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ミストライフ  作者: VRクロエ
ミール編
81/226

ルコとミール

引き続き平和な日常。

 俺達が帰還して数日が経ち、慌ただしかったミストライフの拠点内もようやく落ち着きを見せていた。

 レホラで起こったことに関する細かい報告や、反省などはとりあえず身体が完全に回復してからとなっており、さらには身体に負荷を掛けない為にも鍛錬もフィオンから禁止されていたので、正直に言って暇だった。


 そんな訳で俺はルコの元へ向かい生活班の手伝いでもしようかと思い、野菜などを育てている畑に足を運んでいた。

 ルコの姿は直ぐに見つかり、隣にはミールの姿もあった。

 ミールが生活班の仕事をするようになってから三日程経っている。

 現在は野菜を収穫している最中のようで、ルコがミールにやり方を教えているのかと思ったが、近づいてよく見るとミールは慣れた手つきで野菜を収穫している。

 そこで思い出したが、ミールは元々農村にいたこともあり野菜の収穫なんかは慣れたものなのだろう。

 むしろ俺の方がよっぽど怪しい手つきで作業しているのではないだろうか。


 謎に敗北感を覚えながら近づいていくと、2人とも俺に気が付いたようで顔を上げる。


「ラクリィお兄さん! おはようございます!」

「おはようございますラクリィさん」

「おはよう2人とも。手伝いに来たぞ」

「丁度良かった! 今から収穫した野菜を洗うところなの!」


 ルコは籠いっぱいに入っている野菜を持ち上げて、水場まで運んで行った。

 それに付いて行き、俺達は3人並んで野菜を洗い始める。


「ミール、ここでの生活は大丈夫そうか?」

「はい! 皆さん優しくしてくれますし、ルコちゃんもいるので楽しいです!」

「上手くやれてるみたいだな」

「ミールちゃんは畑仕事に関しては初めから出来たから教えることが少なくて残念だったよ」

「でも料理はまだまだだし・・・・・・」

「それも直ぐ出来るようになりそうだよね。器用というか、私は凄く時間が掛かったのに」

「まあ得意不得意は誰でもあるからな。それに俺はルコの料理は好きだぞ」

「ありがとうラクリィお兄さん!」


 俺が褒めるとルコは嬉しそうに笑う。

 前々から思っていたが、ルコとこうして話しているとなんだか落ち着くというか、難しいことを色々と忘れられて良いリラックスになる。

 それに加えてミールとの関係も良好なようで、2人の笑顔を見ているととても穏やかな気持ちになれた。


 他愛ない会話をしながら野菜を洗い、2人の今日の仕事はここまでなようなので、俺達は拠点の中に作られたフリースペースにやってきた。

 といっても何か目的があるわけではなく、適当に何かをしようとなってきただけなのだが。


「そういえばミールちゃんは異能が使えるんだよね? 私見てみたい!」

「えー、でもそんなに面白いものじゃないよ?」

「こんなのだったらいいんじゃないか?」


 俺はミールに耳打ちでどういった付与をするかを教える。

 ミールはいい案だと思ったようで、棚に置いてある本を適当に一冊持ってきた。

 今適当に考えた付与だが、これならば分かりやすいだろう。

 ミールは本を手に持ち集中するように目を瞑り、数十秒後終わったようで目を開いた。


「ルコちゃん、この本のページを捲ってみて」

「? 分かった」


 ミールは本を開いた状態で地面に置き、ページを捲るようにルコに言った。

 ルコは首を傾げながらも本のページを捲る。

 すると本はページが捲られた瞬間に宙に浮かび上がり、2人の頭の辺りで止まる。


「え!? 本が浮いた!」

「えへへ~、凄いでしょ!」


 浮かぶ本を見てルコが驚きの声を上げると、ミールは自慢げに胸を張った。


「どうなってるの?」

「私の異能は結果を付与する? みたいで、今やったのは『ページを二度捲ると浮かぶ』って結果を付けたの!」

「結果を付与する? なんか難しいね」

「私もそう思う。今回はラクリィさんの案だったし、私だけじゃ使いこなせない力だけど」

「いーなー、私も異能が使えたらなー」


 ルコは浮かぶ本を眺めながら羨ましそうに呟く。


「確かに異能は凄い力だが、持っていていいことだけじゃないぞ?」

「そうなの?」

「まず大前提として周りが黙っていないだろうからな。ミールが親から隠しておけと言われたのはそういう理由が大きいだろう」

「え? そうなんですか?」


 当のミールは自覚がないようで首を傾げている。

 実際異能者はまず確実に国に戦力として使われる。それだけなら最悪まだいいのだが、強い力を持てば確実に王達から狙われるだろう。

 仮にミールが王に誘われたり、ルコが異能を持っていたとしても、心優しい2人がその誘いに快く乗るとは思えないが、蹴ったら今度は殺されるだけだ。


「俺は2人とも危険な目にはあってほしくないから、異能なんてあってもなくてもどっちでもいいと思うぞ?」

「でも異能があればもっと皆の役にも立てるのに・・・・・・」


 どうやらルコが異能を羨んだ理由にはそういった部分もあるらしい。


「ルコ。ルコは十分俺達の役に立ってくれてるぞ? 役割が違うだけで俺達は助けられてるんだ」

「そうだよよルコちゃん! まだ出会ってから短いけどルコちゃんが生活班でどれだけ頑張っているかはわかるよ!」

「ミールちゃん・・・・・・ラクリィお兄さん・・・・・・」

「だからルコ、これからも俺達を支えてくれ」

「うん! 私は私が出来ることを頑張るね!」


 ルコは力強い返事で答えてくれた。

 陰から支えてくれるルコや皆のために俺ももっと頑張ろうと、そう思えた。



VRくん「天使が2人降臨した!」

VRちゃん「この作品では数少ない純癒しキャラの2人ね」

VRくん「2人がいるお陰でなんとか作品が暗くなりすぎずに済んでる感はあるだろ」

VRちゃん「2章からずっと重たい話が多かったからね。玉の息抜きよ」

VRくん「これダークなストーリーにちゃんと戻れるのか?」

VRちゃん「どうせすぐに戻るわよ。 さて次回! 『武器開発』 お楽しみに~」

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