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ミストライフ  作者: VRクロエ
レホラ王国編
44/226

レホラに向けて

 出発当日の早朝。全ての準備を終えた調査班のメンバー全員で朝の食事を取っていた。

 相変わず犯罪組織とは思えない美味しい料理。これがしばらく食べられなくなると思うと残念な気持ちになる。


 食べ終わった食器をルコが下げていき、一息付く。

 朝早いせいで俺達以外は誰も居らず、静かな時間が流れていた。


「ラクリィお兄ちゃん達しばらくは帰って来ないんだよね?」

「ああ、そうだな・・・・・・。フィオン、実際どのくらいになりそうなんだ?」

「ひと月は帰れないと思っておいてくれ。状況次第では早く帰れると思うが、伸びる可能性の方が多いだろう」

「そっか・・・・・・気を付けてね。帰って来なかったら嫌だよ?」

「そう簡単にやられるつもりは無いから安心して待っていてくれ。帰ってきたらまた生活班の仕事を手伝うよ」

「うん!」


 俺がそういうとルコは元気に返事をした。

 ルコに寂しい思いをさせないためにも、さっさと終わらして帰ろうと思った。






 ――――――――――






 この間とは違う出入り口から外に出てくる。

 ミストライフの拠点はかなりの広さがあるので、行く場所によっても出口を変えたほうがいいらしい。

 そうしないとわざわざ山を越えたり、渓谷を迂回したりなどの手間がかかると言われれば確かにその通りである。


「さて向かうか。1週間程かかるので小さな村に数度潜伏するのでよろしく頼む」


 外の世界での長距離移動は霧の毒素を適度に抜かなければならないので、安置で休むことになる。

 本来であれば普通に入って休めばいいのだが、犯罪組織である以上は簡単に人前に姿を現すわけにもいかない。

 その為、村に隠れて入り、人の来なさそうな場所を見つけて尚且つ一日滞在しなければいけない。

 余計な労力がかかるが、命には代えられないので仕方がなかった。


 フィオンを先頭に歩いていく。

 本来であれば反応が早いラクリィが先頭を歩くのが理想なのだが、道が分からないので時点で対応力のあるフィオンが先頭を歩いている。

 そのすぐ後ろにラクリィ、それから突然の戦闘になっても剣を振りやすい距離を保ちながらトアンとミシェ、アロマと続き最後尾にイルミアだ。


 歩きながら霧魔獣との戦闘が数回。単体であれば最も近いメンバーが対処し群れであればフィオンかアロマの魔法でまとめて処理をしていく。


 そうして進んでいき日が沈んでくる。

 道中で無理をしても仕方がないので適度なところで野営をすることになった。

 フィオンの異能で簡易な住居を作る。

 霧魔獣は食料とすることも出来るので、ラクリィとトアンで近場で狩りをしてその日の食料を確保する。

 素早く食事を済ませて交代で見張りをしながら休むことになった。


「冷えてきたな」


 最初はラクリィとフィオンで見張りをすることになっている。

 夜になると気温が低くなってきて肌寒い。

 フィオンは温まるように焚火の近くに腰を下ろしていた。


「ラクリィもこちらに来て座ったらどうだ?」

「そうは言ってもなぁ・・・・・・フィオンは気を抜きすぎじゃないか?」

「逆にお前は張り詰め過ぎだ。まだ先は長いんだから程々にしないともたないぞ」


 フィオンが座るように自分の隣を叩くので、思うところはあるが座ることにした。


「素直じゃないか」

「・・・・・・別に意地を張ることでもないしな」

「ふふ。それもそうだな」


 短い会話の後フィオンは黙ってしまった。

 静かな時間が続く。フィオンといてこんなに静かなことは今までなかったので不思議な感覚だった。

 フィオンの横顔を見るとその目に焚火が映っておりとても綺麗だった。


「どうしたそんなにじっと私の顔を見て。私の顔に何か付いているか?」

「あ、ああいや、何でもない」


 自分で思っていた以上にフィオンの顔を見つめていたようだ。

 言われて恥ずかしいくなり顔を逸らしてしまった。

 気まずい雰囲気。いや、そう思っていたのはラクリィだけだったかもしれないが。

 空気に耐えられずに咄嗟に言葉を絞り出した。


「なあ、フィオンはレホラ出身と言っていたが、その頃はどんなことをしていたんだ?」

「なんだ急に」

「キャロル王女と顔見知りなんだよな? 俺が言えたことじゃないが、普通に考えればかなりの立場にいたんじゃないかと思ってな」

「あー、そういうことか」


 フィオンは再び黙ってしまう。

 その表情には憂のようなものが読み取れる。やはり何かあるのだと思った。


「すまん、言いずらいことなら言わなくていいぞ」

「・・・・・・私は研究員だったんだ」


 フィオンは突然に話し出した。


「話してくれるのか?」

「なんでだろうな、ラクリィになら話してもいいかなと思ったんだ。お前は私に近い奴だからかな」

「近いってのがどういうことか分からないが、ありがとう」

「私からのこの話をするのは初めてだ。キツイ話になるがお前には知っていてほしいと思ったんだ」


 そう言って複雑そうな顔をしながらフィオンは語りだした。




次回遂にフィオンの過去が明らかに!

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