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ミストライフ  作者: VRクロエ
霧魔の民編
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両親

 念のために警戒はしていたが、何も起こらずに次の日を迎えた。

 あまり寝れなかった俺は、少し身体に気怠さを感じつつも表向きはなるべく平静を保つように心がけている。

 これからヒエンと話す内容は、恐らく俺達にとって重要なものであり、さらにヒエンは俺個人を指して話すことも多い為、そのことについても聞かなければならない。

 話をする時間の指定などが無かったため、いつ行こうかと悩んでいる最中に、俺達が泊まっていた家の扉が開きヒエンが入ってきた。


「起きとるようじゃな。しっかりと寝れたか?」

「外で寝るより快適なのは間違いなかった。心遣い、感謝する」


 フィオンがはっきりと良く寝れたと言わなかったのは、もしかしたら俺があまり寝れていないことに気が付いたからかもしれない。顔かどこかに寝不足の影響が出ていたのだろうか? 研究者として人体にも詳しいフィオンだからこそ気付いたところがあるのではないかと思う。


「早速だが本題に移ろうかの。長い話になる、姿勢は楽にしてくれ」


 それぞれが椅子に付き、準備も整ったところでヒエンは話し出した。


「まずは霧魔の民がどういう存在なのかから話そう。おぬしたちならば名前を聞いただけで思うこともあったはず」


 霧の原因である霧魔花の名を関するその名前は、俺達からすれば聞くだけで興味を抱かざるおえない。


「霧魔の民は、端的に言えば霧魔花を()()()者達の子孫なのじゃ」

「な!? ちょっと待て! 作っただと!?」


 始まりから話す内容にしては衝撃が大きすぎた。全員が絶句しているなか、長く研究をしてきたフィオンだけが驚いたように立ち上がる。


「霧魔花は人工物だと言うのか!?」

「その通り。正確に言うなら人工的に改造された植物じゃな。それも偶然出来上がったものではなく、予定通りの結果を出したものじゃ」

「なんのためにそんな・・・・・・」

「理由は簡単じゃよ。自分たちが生き残るため、淘汰される現実を脱するためじゃ。人とは醜い、どんな世界であっても争い、そして弱者は奪われる。儂らの祖先は自身の肉体すらも改造し、この霧という毒が満栄した世界でも生き残れるようにしたんじゃ」


 簡単に言うが、人や植物などを改造するなどそう簡単に出来ることではない。或いはフィオンならば可能かもしれないが、そう都合よくいくわけがない。

 俺達が知らない時代でどのようなことが起こっていたかは分からないが、様々な要因、希望と絶望、弱者の想いが歪に複雑に絡まり合った結果が、今のこの世界の現状なのだ。


「子孫である儂らには霧に対応出来る身体と、霧を使う能力が引き継がれておる。霧を使う能力に関してはその力の大小はあるがな」

「霧を使う能力・・・・・・」


 その言葉に全員が一斉に俺の方を見る。


「ラクリィ、おぬしは霧魔の民じゃよ。正確には霧魔の民と普通の人間のハーフといったところか」

「・・・・・・俺の両親を、知ってるのか?」


 声が震える。両親のことについては、当の昔に諦めたつもりだったが、いざそれを目の前にすると気になってしょうがなかった。


「よく知っておる。おぬしの父親は霧魔の民の中でも特出して高い能力を持っておった。歴代最強の名を欲しいままにしたが、その性格は穏やかで優しい男じゃった」

「父親・・・・・・」

「母親の方もかなりのものじゃったよ。あらゆる感覚に長けた剣の達人じゃった」

「母親・・・・・・」


 両親の話を聞きながら、なんとも形容しがたい感情が生まれてくる。


「残酷な話になるが、2人は既に亡くなっておる。原因はおぬしらの敵である王達によって」


 既にこの世に居ないことは何となく察していたが、問題はその原因だ。

 数か月前に戦ったシャクストの顔を思い出し、心の奥から黒い感情が湧いて出てくるが、何とか冷静な判断だけは保つようにした。この先の話もしっかりと聞かなければならないので、頭の中を黒く染めきるわけにはいかない。


「ラクリィ、気持ちは分かるが、今のおぬしじゃ王達に勝つことは無理じゃ」

「だったら・・・・・・どうしたらいい・・・・・・」


 力不足を指摘され、声を荒げそうにもなるが落ち着いて話を聞く。


「おぬしには霧魔の民最強だった男と、剣の達人じゃった女の血が流れておる。その力を正しく理解するのじゃ」

「だが、俺はまだ自身の力を全然分かっていない。シャクストに指摘されたことだ」

「そこで提案なんじゃが、しばらくの間ここで修行していかんか? 教えられることは多い」


 ヒエンの提案は正直とてもありがたいことだった。

 しかししばらく滞在するとなると俺の一存では決めることは出来ない。

 フィオンの方を見る。するとフィオンは優しい笑みで返してくれた。それはフィオンだけではなく仲間達全員が言葉を放たずとも返事をくれた。


「みんな・・・・・・ありがとう」

「決まったみたいじゃな」

「ああ。俺に両親と同じ力をくれ。そして超えて見せる、両親も五芒星も・・・・・・」


 こうして俺達の滞在が決まった。

VRくん「盛り上がってきたな!」

VRちゃん「やっぱりラクリィは霧魔の民だったのね」

VRくん「しかもハーフらしいぞ。これって珍しいのか?」

VRちゃん「その辺に関しては次回になるみたいね」

VRくん「もっと盛り上がることに期待だな」

VRちゃん「盛り上がるわよ、きっと。 さて次回! 『4王と1人の王』 お楽しみに~」


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