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ミストライフ  作者: VRクロエ
霧魔の民編
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新たな能力2

 霧呼吸を習得し、ようやく次のステップに進むことが出来る。


「次は霧分解を覚えでもらおうかの」

「それはどういった能力なんだ?」

「霧分解はその名の通り、霧化させたものをそのまま分解する能力じゃ。霧化したものには元に戻ろうとする力が働く。理由は分からないがそういう法則なのじゃ。それを霧の力? とでも言えばいいじゃろうか、無理やり物質を霧へと変質させるのじゃ」


 似たような異能を知っている。フィオンの異能だ。

 厳密には違うのだろうが、分解という一点においては近しいものを感じる。

 流石にフィオンのように組み替えて違う物には出来ないだろう。あくまでも物質を霧にする能力なのだから。


「ラクリィは大抵のものは霧化させられるか?」

「そこまで多くの物を霧化させてきた訳ではないから分からないが、多分出来ると思う」

「そうか。ならばこれを分解させてみよ」


 ヒエンから手渡された物は石のような何かだった。

 大抵のものを霧化させられるか聞いてきたので、恐らくはただのじゃないんだろうが、一体なんなんだ?


「これは?」

「ただの石じゃ」

「・・・・・・そうか・・・・・・やってみる」


 深読みしすぎたようだ。


「コツは霧化したものをさらに自身の中にある霧で包む感じじゃ」

「自身の中の霧なんて感じられるのか?」

「魔力が出来るのじゃから出来ない道理はないじゃろう。その感覚を掴むのも修行のうちじゃ」


 それだけ言い残してヒエンは何処かへ行ってしまった。

 霧分解を習得するうえで自信がそばにいる必要はないということなのだろう。

 ともかく教えてもらった以上何としても習得する。自身の中の霧を感じられるようにもならないといけないので、霧呼吸の時よりも時間はかかるだろう。


 そう思い、とりあえず夕食の時間まではひたすらに石を霧化させ続けた。

 結果からすれば、何一つ進展がなかった。石に意識を集中させ、霧化後もそれを切らさなかったのだが、やはり自身の中にある霧を使うという感覚が分からない。


 何がいけなかったのだろうと夕食を食べながら考える。

 ヒエンは魔力が感じられるのならば霧が感じられない道理はないと言っていた。

 霧は霧魔の民にとっての魔力のようなもので、確かに似たところはある。

 だが、そもそもこの世界の人達がどうやって魔力を感じているのかが、俺には分からない。

 ならばとりあえず聞いてみることにしよう。


「なあ、少しいいか?」

「ん? どうしたのらっくん?」

「体内に取り込んが魔力ってどうやって使ってるんだ? なんか、感覚的なことでいいんだ」

「唐突だね。そうだなぁ、指先に意識を集中させると分かるかも? わたしは初めてはそう教えられたなー。魔法を使う時はその意識を手の平に集中させる感じだね」


 曖昧な表現だったが、貴重な意見であることに変わりはないので、試しに意識を手と足の指先に集中させてみる。


「お?」


 すると何やら指先が痺れるような、なんとも言えない感覚があった。これが魔力を感じるということなのだろうか?

 これが正しいのかどうかは分からないが、少なくとも何も感じなかった時よりは進展した。


「なにをしてるんだ?」


 どこへ行っていたか分からないが、遅れて帰ってきたフィオンが、恐らく変に真顔になっているであろう俺を見て首を傾げていた。


「なんからっくんが魔力を感じたいらしくて、それを教えてたんだ」

「魔力を? だがラクリィは魔法の類は使えなかったんじゃないのか?」

「厳密には体内の霧を感じたいんだ。霧魔の民にとって霧は魔力と同じ意味を持つみたいなんだよ」

「なるほどな。同じ要領で使えるようになるのならば、まずは無意味に魔力を放ってみることがいいと思うぞ」

「無意味に魔力を放つ?」

「そうだ。魔力は別に魔法として放つものが全てじゃない。純粋な魔力として体外へ放出することも出来る。魔力を感じられるようになりたいのならば、手先から魔力を無造作に放ち、身体から抜けていく感覚と共に掴むのがいいだろう」

「詳しいねフィオン」

「これでも元学者だからな」


 フィオンの言うことが霧魔の民にも当てはまるのだとしたら、試してみる価値はある。

 俺は夕食を掻き込み外に出て早速やってみることにした。

 アロマの言っていたことを踏まえてまずは指先に意識を集中させてみる。

 やはり何か違和感のようなものは感じる。それを意識したまま、今度は手の平を前に突き出して、そちらに意識を切り替えた。

 手に平からは何も出ていない。しかし確かに感じた、指先から手の平に何かが移動していることを。


「これが魔力を感じるってことか」


 その感覚を一度感じると、身体全体にある微かな霧も感じ取ることが出来た。

 確かなる自身のための霧は、放出しても少しの間だけならば、まだ操ることができ、包むというのはこの霧を上手いこと操作して行うのだろう。

 すぐにでも試したかったが、流石に夜も遅く、これからも多く修行の時間を過ごすとなると、無理はせず休むのが賢明だろう。

 俺は逸る気持ちを抑えて、自信の部屋に戻ることにした。

VRくん「能力の習得って1話に1個じゃないのか?」

VRちゃん「誰もそんなことは言ってないわよ。前回はたまたま」

VRくん「そうなのか。そういえばラビとソラはどこまでの能力を使えるんだ?」

VRちゃん「一応ラクリィが教わる能力は一通り使えるみたいよ」

VRくん「ってことは、修行が終わった段階でようやくあの2人と同格か」

VRちゃん「それはどうかしらね。能力の強さには個人差があるみたいだし」

VRくん「今また盛大なフラグが立った気がするが?」

VRちゃん「気のせいよ。 さて次回! 『新たな能力3』 お楽しみに~」

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