島の内部へ
200話目や~
数日の間で作ったそれぞれの地図を繋ぎ合わせる。
島の外周部はこれで情報が出揃った。広かったために時間は掛かったが、見逃しがあってはいけないので、しっかりと隅々まで確認し、結果としては何もなかった。
今日からはいよいよ島の内部へと足を踏み入れていく。
探索範囲は外周部よりも多くなる。さらには森が広がっていることもあり、歩きにくいことが予想されるため、結構な時間が掛かってしまうかもしれない。
持ってきている物資の量が心配になってきたので、狩った霧魔獣の中で、食べることが出来るものに関しては、焼却せずになるべく持ち帰ることとなった。
と言っても、持ち歩くのは中々に厳しく、リスクもあるので、地図上で狩った場所に印をつけて、戻った際にファーニーと共に回収することになる。見つかる可能性も高くなるが、手に何かを持った状態で敵と接敵した時のことを考えれば、見つかったとしても万全の状態で戦えるこちらの案が妥当なところだ。
「それじゃあ、行ってくる」
「気を付けてくださいね」
先に出るのは俺達ミストライフの調査班だ。
探索という点においては俺達が最も経験している。なのでまずは俺達が先に行き、島内部の大まかな様子を見てくるのだ。
複製された地図をトアンが広げ、現在位置を確認しつつ、ミシェが新たに足を踏み入れる場所のマッピングをしながら歩いて行く。
静かな森の中、俺達の足音だけが耳に入ってくる。こうして歩いていると、元居た大陸にある森となんら変わりがない。視界が悪く、足場が不安定な、よく歩く森だ。
襲ってくる霧魔獣を倒しながら進んでいく。中心に向かって岩肌が見えることから、若干山のようになっているようだ。
一直線に中心には向かっていかない。とりあえずは端から地図を作っていく感じだ。
初日は相変わらず何の収穫もなく。次の日、さらにその次の日と過ぎていき、三日目に差し掛かったところで遂に動きがあった。
探知に人影を捉える。味方ではない、敵だ。
「止まってくれ」
俺は小声で皆に止まるように言う。流石にまだ声は聞かれない距離だとは思うが、静かな森の中なので念のためだ。
「敵か?」
「ああ。フュストルと、恐らくその手下だと思う奴らがいる」
ハクラは一緒にはいないようだ。気付かれている様子もないので、動きは自由に決められそうだ。
「どうする? まだ気付かれてないが・・・・・・」
「一旦戻って報告が良いだろうな。情報共出来る状況で勝手に戦闘を始める意味は無いしな。ラクリィは地図上にフュストルの位置を描いておいてくれ」
目視できるほど近くはないので、フュストル達のことは目視出来ていない。勿論そこまでの地図は出来ていないので、正確に把握出来ている俺が地図に書き込む必要がある。
ミシェから作りかけの地図を受け取り、尺度と合わせて何となくの位置を記入しておいた。
あっちにも拠点のようなものがあったので、そう簡単に移動したりはしないだろう。いざ戦うとなった時はこの場所までくれば問題なさそうだ。
その辺はトアンとミシェの役割なので、一応指をさして方向は伝えておいた。
その後拠点に戻り、フュストルを発見したことを伝える。
キャロルを交えた話し合いが始まり、どうするかが決まっていく。
出た結論は、もう少し地図を埋めてから戦おうということになった。
戦ってもいいのだが、仮に敵の増援、ハクラやそれ以外の戦力が出てきた時、地形を把握出来てない状態だと、霧魔花を処理して勝つという方法が取れなくなるという理由が大きいだろう。
少々面倒だが、避けて探索を続けることとなった。
遠回りをしつつ島の地図を完成させていく。
フュストルを発見して以降、何も見つけることはできていない。ハクラは一体どこにいるのだろうか?
霧魔花の場所から動いていないのだとしても、そろそろ見つかってもいいはずだ。既に島の殆どの場所は探索が済んでいる。
簡単に見つかるとは思っていなかったが、ここまでとは・・・・・・
「探知で発見できないとなると、何かしらの力が働いていても可笑しくなさそうだな」
とフィオンは考えているようだ。
しかし目視でも発見できていないとなると、洞窟の中のような隠れた場所である可能性が高い。
目をもう少し細かいところまで向けてみる必要がありそうだ。
明日からは探索出来る範囲はさらに狭まるだろう。
そんなことを考えながら仮拠点に戻っていると、微かだが物音が聞こえてくる。方向的には仮拠点の方だ。
何かあったのかと思い、俺達は急いで戻ると、そこでは激しい戦闘が繰り広げられていた。
「来おったか」
フュストルが戻ってきた俺達に悠々と目を向けてくる。
幸いキャロル達に大きな被害はまだないようだったが、敵の数がかなり多い、俺達も加勢した方が良さそうだ。
「待てラクリィ、お前の出番はまだだ」
「そうそう。ここは私達に任せて出来るだけ温存しておいて?」
トアンとミシェが、俺を静止して前に出る。
敵がこれだけとは限らない以上、確かに戦力は残しておいた方がいい。
それに、この2人ならきっと大丈夫だろう。そう考えて、俺とフィオンは指揮を出しながら戦っているキャロルの元へと向かった。
VRくん「次回からまた戦いが始まるな」
VRちゃん「まだ状況がはっきりしてないから、どうなるかは分からないわね」
VRくん「でも何も発見出来てない状態で戦いに入って大丈夫か?」
VRちゃん「確かにそこは心配ね。この戦いが何かを掴むきっかけになればいいけど。 さて次回! 『キャロルの判断』 お楽しみに~」