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ミストライフ  作者: VRクロエ
レホラ王国編
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フィオンの過去1

最近烏龍茶が美味しいです^^

 生まれは普通の家庭だった。

 兵士の父親と一般市民の母親の間に生まれたのがフィオンだった。

 親に似ず蒼い髪を持って生まれてきたが、両親は特に気味悪がる様子もなくフィオンを大切に想っていた。


 転機が来たのはフィオンがまだ5歳の頃。

 幼いながらもとても聡明で知識欲も多く持ち、既にその辺の大人よりも賢いと言っても過言ではなかった。

 それだけであれば将来は学者だろうかと周りに期待されるだけの子供だったのだが、フィオンを只の秀才に留まらせない別の能力があった。


 異能はある日突然理解し使えるようになる。

 頭の中に聡明なフィオンですら理解し難い情報が突然浮かび、好奇心のままにそれを発動させる。

 木で作られた机はチリのように消え、フィオンとその場に居た両親は驚きすぎて何も言えなくなってしまう。

 フィオンが異能を使ったという情報は直ぐに国の上層部に知られることになる。


 それからしばらくしてフィオンの両親が事故で亡くなった。

 いくら聡明といってもまだ子供であり、天涯孤独となったフィオンは有能な人材として、レホラでも有数の研究チームの一員として組み込まれることになる。

 両親を失った悲しみもリレンザという親の代わりのような存在のお陰で立ち直れる程度には癒されていく。

 そうなってしまえば、好奇心の塊とも言えるフィオンにとってはこれほどのものはないと言っていい程の環境だ。

 この世界の最大のテーマである霧の研究にその身を捧げながらもリレンザに勧められ戦闘訓練もおこなう。

 これまでに類を見ない程の強力な異能を持っていることもあり、研究者としても戦闘技能にしても一流の人間になっていた。

 周りからのフィオンに対しての評価は月日が過ぎるごとに上がっていき充実した日々を送っていた。


 これが一部の人間の悪意によってなった立場だとはこの時のフィオンは知る由もなかった。






 ――――――――――






 しばらくの年月が過ぎ去り、フィオンも子供から大人になろうという年齢になっていた。

 選りすぐりの研究員が集められたこの研究室は人員も滅多に入れ替わらず、これだけの時間が経っても合わせる顔ぶれに変化はなかった。

 関係性も良好であり、お互いが共に高め合うライバルであり、支え合う友でもあった。


 霧に関する研究も進んでおり、どうやら毒というよりは人体に影響のある魔力であると研究結果が出ている。

 しかし肝心の発生原因や除去する方法については手詰まりだというのが現状だった。


 ある日フィオンは気分転換がてら王城内を適当に歩いていた。

 立場的にはそこそこ偉い立場にあるものの、他の研究員に比べてフィオンの待遇は異質なもので、普段寝泊まりするための部屋に至っては王城内の一室が貸し与えられていた。

 その為王族とも顔を合わせる機会が多く、現王であるシャクストは勿論のこと、王女とは特に懇意にしていた。

 キャロルとはもはや友人と呼んでいい関係であり、本来なら不敬になってもおかしくないくらい口調も態度も砕けたものになっていた。

 そんなフィオンがこうして王城を適当に出歩いている姿など、ここで働いている者ならば見慣れたもので、特に何かを言われるということはなかった。


 もう見たことのないところなどないくらいには出歩いているこの場所だが、ふと地下に行くための階段の壁の一部に違和感を感じた。

 特に何も考えずに異能を使って壁を崩すと、新たに階段が現れる。

 使わなくなったものか、はたまた隠しているのか。

 どちらにせよ進まずに元に戻すのが正しいことなのだが、フィオンはここで生まれついて自信に備わっていた好奇心に負けてしまった。


 真っ暗な階段を魔法で明かりを灯しながら下っていく。

 そこまで長い階段ではなかったようで直ぐに終わりが見え、代わりに扉が現れた。

 勿論ここまで来て引き返すような性格をフィオンはしていない。


 好奇心の赴くままに扉を開けた。


 部屋は物で溢れかえっており、その中にはフィオンですら見たことが無い物がいくつかあった。

 乱雑に置かれているかと思いきや、それなりに整頓されている。

 更には埃っぽくもないことから、この部屋は不要になり埋められたわけではなく、隠されていたのだと分かった。

 しかしここまで来てしまえばもういい訳は出来ない。

 そんなわけでフィオンは自分の知らない物を物色することにした。


 成分の分からない石。変な色の液体。生き物の死骸のような何か。

 構成する要素が分からない以上フィオンの異能でどうこうすることは出来ない。

 研究室に持ち帰り詳しく調べたい気持ちもあったが、質量や大きさなど色々と考慮した上で辞めておいた。


 部屋は結構な広さがあり、奥の方も見てみようと進んでいく。

 その先で一際存在感のある物が目に付く。


 一輪の花だ。


 何故他の奇妙な物よりもそれに引き付けられるのか分からないが、ただただ気になってしょうがなかった。

 透明なガラスケースで密封されているのにも関わらずその生命力は全く衰えた様子がない。


 どうしても、何があっても調べたい。先程までの物と違い明確にフィオンはそう思った。

 持ち運びも簡単。抑制するものが何も無ければフィオンの取る行動は一つだった。


 フィオンは花を持ち出した。

思っていたよりも長くなりそうなので分けることにしました。

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