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ミストライフ  作者: VRクロエ
霧の世界編
199/226

島内把握

 シェダとの戦いを終えた俺とフィオンは、仮拠点を作っている場所に戻り、事の顛末を皆に説明した。

 戦闘の内容、結果。アロマを殺した理由からシェダの目的まで伝え終え、流石に疲れたので先に休ませてもらうことになった。

 仮拠点はほぼ出来上がっており、後は少人数でどうにかなるということなので、激しい戦闘が予測されるメンバーも早めに休むことになる。


 明日からは早速、霧魔花の探索になる。決められたメンバーごとに、無作為に探すのではなく、とりあえず島内の簡易マップを作りながらになる。

 いざという時に自身の居場所や、辿り着くべき場所がどこなのか分からなければどうしようもない。そういう訳だ。






 ――――――――――






 久方ぶりに調査班だけで何かをしている。最近は何をするにしてもキャロルや誰かしらがいるか、誰かが欠けているかといった感じだった。こうして調査班のメンバーだけというのは、前回この島に来た以来だろう。


 現在は仮拠点から少し離れた沿岸部を歩いている。

 俺はいつもの如く探知を発動させながら歩いており、マッピングをしているのはミシェ。トアンとイルミアは先導して歩きにくいところを避けており、フィオンは後方で何かおかしなものがないかの確認をしていた。

 俺では何の違和感も感じないものでも、知識の豊富なフィオンが見れば違うかもしれないと、この布陣になったのだ。


 ファーニーは仮拠点の方にいる。空という絶対的優位を確保できるファーニーは不測の事態に備える形となっていた。


「・・・・・・来るぞ」


 探知により霧魔獣の接近を一早く気が付き、皆に伝える。

 前回来た時には遭遇することは無かったが、この島にも霧魔獣は存在した。

 元々は俺達が来た大陸の一部だったのだから生物が存在しているのは当たり前だ。ただ、その生態系は独自のものがあり、基本的に出てくる霧魔獣達は俺達が来た大陸のものよりも強いのだ。フィオンは狭い世界の中で生き抜けた強い種だけが残っているからだと言っていた。

 あくまでも小型の霧魔獣の範疇に留まっているが。


「はっ!」

「ん」


 接近してきた数体の霧魔獣はトアンとイルミアによって速やかに処理される。油断はいけないが、今更この程度の霧魔獣相手に手を焼いたりはしない。


 倒した霧魔獣を魔法で焼却し再び歩き出す。今のところ霧魔花はおろか、敵の気配も一切感じない。予想はしていたが、この島はかなり広いようで、探索は苦労しそうだった。


「フィオン、そっちはどうだ?」

「珍しい植物なんかは結構あるが・・・・・・特に注目すべきものは何もないな」


 いけないな、多分無意識に焦ってしまっているのだろう。

 まだ初日で何も収穫がないのは別に普通のことだ。それなのにも関わらずこうも気になってしまうのは焦っている証拠に他ならない。

 だがシェダの言っていた、ハクラが今もなお力を増しているという言葉がどうしても頭を離れない。あまり時間を掛けていては、それこそ俺の力が一切通じないような怪物になるのではないかという不安が襲ってくる。


「焦ってるのか?」


 フィオンに図星を突かれてしまった。よく見てる奴だ。


「そうなんだと思う。良くないのは分かってるんだがな・・・・・・」

「まあ楽観的になっているよりはいいと思うが・・・・・・だが私達の目的はハクラを倒すことではなく、霧魔花を処理することだというのを忘れるなよ? ハクラがいくら強くなろうが、霧魔花さえどうにかしてしまえばいいんだ」

「大丈夫、忘れてないよ」


 ハクラが神になろうがどうなろうが、霧魔花さえどうにかすれば関係ない。


「そう重たく考えなくてもいいんじゃないか? こういうのは癪だが、未来を見ていたシェダが用意したシナリオ通りならば勝つのは私達なのだから」


 シェダはハクラを倒すために最もいい状況になるように動いていた。未来は変わると言っていたし、どういった未来をシェダ自身が見ていたのかは結局分からないが、この状況を用意されてしまった以上はある程度信じるしかない。それでもアロマを殺したことはいつまで経っても忘れることは無いが。


「さて、この辺で折り返して、島の内部を通りながら仮拠点に戻ろう。ミシェ、マッピングの方は大丈夫か?」

「うん! 通ってきた場所は大丈夫なはず!」

「ならいい。内部は森のようになっているから面倒だろう。ゆっくり進んでいくことにしよう」


 森に入ってからはゆっくり歩いていたこともあり、沿岸部を歩いていた時よりも霧魔獣に捕捉される回数が増えた。

 それ以外には特に変わったこともなく、初日の探索は収穫無しで終わる。


 その後キャロル達が作ってきたマップと照合して、島全体の大きさを予測する。

 今回のマッピングで把握出来た範囲は島の二割といったところだろう。

 外側だけならば明後日には終わるだろうが、果たして内部はどのくらいかかるか。敵との遭遇も予測できるので、いよいよ気は抜けなってくる。


 果たして状況が動くのはいつになるだろうか・・・・・・







VRくん「静かな一幕だったな」

VRちゃん「シェダとの戦いのまとめと下準備って感じね」

VRくん「まあなんもしてないのに展開してったら変だしな」

VRちゃん「といっても戦闘が始まるのも時間の問題だとは思うわよ。 さて次回! 『島の内部へ』 お楽しみに~」

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