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ミストライフ  作者: VRクロエ
霧魔の民編
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アメノサギリ

本日の2話目です!

 ヒエンが俺の腰辺りに目を向ける。その視線が何を捕らえているかは言わずもがな分かることだった。

 俺は剣を柄事腰から外してテーブルの上に置く。

 この剣は俺が拾われた時に傍らにあった物らしく、かなりの性能を誇ってはおるが何故か俺が所有することを

 許された。

 今までであれば、それは偶然で済ませていたかもしれないが、ヒエンから色々と聞いた後になると話は変わってくる。

 ヒエンの口から聞いた俺の両親の人柄であれば、まず間違いなく俺のことを捨てたということは無いだろう。

 それを踏まえて、この剣を両親が俺に残したものであり、かつヒエンが知るものであれば、ただ性能が良いだけの剣ということは無いだろう。


 ヒエンは剣を手に取りじっくりと眺める。

 表情からは何を思っているのかは読み取れなかったので、大人しく待っていることにした。


 しばらくして、ヒエンは剣をテーブルに戻して、一息ついた後に話し始めた。


「間違いなくアメノサギリじゃな」

「アメノサギリ?」


 それが俺の持つ剣の名前を言っていることは分かったが、その名前を聞いたことがないし、どういったものなのかは分からない。


「アメノサギリは霧魔の民が、いや正確にはその祖先が作り出した宝剣じゃ」


 もしかしたらと思ってはいたが、どうやら俺の持つ剣は宝剣だったらしい。


「どんな効果があるんだ?」


 宝剣とは魔法的な要素が多く含まれた剣を指し、ただ単に切れ味が良いだけの剣を指す呼称ではない。

 つまりは何かしら特殊な効果があるはずなのだが、俺は今までそれを実感したことはない。

 霧魔の祖先が作り出したのであれば、何かしらそれに由来する効果なのだろうか?


「アメノサギリは一般的に知られる宝剣とは少々違ってな、そもそも霧魔の民の中でも選ばれたものにしかその力を示さんのじゃ」

「俺は今まで長いことその剣で戦ってきたが、何も起きなかった。つまり俺は選ばれなかったってことか?」

「いや、それには語弊があるじゃろう。儂の見立てではあやつの息子であるおぬしならば使いこなせるはずじゃ」

「ならどうして・・・・・・」

「おぬしが自信を霧魔の民だと認識出来ていなかったのが理由かもしれんな。宝剣は持ち主の魔力から意思を読み取り、使い手を決める。通常の宝剣であっても霧魔の民にしか使えぬなどの制限はないが、持ち手は選ぶはずじゃ」


 今の話を整理すると、俺は今まで霧魔の民という自覚がなく、それをアメノサギリが汲み取っていたから力を発揮しなかったと。

 だとしたら今であれば使えるのだろうか?


「ちなみにアメノサギリにはどんな力があるんだ?」

「まず一番分かりやすいものとしては、霧魔の民の持つ霧を操る能力を増幅させてくれる。他には自身の手から離れたとき念じれば霧化して手元に戻ってくるなどじゃな」


 やはり持っている力も霧魔の民に合わせた力みたいだ。


 俺は試しに頭の中でアメノサギリに戻ってくるよう念じてみたが、何も起こらなかった。

 だが何も感じなかったわけじゃない。薄っすらだが、アメノサギリの意思というかそんなものが伝わってきた気はする。その距離がまだ遠いような、何かに阻まれているような感覚でアメノサギリまで届いていない感じだ。


「今すぐに使いこなすのは無理じゃよ。こやつは気難しいらしいからのう」


 俺の様子で何をしているのかを察したヒエンは笑いながらアメノサギリを眺めている。

 性格のようなものがあるらしく、恐らく俺の両親から聞いたのだろう、アメノサギリは気難しいらしい。


「アロマのグラムはどうなんだ?」


 俺は剣の性格というのもが気になって、同じく宝剣を持つアロマに尋ねてみた。


「んー、この子はなんていうか、心配性? わたしやわたしが大切に想っている人のことはいっつも心配してる感じ。でもわたしが興味ない人や敵対してる人のことは邪険にしてるかな?」

「それは・・・・・・なんていうかアロマらしいしグラムらしいな」


 どうやらこの2人? は似たもの同士なようだ。

 心配症なところは、治癒力を高めるグラムには合っている感じがするが。


「ヒエン、俺がアメノサギリを使いこなせるようにはどうしたらいい?」

「おぬしの父親はアメノサギリと会話をしておった。それ程仲良くなることが出来れば使いこなせるのではないか?」

「剣と会話・・・・・・やってみるしかないな」


 勿論今すぐ仲良くなろうという訳ではない。

 ただ今後定期的に意思を送ってみて、ゆっくり仲良くなれればいいなとは思う。

 こうして意思があると知る前から、俺はアメノサギリに助けられてきた。ならばその感謝を伝えてみるのもいいかもしれない。

 試しに色々と話しかけているが、相変わらず反応はなかった。


「これこれラクリィ、そちらばかりに集中せんでこっちに意識を戻さんか」


 自分でも思っていた以上に剣を向かい合っていたらしく、ヒエンが呆れ顔をしていた。


「あ、ああ。すまん」

「まあ良い、話は一先ず終いじゃ。明日からさっそく修行に移る。どうせじゃからラクリィ以外の面々も霧魔の民相手に修行していけい」


 ヒエンはきっとハクラとの戦闘を想定して俺以外のメンバーにも霧魔の民との戦闘を経験させたいのだろう。

 修業期間がどのくらいになるかは分からないが、なるべく多くのことを学ぼうと思った。

VRくん「これはアメノサギリも新キャラ扱いになるのか?」

VRちゃん「どうかしら? でもその内擬人化とかするんじゃないかしら。まあ神(作者)のみぞ知ることだけどね」

VRくん「ここで立てたフラグの扱いってどうなるんだろうな?」

VRちゃん「まあフラグはフラグよ」

VRくん「それもう答えだろ」

VRちゃん「過度な期待は禁物よ。 さて次回! 『修行開始』 お楽しみに~」

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