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ミストライフ  作者: VRクロエ
ミール編
76/226

村の中のざわつき

村を出ますー

 村に滞在する最終日になった。

 俺達はやることもないので早々に村を出てミストライフの拠点に帰ろうとしたのだが、何やら村の様子が可笑しかった。

 俺は原因を探るために村の中心地までやってきていた。

 ミールの件で何かがあったのかと思ったが、どうやらそういう訳ではないらしい。

 昨日まではいなかったシノレフの兵士もいる。

 それも偵察などといった人数ではなく、戦争でもするのかという程続々と集まってきていた。


 俺は家の陰から聞き耳を立てて兵士たちの会話を聞く。

 くだらない雑談ばかりでこれといった話は出てこない。

 何も分からないまま待っていると、やがて指揮官のような人物がやってきて話を始めた。


「キマイラの目撃情報があった場所がばらけ過ぎている。最悪戦いにくい場所でも戦闘になる可能性がある」


 指揮官から名前が出たキマイラというのは霧魔獣のことだろう。

 ここまでの戦力が揃っているなら大型の可能性もあるが、名前だけでは俺には分からない。

 他にも情報が欲しいところだったが、もう何も有益なことは公には話してくれなさそうだったので、俺は報告の為フィオン達が待っている場所へと戻ることにした。


 戻ってくると何もなかった様子で出発の準備が終わっていた。


「どうだったラクリィ」


 いつでも出発出来る恰好をしたフィオンが俺に村の状況を聞いてくる。


「指揮官みたいなのが話しているのが聞こえたが。恐らくこの喧騒はキマイラとかいうのが出たからだと思う」

「キマイラか・・・・・・大型の霧魔獣だな。このタイミングとは間が悪い」


 フィオンはキマイラを知っていたようで、やはり大型の霧魔獣だったようだ。


「ヨルムンガンドよりも強いのか?」

「そうだな・・・・・・お互いが戦えば勝負は分からないが、人間との相性を考えるとヨルムンガンドよりも強いな」

「らっくんには前に話したけど、キマイラは本に出てくる『複数の頭から絶えず魔法を放つもの』だと思う」

「実際には頭部は二つだな。尻尾の先も頭部のようになってるが、頭部とは呼べないだろう」

「俺とミシェはかなり昔に遭遇したことがあったな」

「うん。動きが早かった記憶がある。逃げれたのが奇跡だと思えたよ」


 頭部が複数で動きが早く多数の魔法を使うのか。そもそも攻撃を当てるのが難しそうだ。

 そう考えると確かにヨルムンガンドよりも厄介に思える。


「遭遇したとして勝てると思うか?」

「万全の状態ならまあこのメンツなら勝てるだろうが、怪我を考慮するとギリギリ勝てるかくらいだろうな」


 こうして動く回ることは出来ているが、それでも完治している訳ではない。

 グラムの恩恵により、全員をある程度回復している程度だ。


「ミールも連れてるから戦闘には極力なりたくないな」

「それにシノレフの兵士にも気づかれる可能性がある。そうなると面倒」


 フィオンとイルミアの言う通り戦うにしても様々なリスクが重なっている。

 出来るなら避けて通りたいところだ。

 その後シノレフの兵士達がかなり厳しい戦いを強いられることになるだろうが、正直言って仲間に命よりは軽い。

 全てを救うことは出来ないのだ。


「出現場所が特定出来てないみたいだったが、帰るルートはどうするんだ?」

「最短距離が最善だろう。場所が分からない以上変に移動しても意味がないからな」

「最短で帰るとなると四日くらいか」


 ミーアも連れていることを考えてそのくらいの時間だろうか。

 俺自身シノレフに来たことがないのでどのくらいかかるのかも道もさっぱり分からない。


「さて、決まったことだし早めに出よう。そのうち探索隊が出されれば見つかる可能性も高くなる」


 俺達は村に入った場所までやってきて俺の探知で兵士がいないこと確認してから村を出た。

 ミールは殆ど外に出たことがないようで、物珍しいのか周りをキョロキョロ見ていた。

 走らずに森の中を抜けていく。

 視界は相変わらず良くないが、幸いにも霧魔獣とは遭遇せずにある程度歩いて来ることが出来た。


 やがて森を抜け草原に出る。


「ラクリィ、索敵を頼む」

「分かった」


 俺は辺りを索敵するように意識を集中させる。

 特にこれといった以上はなく、霧魔獣すら一体もいないようだった。

 体感だが半径二百メートルくらいは索敵出来ているので、危険は直ぐにはないだろう。


「何もいないな」

「そうか。なら少し進んで索敵を繰り返して進んでいこう。ラクリィには負担を掛けて申し訳ないが」

「別にいいさ」


 流石に常に探知を発動させているのは疲れてしまう。

 先に進むために一旦探知を切る。


「ん?」


 切る瞬間、端の方に何か反応があった気がした。

 気のせいだったかもしれないが、念のためもう一度探知を発動させてみる。

 すると正面から物凄い速度で接近してくる生き物がいた。


「待てフィオン!」


 驚き咄嗟に先を歩くフィオンに向け叫ぶと、その瞬間爆発音のような音と共に目の前に巨大な生き物が姿を現した。

 間違いようもなくそれはキマイラだった。

VRくん「ヨルムンガンド以外の霧魔獣が遂に出て来たな」

VRちゃん「この作品は人対人がメインだけど、霧魔獣も忘れてはいけない要素よね」

VRくん「出会ったからには次回か戦闘になりそうだな」

VRちゃん「フィオンはギリギリって言ってたけど果たして勝てるのかしら」

VRくん「ミールも連れてるから庇いながらの戦いになるし厳しくなりそうだな」

VRちゃん「まあミールの動きも含めて注目ね。 さて次回! 『キマイラ』 お楽しみに~」

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