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ミストライフ  作者: VRクロエ
霧魔の民編
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新たな能力3

 霧分解を習得するうえで大事になってくるであろう、体内にある自身の霧を感じ取れるようになるのは、アロマとフィオンのアドバイスもありなんとかなった。

 霧呼吸をして、多くの霧を体内に取り込んだ際に、それが自身の中にある霧と同じものになっていくのが分かるようになり、慣れていない内は不思議な感覚だ。

 これに関しては時間が経てば慣れていくだろう。今はこればかりに構ってはいられない。


 翌日からは本格的に霧分解の修行だ。

 石を霧化させることに今更苦労したりはしない。慣れた要領で霧化させ、そこにあるであろう霧化している石に自身の中にある霧を放つ。


 何度も繰り返してみたが、これだけでは成功しなかった。

 ヒエンは包むという表現をしていた。今俺がやっているのは包むというよりかは、ただ当てているだけ。言葉通りに捉えるならば、これでは成功しないだろう。


 ならばどうすればいいか。その答えは何となく分かっている。自身が放った霧をある程度操らなければいけないのだ。

 人によって魔法の形や効果が異なってくるのは、イメージの違いだと以前フィオンが言っていた。

 多分だが、イメージによって無意識化で自身の中にある魔力を操り、形を作っているのだろう。

 そう考えると、俺に足りないのは包むという確固たるイメージ。霧化している物はその形も不定形なのでイメージが曖昧になり、結果想像という面で作業を難航させている。

 霧魔の民に見せてもらえばいいとも思うかもしれないが、霧化している物に自身の霧を使って包むところなど、目視出来ないだろう。

 だからこそヒエンも言葉上のやり方だけ教えて、後は放置しているのだ。


 このまま続けていても一生成功はしないだろう。

 まずは自分の中で霧化していても、その形を感じ取れる何かが必要だ。

 数日間はそのことだけをひたすらに考えていた。


 閃きは突然くる。

 俺は霧化していても確実に形を捉えられる、はっきりと認知出来る()があるのを思い出した。

 それは自身が霧化している時。つまりはボディーミストを発動している時である。

 自身の肉体など忘れようもないし、明確にそこにあるのだと分かる。

 ボディーミスト中に自信を客観的に見ることが出来れば、霧化している物を認識するようになれるかもしれない。

 かなり滅茶苦茶な考えだと思うかもしれないが、霧化中の自分を客観的に見ることは、それ程難しくはない。

 というのも探知を使っていると、自信を含めた周囲の状況が手に取るように分かるのだ。

 恐らく自身の姿自体は見えないが、霧化中の様子を二つの視点で見てみることが重要だ。


 そして、これを行う意味はこれだけではない。

 ヒエンが言っていた霧呼吸が出来るようになると、霧化などの効果も上がると。

 この言葉を深くとれば、それらの行動は全て自身の中にある霧によって効果を及ぼしているのだ。

 端的に言ってしまえば、霧化している自身の身体を動かすのは、イコール自身の中の霧を操っているのだと同義ではないのかと、そういうことである。


 俺は早速試してみる。

 案の定ボディーミストで霧化している俺自身は探知にはなにも映らない。

 だが、自信の霧を感じられるようになったからこそ分かったこともある。俺がいるところとその他では明確に霧が違うのだ。

 曖昧な表現になってしまったのは、他にいい言葉が思いつかなかったからだが、確かに違う。

 空気中にあるのは言わばただの霧。ならばこれが霧化させた石ならばどうなるだろう。

 俺は一旦霧化を解き、石を霧化させてから再び探知を使った。

 すると探知には、石は霧ではなく石として感じたのだ。

 これがヒエンの言う戻る法則、霧ではなく霧化している石ということなのだ。

 まあその辺の難しいことを今考えても仕方がない。結果として霧化した石を認識することに成功したのをまずは喜ぶべきだろう。


 次は霧を操ることだ。

 ボディーミストを発動し、今度はそのまま自由に移動する。

 やってみて思ったが、これに関しては何ら悩むことはなかった。

 霧化して移動するのは、身体を動かすということではなく、どこに移動するかを思い浮かべるということ。つまりは移動のイメージである。

 無意識だったためにこうして考えるまでは気が付かなかったが、自信の霧を操るということに関しては、とっくに出来ていたようだ。


 こうして全ての下地が出来てしまえば、後は何も悩むことはない。

 新たに得た認識と、元々持っていたイメージを存分に使い、俺は石を分解させる。

 すぐに成功したわけではないが、その日の夕食までには何とか成功させることが出来た。


 ここまでたどり着くのに要した時間は霧呼吸習得の時と大して変わらない。もっと時間が掛かると思っていたが。

 アロマとフィオンのアドバイスに感謝しなくては。


 次の能力に進む前に、もう少し発動をスムーズに出来るよう練習する。

 やがて夕食に呼ばれて戻ることになったが、一度覚えてしまった以上、もうすでにそれなりに形になりつつあるので問題はなさそうだ。

 ヒエンに報告して、明日からはさらなる能力の修行開始だ。



VRくん「2つ目の能力もなんとかなったな」

VRちゃん「まあここまでは下地のようなものよ。ここからが本番」

VRくん「一体どんなやばい能力を使えるようになるんだ……」

VRちゃん「一つはすでに出て来てるわね」

VRくん「ラビの使ってたやつか」

VRちゃん「そうよ。あとはお楽しみね。 さて次回! 『修行 side アロマ』 お楽しみに~」

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