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ミストライフ  作者: VRクロエ
霧魔の民編
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新たな能力1

 フィオン達の戦いに巻き込まれないように、それなりに遠くまで移動してきた。この辺はあまり広くないが、俺はそこまで激しく動くわけではないようなので問題なさそうだ。


「まずは基礎的な技術から学んでいこうかの」

「基礎?」

「普通の人間は体内に魔力を取り込み魔法を使うじゃろ? 同じように霧魔の民は霧を取り込んで能力を使うんじゃ」


 今の説明で思い出したことがあった。

 イルミアと初めて会った時、あの時は能力が使えなくなってしまい、フィオンと共に外に出たら再び使えるようになったのだ。


「思い当たる節があるようじゃな。霧魔の民は体内取り込んだ霧が無くなってしまえば何もできなくなってしまう。これから教える技術は体内に取り込む霧を多くする技術じゃ。体内の霧の絶対量が増えれば能力の効果も上がるしのう」

「効果も上がると言うが、具体的にはどうなるんだ?」

「ラクリィが今使えるのは霧化の力と霧による索敵じゃったな。それじゃと霧化の時間が伸びたり索敵の範囲が広がったりじゃな」


 なるほど、どちらも地味だがありがたい。だがそれを真っ先に教える理由はそれだけじゃないのだろう。


「まあそもそもこれ以外の能力は、これを使える前提のものじゃから覚えてもらわないと困るんじゃ」


 やはりか・・・・・・索敵はこう言っては何だが簡単に使えるようになったが、それ以外の能力は本当にあるのか分からないという程何も掴めなかった。

 恐らくは俺が取り込める霧が少なかったから、使う感覚をいつまで経っても掴めなかったのだろう。


「とりあえず分かった。早速だが頼む」

「それじゃあやるとしよう。霧呼吸、それを今から覚えてもらう」


 取り込むというのだから呼吸というのは納得だ。

 それからヒエンは分かりやすいように、その技術の説明をしてくれる。

 意識的に呼吸をし、霧魔の民には必要のないただの魔力を取り込まないようにする。言葉だけでは単純だが、そもそも魔力を取り込む霧を取り込むの感覚が掴めないため、相当の練習量が必要になるだろう。やること自体は呼吸なので身体にその感覚を覚えさせるしかない。

 結局その日は何も成果を出せずに終わった。


 それから毎日ヒエンに傍らで見られながらひたすらに霧呼吸の練習をする。

 傍から見れば何もしていないように見えるが、呼吸の一回一回を意識して行うのは、精神的な疲労も激しく、疲れは確かに溜まっていった。


 食事の時などは流石に自然体で呼吸をしている。

 フィオン達の進捗も色々と聞いているが、分かったことは殆ど無いという。

 ただラビもソラも相当強いらしく、5人掛かりでも勝つことは出来ていないらしい。そう考えると、俺は本当に霧魔の民の力を使いこなせていないんだと実感させられる。

 だが、何だかんだで皆であれば近いうちに霧魔の民の力にも対応し始めるだろう。その時に俺が何も成果を得られてなければおいていかれてしまう。そうはなりたくない。

 そんな思いも強く、俺は夜遅くまで外に出て霧呼吸の練習をするようになった。






 ――――――――――






 それは突然きた。

 小さな呼吸、しかし大量のものを吸い込んだような感覚。それでいて苦しくはなくむしろ身体が軽くなったそうな感じさえした。

 紛れもなく霧呼吸であり、二週間という期間を経てようやく成功に繋がった。


 今の感覚を忘れないうちに何度も同じように呼吸を繰り返す。

 なるべく自然に意識せずとも出来るように、身体に覚えこませながら。


「すー・・・・・・あれ?」

「吸い込み過ぎじゃ。いくら許容量が増えたとはいえ限界はある」


 ヒエンに言われた通り、確かに取り込める量の限界がきたみたいだ。何度か霧呼吸をしてみるが、先程のように霧を吸い込めている感覚がしない。


「どうすればまた取り込めるようになるんだ?」

「能力を使いうか、霧のない場所で自然に抜けるのを待つしかない。今後は満タンになるまで霧呼吸をして、満タンになり次第新たな能力の練習をしよう」

「ようやく次の段階に進めるのか・・・・・・」


 二週間とはいえ、何かを掴みつつある仲間達を見ながら自身は呼吸をするだけというのは、本来の時間よりも長く感じていた。

 無論これからが本番で、さらに厳しくなることは分かってはいるが、少しの間だけでも達成感と安心感を味わってもいいだろう。


「一先ずよくやったと言っておこうかの。このまま次に言ってもいいが、今日はゆっくり休むんじゃ。自覚はしていなくともストレスはかなり溜まっているはずじゃ」

「だいじょ・・・・・・いや、そうさせてもらうよ。明日からまた頼む」

「任されよ」


 本来ならこのまま次に行きたかったが、他人の助言は馬鹿に出来ない、それが俺を心配してのものならば猶更だ。

 俺はフィオン達へのしっかりとした報告も含めて、久々にゆっくり皆と話すことが出来た。

 いい感じにリラックスすることが出来た。明日からは新たな能力の習得、頑張らなければ。


VRくん「遂に始まったな修行回が」

VRちゃん「前の章から少しずつそんな感じの雰囲気になってたしね」

VRくん「どんどん強くなっていって最後はどうなるんだろうな」

VRちゃん「怪獣大戦争待ったなしね!」

VRくん「急にどうした……?」

VRちゃん「うるさい……。 さて次回! 『修行 side フィオン』 お楽しみに~」

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