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ミストライフ  作者: VRクロエ
ミール編
83/226

違和感

6月も終わりですね。今月も特に何もなかった……

 一月も経てばグラムの恩恵もあり、大きな傷もほぼ完治したと言って良いところまで回復していた。

 ここ数日は鈍った身体を解すべく、多少激しい鍛錬もしており、生活班の手伝いをしていた時よりも身体が活性化しているのが分かった。

 そして調査班のメンバー達と模擬戦をしていて思ったが、全員の対人戦闘能力が上がっている。

 特にアロマの成長率が高く、読み等の精度が飛躍的に上昇していた。

 恐らくは命を削る激しい対人戦闘を経験したことにより、経験不足が補われたり、極限状態での瞬時の判断のコツのようなものを掴んだのだろう。


 現在の自信を客観的に見れたところで、今度は先のレホラでの件を客観的に見てみようということになった。


「まずは私とラクリィが一時的に囚われてしまったことは反省しないとな」

「警戒が甘かったということはないが、疑問に感じたのは、本当にヤカサスが俺達の潜入に気が付いたのか?」

「確かに私もそれは思う。正直私の知っているヤカサスは確かに鋭いところもあったが、あそこまでだったとは思わない」

「そういえば少し前にメリユースの王であるシェダがレホラを訪れていたんだったな。アロマ、何か関係があると思うか?」


 レホラを出る前にミシェが言っていた、シェダがレホラに滞在していたと。シャクストも何か言っていた気がするし、因果関係があってもおかしくはない。


「関係があるというか、間違いなくお父様が関わってると思う」

「ほぅ、そう言い切る理由は?」

「お父様は度々起こることを正確に的中させてたから。もしかしたらそういう異能を持ってるのかも・・・・・・わたしも異能について詳しく聞いたことが無いから断定は出来ないけど。それでもシャクストに脱出場所がバレたことといい、お父様が何かしら助言みたいなことをしたのは間違いないと思う」


 シェダは普段決して表に出てこない。俺ですら顔を知っている程度だ。

 流石にアロマは多少の情報は持っているようだったが、それですら曖昧なものばかりだ。

 考えているとなんだか違和感を覚える。いくら厳格な性格の持ち主だったとしても、かなりの情報収集を行っているフィオンや、実の子であるアロマがここまで何も知らないのはおかしいことだ。


「仮に・・・・・・その起こることを的中させるのが異能によるものなら、恐らく未来予知かそれに近い能力だと考えられる」


 フィオンがここまでの情報で出した結論を言った瞬間、今まで感じていた違和感の理由が分かった。


「少しいいか?」

「どうしたラクリィ?」


 俺はある一つの結論に辿り着き、それを言葉にする。


「フィオンの仮説が正解だとして、もしシェダがかなり先の未来まで分かるんだとしたら・・・・・・」

「ん!? ああ、そういうことか!」


 途中まで聞いたところでフィオンは俺が言いたいことが分かったようで、納得したように声を上げた。


「アロマがミストライフに付くことが分かっていたから自身の細かい情報は一切話してこなかったんじゃないか?」

「え!? 確かに仲がいいとは言い難かったけど、そこまで考えての行動だったの!?」

「いや待て、それだと何で分かっていて殺さなかった? 悠長過ぎないか?」

「確かに変だな・・・・・・」


 そう、アロマがミストライフに付くが分かっているのならば、殺しておこうと考えるのが普通なのではないか?

 それは俺もそうだ。俺なんかを殺す機会もあったはずだ、しかしそういった素振りは一切なかった。


「親子だったから?」


 イルミアが自身でも納得していないようだが、思いついた理由を口に出す。

 確かに常識的に考えるのならばそうなのだが、果たしてそこまで優しい相手なのだろうか?

 むしろ何かしら狙いがあってそうしたのではないかと考える方が自然な気すらする。


「わたしがこう言うのもアレだけど、それはない気がする・・・・・・」

「敵対しても問題ないから放置してたとかは?」

「もしくはミストライフに行くこと込みで利用しようとしてたとかか?」


 イルミアの意見をアロマ自身が否定し、続いてミシェとトアンも自身の意見を言うが、やはりしっくりこない。


「厄介な相手だな・・・・・・」


 フィオンは苦虫を噛み潰したような顔をしながら唸る。

 何を考えているか分からない相手というのは厄介だ。それこそシャクストのように力で捻じ伏せてくるタイプの方がまだいくらかやりやすいと思える程に。


「これ以上考えても仕方がないか・・・・・・シェダが持つ異能の予測が付いただけでも収穫はあったと言うべきか」


 現状ではまだ手持ちの情報が足りない為考えても答えは出ない。

 すべきことは対策を立てることだが、正直有効と言える対策は思いつかない。もしも完全な未来予知を可能としているのならば、こちらの動きはほぼ筒抜けであり、悟らせない手立てはないのだ。

 祈るべくは何かしらの制限があるか、未来予知が完全でないことだ。


「今後の動きはさらに慎重にいかなくてはな。バレていても問題がないくらいには」


 フィオンの言う通り、例えバレていても勝てるくらいの準備が今後はいる。

 その為にも今回の反省で足りなかった部分をもっと明確にしなければ。

VRくん「ようやくこの作品らしい雰囲気に戻ったな」

VRちゃん「次の章に向けて色々と話を繋げないといけないからね」

VRくん「次の章はどんな感じになるんだ?」

VRちゃん「相変わらず戦ったり、謎に迫ったりって感じね」

VRくん「どんだけ設定隠れてんだよ」

VRちゃん「まだまだ沢山よ。 さて次回! 『シャクスト戦を見直して』 お楽しみに~」

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