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ミストライフ  作者: VRクロエ
レホラ王国編
51/226

フィオンの武器

お久投稿です!!

期間がかなり空いてしまい申し訳ございません

 フィオンは取り出したマフラーを首に回す。

 藍色のマフラーはフィオンの蒼色の髪と良く合っており、とてもお洒落に見える。


 そんなことはさておき、俺達は武器を取りに来たはずだ。

 ぱっと見武器には見えない。どんなに思い切り振るっても毛ほどのダメージも与えられ無さそうだった。


「それで間違いないのか?」

「ああ」


 再度聞いてみるが、フィオンの答えは変わらなかった。


「とても武器には見えないんだが・・・・・・」

「まあ、そうだろうな。見てくれはただのマフラーだ。違うと言えば素材だ」

「素材?」

「このマフラーは私が長い時間を掛けて分子レベルで細かく編んだ物だ。普段は何の変哲もないが、私の異能で少し構造を組み替えてやるだけで様々な恩恵が得られる」


 フィオンはその恩恵について詳しく聞かせてくれた。

 何をしても砕くことが出来ない程硬くすることが出来る。

 逆に何でも切断出来る程、それこそ宝剣クラスの切れ味を出すことも出来る。

 炎や水を弾くようにすることも出来るらしい。


「ま、これも私の異能があってこそだから他の者にとっては本当にただのマフラーだがな」


 そういった特性のままフィオンの異能でに時には剣に、時には盾となるのだ。

 薄く引き伸ばせば全身を覆う鎧のようにも出来る、要は使い方次第。


「確かにフィオンが使えば強力だな」

「だろう? 作るのには苦労したんだ、残っていて良かったよ」


 もし敵に渡っていたとしても脅威にはならないだろうが、唯でさえ強いフィオンが更に強くなるのであれば、奪われてなくれ僥倖だった。


「他に何か回収する物は」

「もうない。隠していなかった物は持っていかれたようだ」


 部屋の中にある家具は綺麗に保たれているが、何だか寂しいように感じたのはそのせいだろう。

 フィオンも何か残っていないかと探したようだが、使えるものは無いようだ。


「そろそろ戻るか?」

「いや、どうせなら夜まで待とう」

「それはいいが、誰か人が来たりは?」

「大丈夫じゃないか? 手入れされた様子があるとはいえ頻繁に人が来ている訳でもあるまい」

「それもそうか」


 そんな訳で張り詰めていたものを解き適当な椅子に座る。

 手持ち無沙汰だ。だが下手をしてバレては本末店頭なので大人しく待つ以外の選択肢はない。


「なあフィオン。お前それを使って戦ったことあるのか?」

「ないぞ。そもそも前にここにいたときは本気で戦う機会もなかったしな」

「大丈夫なのか?」

「まあ、ある程度は何とかなるだろう。使いこなすなら少しの訓練が必要だろうがな。付き合ってくれるだろ?」

「それはいいな。楽しみにしておく」


 別に戦うのが好きな訳ではないが、更に強くなったフィオンと訓練で戦えるのなら得られるものは多いはずだ。

 命を懸ける訳でないなら喜んで望むところだ。

 今のうちにフィオンが取ってくる行動を予測しておくのが良いだろう。

 フィオンは大抵の武器なら扱える。

 剣やその他の武器に関しても性能が上がっただけでかなり厄介だ。

 こちらの攻撃を通すにもソードミストを使うしかなさそうだ。

 何をしても砕けないという程硬くなると言っていたが、フィオンが言うなら言葉のままに硬くなるのだろう。

 なればそれで守られれば全方位に対する絶対防御が可能になる。攻撃を通すのはほぼ不可能だ。

 そんな状況で俺がフィオンに勝つには、数少ない勝っている点である反射神経を以てして防御される前に一撃を入れるか、ソードミストで斬りこむしかない。

 骨が折れそうだ。


 それにしても時間がたたない。待っているだけというのは仕方がないとはいえ退屈なものだ。

 眠くなってくる。ここ最近気を張っていただけにそれが解けた反動が大きい。

 黙っている時間が長く意識が落ち始めた。


「ラクリィ!!」


 いよいよ意識が落ちようというところで焦ったようなフィオンの声が聞こえた。

 落ちかけた意識が一気に覚醒し、反射的に腰に掛けた剣に手を置く。


「どうしたフィオン!?」

「甘かった・・・・・・誰か来たみたいだ」


 扉の方に耳を澄ますと確かに足音が聞こえた。

 この部屋があるのは端なので何処かへ行くことは望めないが、部屋には入って来ないでくれと祈る。

 その祈りは届かず扉が開けられた。


 扉の先から現れたのは緑の髪を中途半端に長く伸ばした男だった。


「ようフィオン。久しぶりだな」

「ヤカサス・・・・・・」


 フィオンの口から出たのは事前に聞いていた名前だった。

 レホラ王国の王子ヤカサス。その顔には性格の悪そうな笑みが浮かんでいた。


「いつ気付いた?」

「さあ? 想像にお任せするよ。――――――さて、じゃあ来てもらおうか。そっちの奴も来い」

「大人しく付いていくと思ってるのか?」

「思ってないさ。だから・・・・・・無理やり連れていくことにするよ」


 その言葉と同時に何かに押さえつけられるように俺とフィオンは地面に倒れる。


「なっ!? これはまさか!!」

「そのまさかよフィオン。会いたかったわ」


 そう言って部屋に入ってきたのヤカサスと同じく緑色の髪をした女性。


「キャロル!!」


 今回のもう一つの目的でもある人物のキャロルだった。


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