4王と1人の王
更新できなくてすいませんでした!!
初めからかなり重たい話だったが、まだヒエンの話は終わった訳ではない。
ここでの修行の話は一旦置いておいて、次の話に進む。
「次は何を話そうかのう・・・・・・そうじゃな、おぬしらが敵対している王達について話しておこうかの」
顎髭を撫でながらヒエンは次に話すことを決める。
そもそもヒエンが俺達のことを知っているのは何故なのだろう。雰囲気から察するに五芒星についても詳しそうな感じがある。何か関わり合いがあるのは間違いなさそうだ。
「儂ら霧魔の民は王達から狙われておる。その理由は分かるか?」
「霧魔花の群生地を聞き出すため・・・・・・いや違うな。それはないだろう」
「? フィオンはどうしてそう思うの?」
「そも前提が違うのだろう。霧魔の民であるここの人間ですら群生地は知らないんじゃないか?」
「え!? そうなの!?」
「蒼髪の嬢ちゃんはかなり頭が回るようじゃな。その通り、儂らも霧魔花の群生地は知らん。ただ作り出した
人間の子孫だということでしかない」
俺も薄々はそうなんじゃないかとは思っていたが、やはり知らないらしい。
俺達の味方だと言うのならば、そもそも修行なんてせずに霧魔花の群生地さえ教えてしまえば済む話なのだ。
「王達が儂らを狙う理由は、単純に戦力としたいからじゃ。霧魔の民全員が強い力を持つ訳じゃないが、戦える者達に関していえば、その辺の異能者よりも実力は上と言ってもいいくらいなんじゃ」
「なるほど・・・・・・そいつらを自身の陣営に引き込んで戦力の増強を狙ってるのか」
異能者よりも上の実力ともなれば、それを欲するのは頷ける。
「じゃがまあ、そもそもここに辿り着くためには霧魔の民の力が必要なんじゃがな」
「つまりは王達にも手出しが出来ないと?」
「そうじゃ・・・・・・と、言いたいところなんじゃが、出来るようになってしまったんじゃ」
「つまりは王達の陣営に霧魔の民がいると?」
「そうじゃ。しかも、きわめて厄介な奴が・・・・・・」
話ながらヒエンは渋い表情になる。ここまで言われるのだから相当な奴なのだろう。
「最近王らは五芒星という呼称の組織を名乗っているようじゃな。恐らくその頂点が表すうちの一つが奴じゃろう」
今まで疑問に思っていたことが一つ分かった。
4王なのに五芒星。俺達が空いていたと思っていた場所には霧魔の民がいるのか。
「どんな奴なんだ?」
「そうじゃのう・・・・・・名はハクラ・アスティマ。年齢はおぬしたちと大して変わらぬ。村の中ではかなり強い力を持っておったが、問題なのは思想じゃな。常日頃から霧魔の民こそがこの世界を統べるべきだ、逆らう奴は皆殺しにしようなどといった発言が目立っておったな」
ハクラという人物はそれで五芒星へとなったのか。
だが、自信と同列の奴が他に4人いる状況に果たして満足しているのだろうか。それともハクラであっても王達と比べて抜きんでるのは厳しいのか。
いずれにせよ、現状王達と肩を並べている以上警戒はしなくてはならない。
「ラクリィよ、おぬしに力を与えるのはハクラを倒してほしいという考えもある」
「こう言っちゃあれだが、いいのか? 元は村の人間なんだろ?」
「そうじゃが、霧魔の民はこの世界において最適な力を持っている以上、それを弱者に振るってはならない。霧の力はもう十分にその効果を世界に発揮した、なれば当事者でもない儂らが世界を乱してはいけないのじゃ」
ヒエンの考えは朧気ながら伝わってきた。
俺達と目指しているところは違うが、根本的に見ればヒエンも平和を望んでいるのだ。
霧魔の民が大きく動けば世界に揺れが起こる。それを理解しているからこそ、ハクアは放っておけないながらも自身では動かない。
「あんたの考えは分かった。だが、何故俺なんだ?」
俺自身もハーフだとは言っていたが霧魔の民であることには変わりない。にもかかわらず、ヒエンは俺を止めるどころか更なる力を与えるという。その理由が分からない。
「そうじゃのう、理由はいくつかあるが、一番はあやつらの子供だということじゃな。心の底から平和を願うその内面は両親にそっくりじゃな・・・・・・」
俺の目を真っ直ぐ見つつも、その中にある俺の両親の名残を感じているようなヒエンは、その声色も優しく不思議な心地がした。
「分かった。ヒエンのことは俺達に任せてくれ。元々言われなくても何処かで必ず戦闘になっていただろうしな」
「そうか・・・・・・感謝する」
「だが俺達の目的はあくまでも霧魔花を見つけ出して、この世界から霧を無くすことだ。それだけは忘れないでほしい」
戦闘になるのはあくまで霧魔花を追い求めた結果でしかない。目的を見失うことだけはあってはならないのだ。
「本当にそっくりじゃの・・・・・・進む道まで同じだとは」
俺の考えを聞いてヒエンは小さく何かを言ったが、俺に聞き取ることは出来なかった。
「さて時間も大分経ってきた頃じゃ、次の話で最後にしよう」
そう言ってヒエンは俺の腰に下がっている剣に目を向けた。
VRくん「五芒星の頂点が霧魔の民だったとはな」
VRちゃん「実力的にいったら妥当なところなのかしらね。ハクラの実力はまだ未知数だけど」
VRくん「この作品の強キャラポジはしっかり強いから分かりきってるとは思うけどな」
VRちゃん「まあね。そもそも霧魔の民ってだけで結構強キャラポジなのに、敵対しててさらに王クラスだからかなりやばそう」
VRくん「いつ出てくるんだろうな?」
VRちゃん「まだ当面は先だと思うわよ。 さて次回! 『アメノサギリ』 お楽しみに~」