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ミストライフ  作者: VRクロエ
霧の世界編
195/226

VSシェダ1

 出発前に気が付いた新たな力。本当だったらハクラと戦うまでは使うつもりはなかったが、少し戦った感じシェダは他の王と比べても数段上の強さを有していると感じた。

 これが仮にシェダ以外の王であれば、先程の攻防で終わっていた可能性すらある。今の俺ならば王達相手にも完封できるくらいには強いという自負があった。

 自惚れではなく、少なくとも1対1ならば、俺が想像している通りの結果になるだろう。


「ふぅ・・・・・・」


 力が入りすぎないように息を吐き、再度サギリを構える。

 俺がどういった行動を取るかは把握されていると考えていい。その精度やどれ程先の行動が読まれるのか、異能を使う上での制限などは未だに分からない。シェダ自体異能がなくともかなり強そうだというのは体捌きから分かる。そして霧を無効化したあの剣、ただ攻めていても埒が明かない。

 読まれていても避けることのできない攻撃をするのが今のところの最善策なのだが、生半可な攻撃では無理だ。


「まずは数か・・・・・・」


 俺は霧の剣をさらに五本追加し、とりあえずの手数を揃える。


「いくぞ」


 俺は手始めにかなりの広範囲に分解の霧を飛ばす。

 一見すれば他の霧と何ら変わりないが、飲み込まれた草なんかが分解されていくのを見て、シェダもその正体に気が付いたようだ。

 だがシェダの取る行動はあまり変化が無かった。手に持つ剣で分解の霧を斬り裂いてこちらに向かってくる。

 もしかしたらと思ったが、分解の霧も同様に無効化されてしまうようだ。


「まだまだ」


 俺は立て続けに霧の剣による猛攻をかける。

 さらに物量が増した霧の剣により、流石のシェダも一瞬足が止まる。

 そこに俺は分解の霧を飛ばした。


「・・・・・・ちっ」


 咄嗟に回避したシェダだが、分解の霧が腕を掠めて、服と少しの肉を分解した。

 小さな傷だが、分解されることで負う特殊な傷は、普通よりも出血量を多くさせる。血の通り道だった場所が綺麗に無くなればそうなるだろう。


 まだ戦闘力を低下させるという程の傷ではない。

 シェダは即座に態勢を整えて霧の剣を潰しにかかった。

 消されていくたびに新たな剣を作り出してはいるが、それも無限に出来る訳ではない。霧呼吸を挟まないといけないし、生み出すたびに疲労もある、数は確実に減っていた。


 シェダは脅威にはなりえない数まで霧の剣を消し去り再び接近してくる。

 やはり有効打を入れるには接近戦でこちらも戦うしかない。


 俺は迎え撃つ形を取り、そのまま接近戦が始まる。

 正確無比なシェダの攻撃を、反射とこちらの攻撃で対応する。分かってはいても、やはり詰め切れない部分はあるのだろう、今のところは五分といった感じだった。


 しかし強い。剣の腕だけでも今まで戦ってきた相手とレベルが違う。

 俺の剣の腕は世界でも最高峰だと言われており、これだけで戦うならまず負けないとまで言われていたのだが、それに拮抗してくるような奴がいるとは。


 それでも、最後に勝つのは俺だ。


「はっ!」


 俺は突きをするのと同時に、サギリの先から分解の霧を飛ばす。

 急に伸びた間合だったが、シェダはしっかりと回避する。

 その後の追撃はさらに激しさを増す。俺が剣を振るえば、その軌道上に分解の霧が飛んでいき襲い掛かる。射程が伸びるのと共に、紙一重の回避を許さない。


「こんなもので」


 シェダが厄介そうにしながらも、サギリを狙って剣を打ち付けてくると、サギリが纏っていた分解の霧が無効化される。

 即座に纏わせなおしたが、シェダも負けじと剣を打ち付けてくる。

 互いに決定打を欠いている状況がしばらく続いた。


 が、そうなってくると先に厳しくなってくるのは俺だった。


「はぁ、はぁ・・・・・・」


 霧の剣を生み出しつつ、分解の霧を使い、さらには接近戦での全力戦闘は体力の消費が半端ではなかった。

 分解の霧は、普通の霧よりも制御が難しい。それをミスってしまえば、自分ですら害する可能性がある。


「疲れるには早いんじゃないか? まだまだ若いだろうに!」


 疲労からくる隙をシェダは見逃さない。振り下ろされた剣を回避しきれなかった俺は肩から浅く出血する。


「くそっ!」


 咄嗟に振り返すが、それはシェダの服を少々引き裂くに留まる。


「どうした? 俺をあの世に送るのではなかったのか?」


 まだまだ余裕そうなシェダの攻撃を何とか受け止めて鍔迫り合いになった。


「送ってやるさ・・・・・・必ずな」


 恨みごとのように吐き捨て俺は無理やり押し返す。

 がら空きになった胴に攻撃をぶち込んでやろうかと思ったが、俺は自分でも何故そうしたか分からないが踏みとどまった。


「なに?」


 ここでようやくシェダが疑問のような声を小さく吐いた。そこで俺の中で何か分かったような気がした。

 それを確かめるために、俺は全力でシェダに突撃し、そして何もせずに通りすぎる。

 シェダはガードの為に剣を構えていた。それが全ての答えだ。


「なるほど。・・・・・・改めて聞く、お前の目的ななんだ」


 俺は振り返り、再度問うのだった。

VRくん「今のところ拮抗してるな。何かきっかけがほしいとこだが」

VRちゃん「ラクリィは何かに気が付いたみたいね。でも一体何なのかしら?」

VRくん「さあ? 流石にヒントが少なすぎる」

VRちゃん「そうね。もう一度質問したことに何か関係があるのかしら? さて次回! 『VSシェダ2』 お楽しみに~」

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