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ミストライフ  作者: VRクロエ
ミストライフ加入編
38/226

アロマの気持ち

 元々の性格もあってかアロマはすぐに馴染むことが出来た。

 特にミシャとは仲が良いようで、訓練後などはよく2人でいることが多いようだ。


 俺としても安心した。

 とはいえ人間同士合う合わないがある。


 その最たる者がルコだ。

 どうやらルコはアロマが少し苦手らしくまだまだ距離があるように思えた。


「なあルコ? アロマとはまだ上手くやれそうにないか?」


 俺は相変わらず暇なときは生活班の手伝いをしている。

 生活班というよりはルコの手伝いといった方が正確かもしれない。

 本当に兄弟が出来たかのように慕ってきてくれるのでついつい甘やかしてしまう。


「んー、別にアロマさんと仲は悪くないよ?」

「それはまあ・・・・・・仲が悪いとは思ってないけど、なんかぎこちない気がしてな」


 今のアロマとルコは初めて会ったときの俺とルコのようだ。

 流石に初対面からルコがこんな風に懐いてくれていたわけではない。それでも2回目以降からはずっとこんな感じだ。


 そんな2人の様子を見ていると何とも言えない気持ちになる。


「相変わらず仲がいいわね」


 そんなことを考えながら手を動かしているといつの間にかマキアさんが来ていたようだ。


「こんにちはマキアさん」

「こんにちはラクリィ。いつもこの子の相手をしてくれてありがとね」

「相手って・・・・・・もうそんな子供じゃないです!」


 マキアさんの言葉にルコはむくれたような感じで言い返す。


「はいはい、ルコも大きくなってるものね。それで何を話していたの?」

「え、そのー」

「ルコとアロマにまだまだ距離があるように感じて、もしかしたら何か気になることでもあるのかと思いまして」

「なるほどね。ラクリィは直ぐにルコに懐かれたからそう思うのも無理ないかも」

「と、言うと?」

「単なる人見知りね」


 そうだったのか。自分の時しか基準に出来ないから分からなかったが、ルコは結構人見知りするタイプだったようだ。

 初めて知る一面を聞けて良かった。隣のルコは恥ずかしそうにしてるが。


 だとしたら俺とアロマの差は何だったのだろうか。

 自分でいうのもなんだが俺はそこまで話しやすいタイプではない。

 それに比べてアロマはかなりフレンドリーで話しやすいと思うのだが・・・・・・


 まあその辺はルコ自信のことだからあまり口を出すことではないだろう。

 そのうち打ち解けてくれることを願うだけだ。






 ――――――――――






 ある日の夜アロマが俺の部屋にやってきた。

 ここ最近はようやく落ち着いてきたので、俺としてもゆっくり話す時間が欲しかったから丁度いい。


 他愛ない話をする。

 こうしてアロマと話しているとミストライフに入る前のあの頃に戻ったかのようだった。


「こうして話してるといつもと変わらない感じがするね」

「・・・・・・そうだな」


 アロマも同じことを思っていたらしい。


「そういえば俺が落ちた後ってどんな感じだったんだ?」


 言いにくいかとも思ったがどうしても気になったので聞くことにした。


「そりゃあもう大変だったよ! 助けに行こうにも行けない状況だったし。落ち着いてから何度も何度も探しに行ったんだからね!」


 アロマは怒っているかのように勢いよく話す。


「こうしてわたしも事情を知ったから無事だって言いに来るのは無理だったんだって分かるけど、それでもわたしだけにでも無事を伝えて欲しかった・・・・・・」

「それは・・・・・・ごめん」


 確かに迷ったことはあった、アロマだけには会いに行こうかと。

 フィオンに相談しようともしたが結局何も行動を起こさなかった。

 もしかしたらフィオンは許可を出してくれたかもしれない。なんだかんだあまいというか、人間関係に対してはフィオンはかなり寛容な気がする。

 自分自身にはかなり厳しいとも思うが。


「まあこうして無事だったんだしいいけど」


 それ以降アロマは黙り込んでしまう。


 アロマのことだから相当な責任を感じてしまっていたはずだ。

 そう思うと俺も申し訳なくなってしまい何も言えなくなる。


 もっと強くなって心配の掛けることが無いようにしなければ。

 この先ヨルムンガンドよりも強い相手と戦うことが多いはずだ。それと対等に渡り合う為には霧化だけで満足していられない。


「どうしたのらっくん」

「いや、何でもない」

「本当に? ならいいんだけど・・・・・・」


 心情がアロマに悟られないようにごまかす。


 アロマは深くは聞いてこないで引き下がったと思った。


「ねえらっくん!」


 突然アロマがこちらに乗り出してくる。


「わたし・・・・・・らっくんが好き」

「っ!? ああ・・・・・・」


 アロマの気持ちは知っていた。

 だが突然すぎてそう返事をしていいのか分からない。


「別に返事が欲しい訳じゃない。――――――それにらっくんの気持ちはフィオンに向いているみたいだし」


 アロマの声は徐々に小さくなる。最後の方はほとんど何も聞こえなかった。


「そんならっくんのことが大好きでどうしようもないわたしは、らっくんの為ならなんでも出来る自信がある。悩んでいるなら相談もしてほしい」

「アロマ・・・・・・」

「だから迷ったり困ったことがあったら何でも相談してね。わたしはどんな時でも力になるから」


 アロマは真剣だった、その瞳には何の迷いもない。

 こんなにも思われているのにそれに答えてあげることが出来ない。


 だが気持ちは違えど俺もアロマのことは好きだ。ならば俺は出来うる限り真っすぐにアロマと向き合おう。


「ありがとうアロマ。その・・・・・・頼らせてもらうことは多いと思う」

「うん! わたしに出来ることなら任せて!」

「アロマの気持ちには答えられないけど、俺もアロマが大切な人なのは変わりないから。俺のことも頼ってくれ」

「もちろん! これからも頼りにしてるよ!」





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