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ミストライフ  作者: VRクロエ
レホラ王国編
60/226

王の器

フィオンの異能の隠された秘密に迫ります。

 どうにかシャクストの目の前までは来ることが出来た。

 臨戦態勢のまま向かい合う。このまま正面から戦ってはただの自殺行為になるだろう。

 フィオンも同様に攻める隙を伺っている。

 シャクストの異能は身体能力の上昇だと前にフィオンから聞いたが、既に発動させているのか分からない。

 異能は今まで見てきたものはイルミアのを除いて一目で分かるものだったが、改めて察知出来ないものと対峙すると厄介なことこの上ない。

 極度の緊張感の中向かい合っていたが、その均衡を崩したのはシャクストだった。


「あー、始める前に念のためもう一度聞いておく。フィオン、俺の物になれ」

「またそれか・・・・・・もう何度も断ったはずだが?」


 再度説いてくるシャクストにフィオンは鬱陶し気に答える。


「諦めるつもりはねえんだなこれが。――――――この際だ、正直に言おう。お前は王になれる器だ、それを敵だと殺してしまうのは余りにも惜しい」

「私は王になることなど望まない!」


 王になれる器。それはつまりこの世界に置いて戦闘力という点において頂点に立つことが出来るということに他ならない。

 しかしシャクストのフィオンに対する評価は異常と言えた。

 フィオンは常日頃王達は別格だと俺達に言い続けてきた。それは間違いではないのだろうし、警告する以上フィオン自身でも1対1での勝算は限りなく低いと思っている証拠だ。

 だが、シャクストは己と並びたてる程の存在だとフィオンのことを評価している。

 この差をおかしいと思うのは、俺とシャクストの間にフィオンに対しての明確な情報の齟齬がある気がした。


「・・・・・・なんで」

「あ?」

「なんでフィオンをそこまで評価する? 俺自身フィオンのことはかなり大きく評価しているつもりだが、あんたがそこまでフィオンに固執する理由が分からない」

「はーん・・・・・・お前、名前は?」

「・・・・・・ラクリィだ」


 俺が疑問を口に出すと、先程まではまるで居ない者のように俺のことを無視していたシャクストが初めてこちらに目を向けた。

 それだけではなく、一瞬だが俺の名前を聞いた時に表情が驚いたように動いた気もした。


「ラクリィ・・・・・・シェダの奴、分かってて隠してやがったな・・・・・・」


 シャクストは鋭い目を俺に向けつつ、何かを呟く。小さな呟きは俺には聞こえなかったが、獲物を見つけたような、そんな感情だけが漠然と伝わってきた。


「おめえともそのうちゆっくり話したいが、今は辞めておこう。それより俺がフィオンに何故ここまで執着しているか、だったな。その理由は当の本人が一番分かってるんじゃないか? なあ、フィオン」

「・・・・・・」


 シャクストに問われたフィオンは先程のように反発して返すのではなく黙り込んでしまった。

 フィオン自身が既に知っているのならば俺でも知っていてもおかしくない。

 少し考えてみるが、確かに戦闘面に関しては、俺がこれまで戦ってきた誰よりも強いのは間違いないが、それでも今の俺なら勝てないことはないくらいな気もする。

 そもそも、聞き及ぶ王の実力があれば、王城内で捕まるなどといったことにはなっていなかっただろう。


「フィオンの異能はすげえよなぁ。対象を元素レベルに分解し、更にそれを構成する要素が揃っていれば構築することもできる。制限はそういった要素それが構成されているかを正しく把握していること。フィオンには似合いすぎなくらいの力だ」


 答えが出ない俺にシャクストはまるでヒントを与えるかのように喋る。

 今出た能力の詳細、制限は既にフィオンから聞かされている。しかし何の意味もなくそんなことを言うはずがない、何かこの中に問題の答えに繋がるものがあるはずだ。

 今までのことを思い出してみる。これまで俺の前でフィオンはあらゆる物を分解、構築してきた。

 それこそ目に付く物ならば何でもそう出来てしまうのではないかと錯覚するほどに。

 いや、ある。フィオンはこれまであらゆる()を分解して見せたが、()()も分解してはいない。

 仮にも研究者なのだ、霧魔獣の身体の構成要素が分からなくとも、人体の構成要素ならば知っているはずだ。

 今までやらなったのは人道的な理由だろうが、これが正しいならばフィオンは相手が異能の範囲内に入っただけで、その相手を消し飛ばすことが出来る。

 強い弱いの話ではない、事実上フィオンには人間では勝てないのだ。


「どうやら分かったようだな。フィオンは強者というには生ぬるい程の悪魔的な力を持っている。王にふさわしい」

「フィオン・・・・・・」

「すまなかったなラクリィ、今まで黙っていて。だが実行するつもりのないことを話しても仕方あるまい。それにな、異能者は身体の作りが普通の人間とは違う。つまりこれから戦うであろう強者達には殆ど無力なんだ」

「ああいや、別に責めている訳じゃないんだ。少し驚いたがフィオンがそんな奴じゃないのは分かってるよ」

「ありがとう・・・・・・」


 そんなことを今更知ったところでフィオンに対する心象は変わらない。正しく俺に道を示してくれるのならば地獄だろうと付いていくだけだ。


「シャクスト」

「んだぁフィオン。昔と違って自覚したんだろ? 大人しくこっちにこいよ」

「無駄話は終わりだ。お前はここで、殺す!」

「・・・・・・はっ! いいさ、ボコボコにして無理やり言うことを聞かせてやるよ!!」


 更に口角を吊り上げ笑ったシャクストは、地面が割れる程強く地面を蹴りこちらに迫った来た。

さて予てより告知していた後書き限定キャラのお二人に自己紹介してもらおうとおもいます!

「VRくんです!」「VRちゃんです!」

「「作者に安直な名前を付けられました! 断固抗議します!」

やかましいわ! 安直で悪かったな!

VRくん「次回からは感想や!」

VRちゃん「次回予告をしたりします」

お楽しみに~



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