表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ミストライフ  作者: VRクロエ
レホラ王国編
64/226

王子と王女

別サイドの戦闘ですー

 トアンとミシェリアがマクワヤードと戦っている頃、別の場所ではアロマとイルミアがレホラの王子であるヤカサスと向かい合っていた。


「ああアロマ王女、あなたは相変わらず美しい!」


 ヤカサスはアロマに熱い視線を送りながら口説くようなセリフをさっきから並べていた。

 当のアロマは鳥肌を立てながら気持ち悪いものを見ているかのようにドン引きしている。


 4国は戦争をしており表向きは王族同士も敵対関係にあるが、それでも王族同士での集まりのようなものは定期的に行われていた。

 その場でも別に重苦しい雰囲気が流れている訳ではなく、一種の社交界のようなものだった。

 アロマも王族として、乗り気ではなかったが何度か参加していた。

 ラクリィはアロマと共に過ごした期間が長く、改めてアロマの容姿に付いてあれこれ言ったりしないが、アロマは誰の目から見ても整った容姿をしており、ヤカサスは過剰だとしても基本的には褒められるのが普通なのだ。

 ヤカサスの場合は前にアロマを見たときに一目惚れしており、会う機会があれば何かと甘い言葉で口説いてきて、ラクリィ一筋ということやアロマの性格上ただ鬱陶しいだけだった。

 それが明確な敵同士として向かい合っている状況でも変わらないのだから呆れたものだ。

 蚊帳の外にいるイルミアも呆れたような表情をしている。


「アロマ、どうするの?」

「ごめんねイルミア、変な空気にして・・・・・・ミストライフに入った時にわたしも頑張るって決めたから、戦うよ!」

「そう。ならすぐに終わらせよう」


 イルミアはアロマの意思をきちんと汲み取り、迷いが無いことを確認出来ると先陣をきってヤカサスに突撃していった。

 無論ヤカサスには届かない。イルミアの剣は見えない壁に阻まれる。

 しかし容赦なく斬りこんできたイルミアに、ヤカサスは表情を歪ませた。


「僕とアロマ王女の・・・・・・愛の語らいを邪魔するなぁ!!!」


 ヤカサスが絶叫とも言える大声量を上げイルミアに斬りかかる。

 正直言ってしまえばそこまで脅威になりえ無さそうな速度の剣ではある。

 ミストライフのメンバーのレベルが高いということもありこのレベルでは驚きはしない。

 だが、予想外だったのはこの後。回避しようと身体を後ろに引くと何かにぶつかる。


「!?」


 見えない壁というのは厄介で、警戒はしていてもこうして予想外なことが起こる。

 壁にぶつかったことで小さく体勢が崩れたイルミアは高いレベルとは言えないヤカサスの攻撃すら回避するのが厳しい。


「させないよ!」


 だがイルミアは1人で戦っているわけではない。一瞬のラグすらなくカバーに入ったアロマがヤカサスの攻撃を弾く。


「フラッシュ!」


 大きく弾かれ逆に体勢を崩したヤカサスに、アロマの得意とするフラッシュが刺さった。


「ぐあぁっ!」


 強烈な光を浴びて視界が奪われたヤカサスは、目に来るあまりの痛みに苦悶の声をあげる。

 そこへ、イルミアが即座に地面を蹴りヤカサスの胸を手の平で押した。

 その行為でヤカサスへダメージを与えられる訳ではないが、イルミアが触れた服の重量が飛躍的に上がり、結果としてヤカサスは立っていられず地面に貼り付けられる形になった。


「なっ! なんだこれは!?」


 動けなくなったヤカサスは先程の甘い言葉を吐いていた時とは程遠く、唾を飛ばしながら下品に騒いでいた。

 こうなってしまえばヤカサスに勝ち目はない。

 とどめとばかりにイルミアはヤカサスのズボンや靴にも触れ、完全に貼り付けの状態にする。


「ア、アロマ王女! あなたは本当に父上や他の王達と敵対するというのですか!」


 文字通り手も足も出なくなったヤカサスは、今度はアロマを説得しようと動いた。

 しかしアロマの様々な決意は、ヤカサスに何か言われた程度で揺らぐものではない。


「わたしは、もう止まりません。大切な人を支え、そして守りたいから・・・・・・その為だったら自分の命だって惜しまない、どんな敵が来ても押し通る。そう、決めたんです・・・・・・」

「勝てると本気で思っているのか!? あなたも、あなたの仲間達も死ぬぞ!」

「そんなこと――――――」

「あなたは何も分かってない」

「なんだお前は!!」


 イルミアはアロマを庇うように前に出て、静かにヤカサスに告げる。


「出来る、出来ないは関係ない。私達は、やる。それだけ」

「・・・・・・馬鹿な女だ。僕の妹の惨状を見ていなかったのか?」

「あなたは自分の惨状を見るべき」

「っ! 減らず口を・・・・・・」


 イルミアの指摘にヤカサスは顔を真っ赤にして怒りを露にする。


「あなたはもう終わり。シャクストにも必ず勝つ」

「イルミア・・・・・・」

「行こうアロマ。早くフィオンとラクリィに合流しないと」

「そうだね・・・・・・うん! 行こう!」


 ヤカサスは何かまだ叫んでいたが、2人は眼中にもないという感じで足早に去って行った。

 残されたヤカサスは只々惨めで、歯を食いしばることしか出来なかった。


VRくん「イルミアかっけー!!」

VRちゃん「今まで大した活躍が無くて実際どのくらい強いのか分かりにくかったけど、期待は裏切らなかったわね」

VRくん「もはやイルミア一人でも勝てたんじゃ?」

VRちゃん「確かに勝てたでしょうけど、アロマのあのカバーが無ければ無傷とはいかなかったでしょうね」

VRくん「圧勝って結果になったのは二人だったからか。こういうコンビで勝つってやっぱり熱いよな」

VRちゃん「次は最後のコンビが出てくるよ! 次回! 『VSシャクスト1』 お楽しみに~」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ