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ミストライフ  作者: VRクロエ
霧の世界編
194/226

予定調和

 まるで引き寄せられているかのように、俺の足は一直線にその場所に向かっていた。

 探知の端の方に奴が映りこんでから全く移動していない。しかし何か変わったものがあるわけでもなさそうで、強いて言えば森の中よりは戦闘がしやすそうな場所というくらいだろうか。


 既にサギリを抜き放ち、周囲には十本の霧の剣が浮いている。

 初手は奇襲にしようかとも考えたが、予測されている奴の異能は未来予知。俺の接近は知られている可能性があり、それどころか何か目的があって俺に居場所を知らせた可能性もある。

 狙いが分からない以上迂闊に飛び込むより、先手は取れずとも慎重に立ち回った方がいいだろう。


 距離は五十メートルほどまで縮まっている。フィオン達の方は固まって何かを話し合っているようで、直ぐに追いかけてくる気配は無かった。

 フィオンは多分俺が飛び出した理由を察していると思う。だが、あまりに突然のこと過ぎて、対応に悩んでいるのだろう。

 一応、奴との戦闘は俺に任せることになっているから猶更だ。


 ここからは茂みに隠れつつ、慎重に接近する。探知により正確な場所が分かっているので、草木で視界が塞がれていようと関係ない。

 周囲を木に囲まれた少しだけ開けている場所の中心に目視にて確認する。

 これ以上はバレずに接近するのは難しい。さて、どうするか・・・・・・


「来ているのは分かっている。さっさと出てこい」


 隠れて様子を伺っている俺の方に正確に目を向けシェダは面倒くさそうに言い放つ。

 やはりバレていたようだ。仕方がないので、俺は臨戦態勢を崩さずに姿を晒した。


「この島にいたんだな? 逃げたと聞いたからてっきりもうこの島を去ったんだと思ってたよ」

「俺にも目的がある。その為に行動しているだけだ」

「・・・・・・その目的ってのは何なんだ? 自分の子供まで殺してまで成し遂げるべきことだったのか!?」

「そうだ。アロマを俺が殺すのも、それによって起こったお前の暴走も、全てが俺の計画に連なっている、予定調和だ」


 そこまで言うとシェダは剣を構える。

 見たこともない漆黒の剣。恐らくは宝剣だろうが、その能力が分からない。


「ここで俺と戦うのもその予定調和ってやつなのか?」

「良く分かっているじゃないか。この戦いも俺の見据える先にあったもの・・・・・・そして終わりでもある・・・・・・」

「何が終わるんだ?」

「さて、それは自分の目で確かめてみろ!」


 シェダの素早い突進、急接近してくると同時に剣を振り下ろしてくる。

 予想よりも早く反応が若干遅れたが、この程度では脅威とはなりえない。俺は軽く受け流すように弾き霧の剣による追撃を行う。

 無数の剣戟がシェダを襲うが、どの順番で剣が攻撃してくるかを正確に把握しているかのように、適切に捌いている。


「まだまだ!」


 そこに俺自身も攻撃に加わる。

 突っ込みながら霧を飛ばすが回避され、先読みとばかりに剣を置いておくが、やはりそれも回避される。


「その程度か?」


 シェダは煽るような呟きと共に、剣と剣の間をすり抜けてきた。

 剣はおいてかれ、再び近距離での攻防になる。

 こちらがガードしようとするといきなり軌道が変わり別の場所を攻撃してくる。何とか反射神経で回避しているが、このままではいずれ押し切られてしまうだろう。


「くっ・・・・・・」


 ボディーミストの発動を余儀なくされる。

 距離を取ろうと後方に移動してきたが、まるで見えているかのように一直線に追撃してきた。


「俺の異能は分かっているんだろ? 未来を見る力だ。どこに攻撃が来るか、どこに回避するか、俺には手に取るように分かる」

「大層なことだな。だったら、分かってても避けられない攻撃をすればいいんだろ!」


 俺は周囲の霧を操り壁を生成する。全く身動きが取れないという程狭くはないが、動きはかなり制限されるだろう。


「いけっ!!!」


 戻ってきた霧の剣で同時攻撃を仕掛ける。人が通れる隙間など無く、回避のしようはない。


「俺とお前の父親は友だった・・・・・・」


 そんな呟きと共にシェダは向かってくる霧の剣に、自身が持つ漆黒の剣を振るった。


「奴が残したもの・・・・・・それは霧魔の力に対抗するためのものだ!」


 シェダの剣と霧の剣が打ち合う。そのままであれば数で圧倒している霧の剣が勝つだろうが、そうはならなかった。

 振れた瞬間、力が宿っているはずの霧の剣が霧散してしまう。


「んなっ!?」

「・・・・・・ふん」


 シェダは霧で出来た壁にも剣を振るうと、まるで柔らかいものでも斬ったかのように壁は剣を拒まない。

 取囲っていた壁も霧の剣と同じように霧散してしまった。


「なぁ、我が友の子よ。貴様が覚悟を持ってここにいるのなら、それ相応の力を俺に示してみろ」


 まるで今の俺など相手にならないとでも言いたげに悠然とこちらに歩いて来る。

 どうやら俺は、シェダの実力を見誤っていたらしい。他の王達と同列に考えていいような相手ではなかった。


「俺を超えれぬようなら、世界は変えれぬ!」

「・・・・・・安心しろ、ちゃんと、お前はあの世に送ってやる」


 俺は霧の剣を再度展開させ、自身の中の霧を切り替えた。


VRくん「シェダ強すぎだろ!?」

VRちゃん「なんか、久しぶりねそのテンション」

VRくん「いやぁ、ハクラ以降ここまでの相手って出て来てなかったからさ」

VRちゃん「まあ確かにそうね。ラスボスが出てきたのに、そこから更に出てくるなんて普通は思わないし」

VRくん「にしてもシェダは何がしたいんだろうな?」

VRちゃん「まだ読めないわね。早く話してほしいものだわ。 さて次回! 『VSシェダ1』 お楽しみに~」

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