表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
この作品には 〔ボーイズラブ要素〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

恋に落ちる

愛に揺蕩う ー恋に落ちる2ー

作者: ちゃあこ

挿絵(By みてみん)

2021/09/06 タイトルロゴ追加

-------------------

お久しぶりな二人の脳内お花畑イチャラブ期をご堪能ください。

 カランカラン、とドアベルが鳴る。

 愛しい恋人が笑顔でいつもの挨拶をする。

 いつもの席に座り、いつものように差し出したお手拭きで手を拭い、いつもので、とオーダーする。


 当たり前のように繰り返せるこの毎日を、幸せと呼ぶんだとしみじみと思う。




 付き合いだしてから早々に、半ば強引にあたしの部屋に彼を引っ張り込んだ。最初のうちは自分の部屋に帰っていた彼も今は諦めて、住んでた部屋を引き払ってこっちに全部移ってきた。おはようからおやすみまで一緒に過ごすことをあたしから望んだのなんて、多分初めてなんじゃないかしら。


 だって毎日あたしのご飯を食べさせたいじゃない? 本当はお弁当も持たせて彼の口に入るものは全てあたしが作ったものにしたいんだけど、夜の飲み会は断って帰ってきてくれる彼の数少ない社交の場がランチなんだから、そこはグッと我慢している。


 束縛したいわけじゃないのよ。独り占めはしたいのだけど。


 だってね、彼ってば、可愛いのよ?


 キスする直前の期待する顔とか、キスした後のとろけた顔とか。


 店に入ってくるときの嬉しそうな顔とか、食事が終わって一人で店を出るときの寂しそうな顔とか。


 だって、閉店すればあたしも二階に戻るし、そうすればすぐ抱きしめてキスできるのに、毎回ごちそうさまでしたって店を出るときに寂しそうにするのよ?


 可愛くて可愛くて可愛くて、人に見せたくないって本気で毎日思うのよね。


 なので早々に常連にはバレたわよ、付き合ってるって。


 あたしは全然構わない。最近は店でニコニコしていることが増えた彼に話しかける一見さんも増えたもの。あたしのって分からせておかないと仕事どころじゃなくなるの。


 あたしってこんなに嫉妬深かったかしら。自分でもやんなっちゃうし、常連にはからかわれるし、でも止められない。止めたくない。そんなことで遠慮してもしも彼があたしのじゃなくなったら?


 そんなの後悔してもしきれないじゃないの。


 だめよ、だめ。絶対にだめ。彼はあたしのなのよ。


 みんなの前ではニコニコ笑って、あたしの腕の中でだけ快感にむせび泣いてればいいの。良いもダメもあたしにだけ聞かせていればいいの。あたしのだけその小さなお口に受け入れていればいいの。零しても溢れても構わないのよ。望むだけ奥の奥まで注ぎ込んであげるから。


 今夜も彼をきつく抱きしめて眠りにつけることを幸せと呼ばずしてなんと呼ぼう。


 愛してる。夜毎囁かずにはいられないの。



***********************



 カランカラン、とドアベルを鳴らす。

 愛しい恋人がいつものように出迎えてくれる。

 空けておいてくれたいつもの席で、お手拭きを渡す隙にいつものように指で触れ合い、いつものですか、とたずねてくれる。


 こんなに毎日幸せだと思えることがあるのかと、毎日感動している僕がいる。




 付き合いだして早々に、マスターの家に転がり込んだ。どこもかしこもマスターの匂いのする家はなかなか慣れなくて、最初のうちは自分の部屋に帰っていた。だってマスターの家にいるだけでそれだけで、マスターと繋がりたくてたまらなくなってしまうんだ。


 セックスを覚えたての若者じゃあるまいし、恥ずかしくてたまらなかった。店でマスターのご飯とお酒を飲んで、二階の家で一人で待っているとそれだけでもう、心も体も準備万端というか、もちろん風呂で準備はするんだけどそういうことじゃなくて、とにかく、店を閉めたマスターが二階に帰ってくるやいなや彼を押し倒してしまうわけで。


 自分自身でもこんなに毎日セックスしたいと思ってしまうことに戸惑っていた。それで落ち着くために自分の部屋に戻って感覚をリセットして、マスターの家に居座って結局また毎日マスターを押し倒して、っていう繰り返しで。でもそのうち急にそれが落ち着いた。


 飽きたんじゃなくて満足した。毎日求めなくてもちゃんとマスターから与えられるんだなって安心できるようになったというか、そんな感じ。マスターの匂いがしてもソワソワじゃなくて安心できるようになったから、自分の部屋は引き払ってこっちに引っ越した。おはようからおやすみまでを一緒に過ごすって、奇跡みたいだ。


 最近よく笑うね、明るくなったね、と職場で言われる。僕が片思いしていた彼らに。いいことあった?と聞かれるから、ものすごく大切な人が僕のことを大切にしてくれるって言ったら、惚気かよ、って笑ってくれた。今までは僕が惚気を聞かされる側だったのに。


 晩ご飯はマスターの顔を見ながら食べたいから、飲み会の誘いは全部断ってる。束縛されて窮屈じゃないですか?って聞かれたけど、恋人の顔見ながらご飯食べないと一日が終わった気がしない、と応えたらそれ以上はしつこく誘われなくなった。良かった。


 セックスしてもしなくても、毎晩抱きしめて一緒にいてくれる。時々繋がったまま眠ることもある。繋がって溶け合って、別れてまた繋がって。なにも生み出せない営みだけど、幸せに満たされて眠る。


 耳元で愛してるって毎晩囁いてくれるから、僕も愛してるって呟いて眠る。


 時々、眠気に負けて呟くより先に眠ってしまっても、彼は許してくれるから。

2021/09/06

犬も食わないに続き、珈琲きの子さんにタイトルロゴを作成いただきました!浮かれてる感出てますね!

ハートをキーにしてくださってるのもシリーズらしくて素敵です!素晴らしい!嬉しい。一番喜んでるの確実にちゃあこです( ´艸`)

ロゴデザインのご依頼を受けてらっしゃるので、気になった方はTwitterアカウント(@necco_works)をぜひお訪ねくださいませ。

----------------------

最後までお読みいただきありがとうございます。

評価、感想いただければ励みになります!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ