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ミストライフ  作者: VRクロエ
ミール編
79/226

連鎖と反応

戦闘は無し!!

 無残な姿で息絶えるキマイラが入っている穴をフィオンは隙間なく塞いでいた。

 このまま残しておくと分かる奴にはフィオンがやったと分かってしまう可能性があるので、なるべくならば証拠は消して行きたいらしい。

 巨大な穴なのでフィオンの異能でいっぺんに塞ぐことは出来ず、端の方から順番に埋めていく。


「キマイラの戦闘で出来たあの惨状は残しておいていいのか?」


 あの惨状とはキマイラが大技を使った際に辺りの地形が変わってしまった場所のことだ。


「まあキマイラが何かと戦ったということくらいしか分からないだろう。別に私達の痕跡が残っている訳じゃないしな。そもそもどうにかしようにも無理だ。あ、だが私がここに来るまでに作った壁とかは壊して行かないとな」


 それもそうだ。フィオンの異能では地面等はどうにかなるが植物を無から生み出すのは不可能である。

 一応エレメントオペは生物にも適応させることが出来るらしいが、そもそも炎で消し飛ばされていてはどうしようもない。

 それにフィオンは命あるものにエレメントオペを使うことは嫌がっており、それなのに無理強いさせたくはない。


 穴を埋め終わり、次はフィオンが逃げるために作った壁を壊していく。

 アロマは体力の消耗が激しかったので今は休んでいる。ミシェとトアンはミールの警護、イルミアは周囲の偵察だ。


「よし、これで最後だ」


 フィオンが最後の壁を崩し終わり、皆の元に戻る。

 何事もなかったようでミシェ達は談笑しており、イルミアも帰ってきていた。


「どうだったイルミア?」

「まだ近くまでは来てないけど、時間の問題だと思う」

「そうか。なら早めにここを離れるとしよう」


 一先ずキマイラはどうにかなったので、後はバレないように移動するだけだ。

 疲れた身体に鞭を打ち、夜が更けるまで歩き続ける。

 シノレフ領は抜けれなかったが、何とか兵士達の捜索が届かないであろうところまではやってきた。

 礼の如く岩肌に仮の住居をフィオンが作り、そこで身体を休める。


「で、何がどうしてああなったんだ?」


 壁に寄りかかるように座ったトアンだフィオンにキマイラとの戦いでのことを質問する。

 俺も気になるところなので、聞く姿勢を取りフィオンの言葉を待った。


「あー、あれか。私とミールの異能を上手い感じに組み合わせた結果だ」

「ふむふむ。さっぱりわかんないね」


 フィオンが簡単に言うとミシェが全く分からないとばかりに首を振る。


「穴と刺を作ったのは私だ。それを見えないように塞いで、遠隔で再度現れるようにしたんだ」

「遠隔? だがそんな素振りはどこにも・・・・・・」

「簡単な話だ。ミールがその場で地面を叩いたら穴まで並べた小さな石が連鎖反応していき、最後に穴が出現するようにする。ミールの結果を付与する異能を活用した罠だな」


 フィオンの言いたいことは何となく理解出来た。

 ミールの異能フェイバ―ギヴで結果を付与出来るのであれば『踏んだら前方の何かに影響を与える』、『反応し、さらに前方に影響を与える』などで繋げていけばそんなことも可能だろう。

 刺にも『刺さる』といった簡単な付与をするだけで、確実に落ちてきた対象を串刺しにすることが可能になる。

 きっとそんな感じで色々と細工した結果がアレなのだろう。


「ミールの異能は本当に汎用性が高い。時間さえあれば出来ることはかなり多い」

「わ、私には良く分かんなかったですが、お役に立てて良かったです」

「拠点に戻ったらその使い方をじっくり考えてみるのも面白そうだ」


 フィオンは目に見えて楽しそうにしている。

 確かにフィオンはこういった搦め手を考えたりするのが好きそうなので、ミールとの異能の相性も含めその使用方法を模索するのには力が入りそうだ。


「で、でも私戦闘とかは出来ないです・・・・・・」


 ミールが申し訳なさそうに呟く。その声は段々と小さくなっていき、幼い顔つきのミールがそんな調子だとなんだか居た堪れない気持ちになってくる。


「安心しろ、別に戦闘に参加しろとは言わない。そもそも非戦闘員を外に出すことは余程のことがない限りは無いからな。ただ単純に何か役に立つ物でも作ってもらおうと思っているだけだ」

「あ、そうなんですね。だったら頑張ります!」


 小さな手をぐっと握りしめミールはやる気になっている。

 フィオンの指示で作るとなると、普通にとんでもない物が量産されていそうで怖いが、単純な戦力アップはかなりの期待が出来る。


「一応は生活班に所属してもらうつもりだが、時間がある時にでも私に付き合ってくれ。まあまずは生活に慣れてもらうところからだから直ぐには大丈夫だ」

「分かりました。それで・・・・・・拠点というのはどんなところなんですか?」

「ああ、それはだな――――――」


 フィオンはミールに拠点について様々な話を聞かせる。

 施設やメンバーの規模まで自慢げに話すフィオンに、ミールは目を輝かせて聞いていた。

 拠点を出てから色々なことがありなんだか、かなり長い期間帰っていないような感覚がする。

 身体を休ませながら聞いていると、早く帰りたいという気持ちが大きくなっていった。

VRくん「少し話が難しかったな」

VRちゃん「ドミノ倒しみたいなのを想像すると分かりやすいと思うわ」

VRくん「なるほどな……」

VRちゃん「準備に時間は掛かるけど恩恵は大きいわね」

VRくん「フィオンとミーアの共同開発も楽しみだ」

VRちゃん「まだ少し先のことよ。 さて次回! 『久々の拠点』 お楽しみに~」

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