表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ミストライフ  作者: VRクロエ
レホラ王国編
61/226

レホラの戦神

珍しく異能が絡まない戦闘です!

 ミシェリアとトアンはやる気を感じられない顔をした大男と対峙していた。

 2人はこの人物を知っている。

 マクワヤード・タイラント。かつてレホラの戦神と呼ばれ、いくつもの戦場で猛威を振るい異能を持たない人間の中では最も強い人物として一番に名前が挙がった1人でもある。


 世の中にはそういった人物が何人かいた。

 その人物たちの殆どは今はもう表舞台から姿を消し、こうして世界の膿として王に仕えている。


「これほどか・・・・・・」


 マクワヤードは緊張感のない表情をしているが、そこから感じる圧は生半可なものではない。

 2人も現在の基準でいえば異能を持たない人間の中では最強クラスと言って良い程の実力が備わっていた。

 それどころか、今現在各国にいる正規の軍人の異能持ちと戦っても勝てる程の実力が。

 その2人から見ても、今のマクワヤードは別格であり、戦神の名に恥じない程の実力を有しているのは容易に分かる。

 負けるつもりは無かったが、いくら数的に勝っていても余裕のある戦いは出来そうになかった。


「さて、我が王のご命令なんでやりますか。いい加減ゆっくりと余生を過ごさせてもらいたいものだよ」


 マクワヤードは地面に手を置いた。すると地面が小さく動き、その手には大剣が握られていた。

 土の形を変えて武器にしたのだ。やっていることはフィオンの異能に酷似しているが、フィオンのものほど汎用性が高い訳ではない。

 これはあくまで土魔法により剣の形を模っているだけに過ぎない。

 だが、聞けば単純だがそこまで簡単なことではない。

 魔法は基本的に誰でも使えるが、その用途はそこまで多くはない。

 複雑になるほどそちらに意識を集中させねば失敗しやすく、実力者が振るうような剣を作り出すなど、並のことでは到底ない。

 それをあっさりやってのけるのは、流石としか言いようがないだろう。


「ミシェ、気を抜くなよ。死ぬぞ・・・・・・」

「分かってる」


 静かに使い慣れた剣を構えて戦闘のみに意識を没頭させる。


「若人達よ覚悟しなさい。おじさんは手加減しないからね!」


 マクワヤードが一気に目の前まで迫ってきた。

 初動の動作がほぼ無かったのは足に込める力を最小限に、移動の一つで途方もない技術を使い移動してきたのだ。


「ふっ!」


 かなりの質量があるはずの大剣をマクワヤードは重さを感じさせない程軽々しく振るってくる。

 2人は余りに予備動作の少なかった先手を正確に見切り受けるのではなく大きく回避する。

 初動に力を籠め切っていなかったのなら、必ず切り返しの攻撃が来ると読んでの行動だ。


「やるねぇ。並の相手ならこれで終わるとこだけど、流石と言っておこうか。だけどまだ甘い」


 マクワヤードは大剣を振り抜いたはずなのだが、その手にはいつの間にか短剣が握られていた。

 短剣をそのまま投擲。2人の足運びを考え、対処しにくいタイミングになるよう巧妙に狙ってくる。


「トアン!」

「ああ・・・・・・」


 マクワヤードが先程振るった大剣ならいざ知らず、投擲された短剣くらいならミシェリアでも簡単に弾ける。

 トアンは即座にミシェリアの意図を汲み取り短剣の対処を任せ、踵を返しマクワヤードに斬りかかる。

 マクワヤードは短剣を処理された後の追撃の為に直剣を構えて向かってきていたが、唐突なトアンの切り返しにその勢いが止まる。

 結果鍔迫り合いにすらならず、マクワヤードの剣が弾かれ体勢が崩れた。

 そこへ短剣を弾きトアンに遅れて来ていたミシェリアの追撃が間に合う。

 だが、それだけで勝てる程甘い相手ではない。

 恐ろしい反応速度で直剣を盾にしてミシェリアの攻撃を防いだ。

 その攻撃の反動をそのまま使い、大柄な体形からは考えられない程軽やかに動いて距離を取り態勢を立て直す。

 トアンは下手には追撃しなかった。

 このタイミングではギリギリマクワヤードが反撃を間に合ってしまうと感じたからだ。


「いやぁ、見事だ。異能無しでここまで思い通りに行かなかったのは初めてかもしれない。本当に恐ろしいよミストライフ」

「・・・・・・真面目にやれ」

「これでも結構真面目にやってたんだけどね。ま、それじゃあお言葉に甘えて本気で、やらせてもらうことにするよ!!」

「っ!? トアン!!」

「くっ・・・・・・」


 マクワヤードは突然シャクストが見せていたような凶悪な表情になったかと思うと、先程とは比べ物にならない速度でトアンに突撃した。

 どうにか反応することが出来たが、その重い一撃を受け止める体勢になかったために腕だけで受け止めることになった。

 腕が悲鳴をあげ、このままでは持ちそうになかったが、ミシェリアがトアンを助けるべく斬りこむ。

 いいタイミングだったのだが、そう上手くはいかない。

 マクワヤードはトアンの腹部に蹴りを入れ、そのまま手に持つ大剣を槍に変え滑らかな動作でミシェリアに一閃。

 反応が若干遅れたミシェリアだったが、どうにか回避し致命傷を受けることは避けた。だが間入れず槍の腹での横薙ぎをもろに食らい数メートル吹き飛ぶ。


「第二ラウンド、始めようか?」


 久方振りの本気の戦闘にレホラの戦神は邪悪に笑う。

 かつて見たその圧倒的な力が2人に容赦なく振るわれようとしていた。

VRくん「ミストライフの他のメンバーに隠れて分かりづらいけどミシェとトアンもかなり強いよね!」

VRちゃん「それに今回から本格的に登場したマクワヤードも異能を持ってなくてもかなりの実力者だしね!」

VRくん「異能が主体の作品ではあるけど、こういうキャラ達もかっこいい!」

VRちゃん「これはどちらが勝つか楽しみね!」

VRくん「負けるなミストライフ!」

VRちゃん「次回! 『VSマクワヤード1』 お楽しみに!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ