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ミストライフ  作者: VRクロエ
レホラ王国編
42/226

レホラの第一王女

 フィオンの口から飛び出したのは予想もしていなかった人物だった。

 一般の兵士であれば名前までは知らなかったかもしれないが、アロマと長く共にいれば必要になる時が来るかもしれないと勉強しておいてよかった。


 とはいえ名前以外のことは何も知らない。


「何故今の時点で仲間にすると言うことが出来る?」


 トアンの疑問はもっともだ。

 ミストライフはただでさえ敵視されていて、仲間以外はほぼ信用出来ないというのに今回の相手は明確に敵と言っても過言ではない王族だ。

 無論王族が全て敵だとは言い切れない。アロマもいるわけだからなおさらだ。

 それでも何もなしには流石に納得出来ない。


「お前達の気持ちは分かる。だがキャロルは大丈夫だ、あいつのことはよく知っている」

「顔見知りか・・・・・・」

「まあな。私はレホラ出身なんだよ」


 顔見知りなのであればここまで言うのも分かるか。

 フィオンの人を見る目を信じよう。


 しかしフィオンがレホラ出身と言っても、それが王族と知り合いだというのは普通に考えておかしい。

 これもまた俺が言えたことではないが、そこそこ立場の高い人間であっても王女を呼び捨てにしているのは異常なのだ。

 つまりフィオンは俺の同じく特殊な出会い方をして尚且つキャロルが変わった性格の持ち主か、フィオンの立場が王族を呼び捨てに出来る程のものだったかだ。


 本当にフィオンは何者なのだろうか。


 異能は生まれつきのものだから置いておいても、高い戦闘技術に過剰なまでの様々な知識。

 ミストライフのメンバーの過去には謎が多いが、気になる謎はフィオンが飛びぬけて多かった。

 過去の詮索は暗黙のルールで禁止されているので聞く気はなかったが。


「キャロルは重力を自在に操る異能を持っている。範囲などの制限は無論あるが触れるなどの制限はないし物にも人にも作用させられる。不意打ちであれば1対1でも私に勝つ可能性のある奴だ」

「確かにそれは仲間になってくれれば心強いね!」

「ただ王族という異常声を掛けるにも危険が伴う。それこそレホラの王であるシャクストとの戦闘も視野に入れなければいけない」

「今までフィオンが動かなかったのはシャクストに勝てる戦力が揃っていなかった、から?」

「正直に言うならまだシャクストに勝つのは厳しいと思ってる。4王はそれほど別格な存在だ。シャクスト1人であれば可能性も無くはないが・・・・・・」


 あのフィオンがここまで言うなら認めるしかないだろう。


「それでもキャロルは私の数少ない友人だったんだ。なるべく早く向かいに行ってやりたい。私の我儘も入っていて申し訳ないと思うが、力を貸してくれ」

「お! フィオンが頭を下げるなんて珍しいね!」

「ふん、こりゃいいもんが見れたな。気分が良いから俺は構わないぞ」

「お前ら・・・・・・」


 ミシェとトアンにからかわれてフィオンはかなり不服な様子だ。

 2人とも言われずともフィオンに命令されれば付いていくだろうに。

 いや、フィオンのこういうところにきっと皆引かれて付いていくのだろう。


 と、まあそれはさておき、王族と聞いて1つ思い出したことがあった。


「そういえば4国は戦争をしているとはいえ、王族同氏は会う機会もあったはずだ。アロマは会ったことがあるんじゃないか?」


 詳しくは知らないが王族間で行われる簡単に言えば豪華な食事会みたいなのがあると以前アロマから聞いたことがある。

 アロマも参加したことがあると言っていたのでもしかしたらその中で会っているかもしれない。


「あー、キャロルさんは参加したことがなかったはずだよ。ヤカサス王子とは嫌になるほど顔を合わせた記憶があるけど・・・・・・」


 何かあったのだろうか。

 ヤカサスの名前を思い出したアロマは露骨に嫌な顔をしている。


「ヤカサスか・・・・・・確かにあいつは私も好きになれんな。それにほぼ確実に敵だ」

「強いのか?」

「はん、小物などこのメンバーなら誰も遅れを取らんさ。自尊心が強いだけの男だよ」


 フィオンも相当嫌いなのか言葉に刺がある。

 控え目に言ってもかなりレベルの高い女であるこの2人にここまで言われると正直哀れに思えてもくる。


「話が逸れたな。他にキャロルについて聞きたいことはあるか?」

「とりあえず無いかなー。細かいことは仲間になってから本人に聞けばいいし」

「ん、楽しみ」


 この後は実際の詳しい行動やレホラ内の情勢、注意すべき人物など一通りフィオンから説明を受けていい時間となってしまい解散することになった。


 明日にイルミアの実力等諸々の確認を済ませ、準備に3日かけてその後に出発することになっている。

 準備と言っても俺自身はほとんど用意するものもないのでルコの手伝いでもして気持ちをリラックスしておこうと何となく考えるのだった。



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