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ミストライフ  作者: VRクロエ
霧魔の民編
98/226

修行 sideアロマ

 わたしはミストライフに入ってから、劣等感を感じてばかりだ。

 戦いにおいての強さ、心の強さ。どれをとってもわたしはフィオンには勝てない。

 シャクスト戦やキマイラ戦でも、わたしは大して役に立つことが出来なかった。これは焦る気持ちが出るのは当たり前だ。

 ミストライフに入るきっかけとなった一番の理由であるらっくんは、入りたてこそわたしと同じくらいの実力だったけど、どんどん強くなってこのままでは手が届かなくなってしまいそう。


 こんなざまでよく守るなどと言えたものだこの口は。

 勿論、いざとなれば自身が盾になってでも守るという気持ちは今でもある。でも、出来ることならば生き残ってらっくんとフィオンが目指す世界をこの目で見てみたい。


 その為にはわたし自身がもっと強くならなければ。

 ただ最近は何を伸ばせばいいのか、そのことをずっと悩んでいる。

 モメントジャンプは異能の中では使いやすい部類に入るのだが、対人経験の少ないわたしだと、有効な使い方がこれ以上思い浮かばなかった。

 わたしの固有魔法であるフラッシュとの組み合わせはかなり強力で、初見ならばかなりの確率で刺すことができる。

 実際、あれ程の強者だったシャクストにも効いていた。

 問題だったのは目を潰してもシャクストの戦闘力を若干落とす程度の効果しかなかった。他の王に対してはどうかは分からないが、有効打になると思っていることは危険な気がする。

 そうなると今のわたしは結局器用貧乏にしかなりえない。何か格上相手でも勝てる可能性を生み出せる、切り札のようなものが必要だ。


 わたしたちが今滞在している霧魔の村では連日強くなるための修行を行っている。

 らっくんだけはわたしたちとは別で修行をしており、どういう状況になっているのかは分からないが、きっととんでもなく強くなっていそうな気がする。

 ここでおいていかれる訳にはいかない。わたしも強くなってみせる。


 そう意気込んでいたものの、相変わらず何も新しいものが掴めずにいた。

 トアンとミシェは当面の課題があり、イルミアも着実にその力を伸ばしてる。フィオンに至っては日に日に強くなっているのではないかという勢いだ。

 焦る気持ちが先行して視野が狭くなっているのかもしれないが・・・・・・


 模擬戦の合間の休憩中、わたしは1人今後自身が目指すべきものを見つけるため悩んでいた。


「あら? アロマさん、どうかされましたか?」

「ソラ・・・・・・」


 1人で悩んでいるわたしの元に現れたのは、最近ではすっかり仲良くなったソラだった。

 毎日模擬戦をしていて思うのは、このソラも、そしてラビも本当に強いということだ。

 調査班のメンバー全員で戦えば、勝てない相手の方が少ないと思っているが、この2人と本気で戦っても勝てるかどうか分からない。

 正直剣の腕などはらっくんの方が圧倒的に上だ。しかしそれを補って余りある戦闘技術があった。


「何か悩んでいる様子ですが」

「・・・・・・分かるの?」

「はい。私達霧魔の民は感情の機微には敏感なのです。それで、何を悩んでおられるのですか?」

「実は・・・・・・」


 わたしは伸び悩んでいることを皆には言っていなかった。なのに何故かソラには簡単に話してしまった。答えてくれそうな雰囲気があったからだと思う。

 わたしが話している間ソラは黙って聞いていてくれた。


「なるほど・・・・・・」


 話終えるとソラは考えるような姿勢を作って呟いた。


「アロマさんは格上に届くための何かをほしいと? その格上と言われる者達と同じレベルになるのではなく?」

「そうだね・・・・・・なれたらいいとは、思うけど・・・・・・理想だけでは難しいってわたしは思う。らっくんやフィオンならいつかはそのレベルになれるだろうけど、わたしには多分、無理だから。だからこそ、瞬間的にも相手の上をいける何かがほしいの」


 これに関しては強くなるという気持ちが足りないとかそういう話ではない。仮にわたしがシャクストと同じ異能を持っていたとして、あそこまで強くなることは出来ない。そういう話だ。

 勿論自身の限界は目指す。だが限界まで強くなったとて届かない場所があるならば、そこに届きうる手段が必要になるというだけだ。


「アロマさんの悩みは考えは分かりました。私も協力しましょう」

「ほんと!? ありがとう!!」

「いえいえ、お気になさらず。ではまず今まで私が見てきて感じた、アロマさんに足りない部分と、アロマさんの異能と魔法を用いて取れる攻撃手段について考えてみましょうか」


 それから、わたしたち2人は毎日毎日こうして空いた時間に意見を出しては試してを繰り返した。

 色々とやっているうちに新しい可能性を見出しつつあり、長い時間を停滞してようやくわたしは一つ上の段階に進めるようになる。


 横に並び立つのはもう難しいのかもしれないが、共にいることを諦めた訳ではない。

 出来うる限り支えて、わたしという存在を確かに刻むためわたしは努力し続ける。



VRくん「女性陣は劣等感を感じてるみたいだな」

VRちゃん「結局最後は力がものを言う世界だからね。急激に強くなっていくラクリィには劣等感も覚えるわよ」

VRくん「でも各支店を見ていると、今回の修行でしっかり強くなりそうだよな」

VRちゃん「皆頑張ってるからね。どう成長するのか楽しみだわ。 さて次回! 『新たな能力4』 お楽しみに~」

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