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ミストライフ  作者: VRクロエ
霧の世界編
197/226

VSシェダ3

心臓痛いのを乗り越えた!

 フィオンが向かってきていることは探知で分かっていた。押し切れない状況にありつつも俺が焦らなかったのはこれが理由だ。

 フィオンは強い。俺と近しい身体能力を持つシェダ相手にも互角以上に戦うことが出来る以上、2対1となれば負けはまず無くなったと思って良いだろう。

 後はどれだけ消耗せずに戦いを終わらせるかだ。この島にいるであろうフュストルやハクラに勘付かれては状況が悪くなるので早期決着も心掛けたいところ。


「ラクリィ、怪我は?」

「大したことはない。それよりも攻め切れなくて厄介だ、手を貸してくれ」

「そんなこと、言われるまでもない」


 フィオンは既に戦闘態勢に入っている。いつものスタイルであるマフラーから分離させた二本の剣を両手に持ち、隙無く構えている。

 話し合いは必要ない。フィオンとはこれまで何度も背中を預け合っている。さらには信頼関係も強固になったと言って良い。自然と合わせることはできるだろう。


 探知にはフィオン以外のメンバーが拠点作りの作業を行っているのが映っている。フィオンが来たことにより作業効率は落ちているようだが、敵も来ていないようだし問題はない。人の手を借りなければ何も出来ないような奴はこの島には来ていないのだ。


 フィオンが来たことによって戦局は一気に傾いたが、シェダに焦るような様子は無い。多分だが、このことも分かっていたのだろう。


「役者は揃ったというべきか? フィオン、貴様程の力があれば統べる立場に回ることも出来ただろうに・・・・・・本当に良かったのか?」

「当たり前のことを今更聞くな。私の考えはいつだって変わらない、世界を変えることだ。その為に散っていった仲間の為にも、今も私の心を支えてくれる大切な男の為にも、もう立ち止まったりはしないさ」

「・・・・・・そうか。ならば2人で俺を超えて見せよ! でなければ神には届かないぞ!」


 さらに覇気を強めこちらに突っ込んでくるシェダ。先程速度が上がったと思っていたら、ここにきてさらに速度を上げてくる。

 だが、今更速度が上がった程度ではこの戦力差は覆せない。フィオンが前に出てマフラーで壁を生成し的確にシェダを止める。

 それだけでは終わらない。壁からシェダを拘束するように蔦のようなものが伸びていきシェダを追う。

 逃げた先には俺が先回りし渾身の力を込めてサギリを振るうと、ガードしたシェダの身体が若干浮き、後ろに飛ぶ。


「アースウォール!」


 シェダがこれまで使っていなかった魔法を使うと、地面から土が盛り上がってきて壁を生成する。

 それを見てフィオンは蔦のように伸ばしていたマフラーの先端を尖らせて壁を貫くが、一瞬の時間差によりシェダには避けられてしまった。


「逃がすか! アイスブラスト!」


 即座にフィオンが得意とするアイスブラストで追撃をかける。


「爆炎槍」


 迫りくる氷の刃を炎の槍で相殺したシェダだが、まだ止まらない。


「いけ!」


 霧の剣によりさらなる追撃をかける。

 圧倒的物量の中、それでもシェダはどうにか迫りくる霧の剣を無力化し、接近したフィオンにも対応しようと身体を捻る。


 ここからフィオンとシェダの接近戦が始まった。

 手に持つ二本の剣と魔法を組み合わせ、さらにはマフラー自身の足とマフラーを巧みに使ったアクロバティックなフィオンの戦闘スタイルは初見で見切ることは中々に難しい。

 しかしシェダは対応し、お互いに攻撃が掠りもしない状況が続く。


 フィオンが時間を稼いでくれている間に俺は霧呼吸を済ませ再び霧の剣を展開した。

 俺の準備が整ったタイミングでフィオンはあえてシェダの剣を狙って叩き、互いが弾かれる形になる。

 そこに向けて霧の剣を飛ばした。


「この・・・・・・程度で!!」


 シェダは叫び、無理に剣を振るい霧の剣を無力化させていく。

 恐らくだが、無力化する際に打ち合った重みはほぼ感じていない。様子を見てれば分かるが、本当に霧を斬っているような感覚なのだろう。


 だからこそ、突発的な衝撃に対応出来ない。


「なっ!?」


 キンッという剣同士が弾き合う音が響くのと同時に、シェダの手から剣が零れる。


「グラムかっ!?」


 そう、俺は霧の剣を飛ばした中に紛れさせるようにグラムを投擲したのだ。

 無理な体勢で剣を振っていたシェダに、そこまで確認する余裕はなかったのだろう。無感触な物を斬っているところに突然質量がある物が飛んできて力加減をミスったのだ。


 驚愕するシェダ、しかしそんな隙は致命的だ。

 投擲するのとほぼ同時に走り出していた俺は既にシェダの目の前まで来ている。


 崩れてる体勢、地面に落ちた剣。もはや回避する術はない。


「終わりだ」


 俺は静かに呟きシェダの身体を貫く。


「見事だ・・・・・・お前達の覚悟、見せてもらった」


 シェダは致命傷を負ったのにも関わらず、穏やかな微笑みを携えてそう言った。



VRくん「スッキリ勝ったな」

VRちゃん「流石にこの2人が一緒に戦えば強いわね」

VRくん「言葉はいらないってところがまたかっこいいな」

VRちゃん「それだけのものを築き上げてきたって証明ね。 さて次回! 『シェダの目的』 お楽しみに~」

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