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ミストライフ  作者: VRクロエ
ミール編
74/226

金色の髪

 涙を流しながら笑顔を見せたミールに俺達は思い思いの言葉を掛けた。

 生活班にいる子供達もこのようにしてミストライフに入ったんだろうなと思い、フィオンに目を向けた。

 フィオンは口調は尊大な感じで小さい子から見れば怖いような印象を受けそうなものだが、実際の所心優しく、きっとそれが伝わっているのだろう。


「ん? どうしたラクリィ?」

「いや、何でもない」


 俺の視線に気が付いたフィオンが怪訝そうな目を向けてくるが、誤魔化しておく。


「それよりミールはやっぱり生活班に入れるのか?」

「その予定だ。だがその前に聞いておかなければいけないことがある」


 そう言ってフィオンはアロマ達に囲まれ頭を撫でられているミールの元へ向かった。


「ミール、少しいいか?」

「はい! なんでしょうか?」


 ミールは先程までと比べて明るくなっており、声色だけでもそれが伝わってくる。

 ルコ程の年齢の子が暗い顔をしているのは見ていて心苦しかったので、それが無くなって俺まで顔が綻んだ。


「まず聞きたいのはその髪のことだ」

「あー、これのことですか・・・・・・」


 そのうち聞かれるとは思っていたのだろう、ミールは特別な感情は見せずに自身の髪を触った。


「正直私にも良く分からないんです。お母さんもお父さんも普通の髪色でしたし、金色なのは私だけでした」

「そうか・・・・・・なら納得だな」

「何が納得なんだ?」


 何かが分かったかのように頷くフィオンに、疑問が解けない俺は聞いてみる。


「王族でもないのに突然変異のように特殊な髪の色で生まれてくるのは前例がいくつかある。私もその1人だしな」

「そういえば確かにフィオンも髪が蒼だな」

「私以外にも2人特殊な髪色をして生まれてきた奴を知っている。そして、この突然変異のような現象にはある一つの法則性があるんだ」


 初めて聞くことだった。

 そもそもフィオン同様に王族以外で通常とは違う髪色をした人物がいること自体が初耳なのだが。


「ミール、お前には何か特別な力があるんじゃないか?」

「!? 知っていたんですか!?」


 フィオンの問いにミールは驚いたような声を上げる。

 今言った特別な力というのは一つしかないだろう。


「異能か・・・・・・」

「そうだ。特殊な髪色を持って生まれた者達に共通すること、それは異能が使えるということだ」

「あ、あの! 2人はこの力について詳しいことを知っているんですか?」

「申し訳ないが何でも知っている訳ではない。一般よりも詳しい程度だ」

「私、お母さんからはこの力のことは不用意に言ってはいけないと言われてたんです」

「まあそうだろうな。だが異能を使える奴は意外といるぞ。ラクリィ」

「意外といないだろ・・・・・・分かったよ」


 フィオンが軽く言ったほど使える奴はいないと思いながら俺は身体を霧化させる。

 ミールはびっくりしており、それが少し面白くてさらに驚かせるためにミールの目の前で霧化を解除して実体化した。


「わぁぁ! びっくりしました」

「アロマとイルミアも見せてやれ」

「おっけー! いくよー」

「ん、分かった」


 俺に続きアロマとイルミアも異能を使う。

 アロマが一瞬で俺同様ミールの目の前まで飛んできてミールは驚いて尻餅をついた。

 転んだミールに今度をイルミアが立たせると、唐突に大きな岩を渡した。

 ミールは一瞬青い顔をしたが、軽さを感じない程軽くなった岩に驚く。


「すっ、凄いです!」


 手荷物岩を振り回すした後思いっ切り上に投げたミールは楽しそうに笑っていた。


「最後は私だな」


 フィオンは空からゆっくり振ってくる岩をキャッチして、そのまま形を変えていき、再度ミールに手渡した。

 その手には綺麗な花の形になった岩があり、ミールは綺麗と呟きじっと見つめている。


「今までは自分の力が怖かったかもしれない。だが安心しろ、その力を持つのはお前だけじゃない。私達が付いているから恐れずに向き合うんだ」

「分かりました、しっかりと自分の力と向き合ってみることにします。それに、こんな私でも役に立てるようになるかもしれないから」


 ミールは近くに落ちていた葉を拾い上げる。

 その葉に意識を集中させるように目を瞑り、しばらく何も喋らなくなる。

 数十秒後、何かが終わったようで目を開けると、そのまま近くの木まで歩いて行く。

 何をするんだろうかと全員が見ている中、ミールはそれなりに太い枝目掛けて葉を持つ方の手を斜めに動かした。

 するとその軌道に場所から綺麗に枝が切れ地面に落ちる。

 ミールは何の変哲もない葉で枝をいとも容易く斬ったのだ。


「私の持っている力は物に様々な効果を付けることが出来るんです」


 つまりミールが今行ったのは、手に持つ葉に何かしら、恐らく切れ味が上がるか何かの効果を付けたのだ。

 切られた枝の断面を見ると恐ろしい程綺麗に切れている。切れ味だけで言ったら生半可な剣など比べ物にならないだろう。

 これがいくらでも作れるのなら恐ろしく汎用性の高い異能だ。


 金髪の少女ミールはその身に似合わない強力な異能を所持していた。

VRくん「ミールも異能持ちだったか」

VRちゃん「まあこの作品で登場する重要キャラって大抵何かしらあるしね」

VRくん「この異能が今後どう活躍していくのか楽しみだな」

VRちゃん「戦闘の幅が広がって面白くなりそうね。 さて次回! 『フェイバーギヴ』 お楽しみに~」

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