

なぜなら、その優しさから関わった人達を癒し、トラブルを納める上で非常に役に立っているのも事実だからだ。

人質に取られた際は人質とは思えないほど不思議と落ち着きながら犯人と話をし、最後には自首を促された犯人は瞬にお礼まで言うと瞬を解放し、追っていた警察官に自ら両手を差し出していった。

まさにネゴシエーターのような働きに周りのやじ馬から惜しみない拍手をもらっていたのが2人の脳裏をよぎる。


 「君達、この子を知らないか?」


突然、温和なムードをぶち壊すように目の前に黒いスーツの男が現れ、一枚の写真を2人に向かって見せていた。

怪訝な顔を浮かべる2人。

写真を見てみるとそこには演劇で着る様な古ぼけた中世の服を着ているが見覚えのある顔があった。


 「瞬じゃないか。瞬を知ってるんですか?」


 「ほう、君達この人を知っているのかね?」


 「知っているも何も俺達は小学校からの親友だ。今はどこにいるか知らないけどな」


礼儀正しくはあるがどこか得体のしれない男達に賢悟は語尾を強めて話す。


 「どこにいるか知らない、とは?」


 「彼、私達と同じ病院に入院したんですけど、昨日の夜からいなくなっちゃって・・・」


そこまで聞いた所で男の中では間違いがないとまで確信すると、手を上げて合図を出す。

すると、物陰に隠れていた男と同じように黒いスーツを着た者達が次々に現れる。

何か嫌な予感がした2人はすぐに逃げ出そうとするが黒いスーツの者達はあっという間に2人を捕まえる。


 「なにするんだ、放せよ!」


 「そうもいかない、何せ君達は彼の親友なのだろう?」


 「瞬が何かやったとでも言うんですか!」


 「まぁね、その内に話そう。連れていけ」


賢悟は暴れて逃げようとするがまるで動く事が出来ないほどにガッチリと掴まれ、近くに止めてあった黒の4WDに花梨と一緒に放り込まれる。

すかさずドアを開けようとするがロックがしっかりとかかり開ける事が出来ない。

警察の車のように前部と後部を仕切るように透明な強化プラスチックの板が挟まれ、助手席に座った質問してきた男に触ることすらできない。


 「出せ!出せよ!」


 「そう暴れないことだ、今から彼のしたことについて話してやる。それから逃げるかついてくるか決めるんだな。出せ」


車は発進し、病院からドンドンと遠ざかっていくと男は事の次第を話し始める。

話が進む事によって段々と青ざめていく2人を乗せて、車は日本支部を目指して速度を上げた。

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