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ミストライフ  作者: VRクロエ
霧の世界編
191/226

戦力増加

 メリユース王都のとある一角にて、霧魔花の島に行くメンバーの全員が集結していた。

 何か、これといって話をしておくわけではない。その辺の諸々は今日に備えて散々行ってきた。


「全員、準備はいいな?」


 フィオンが俺達調査班のメンバーに声を掛けると、勿論だと言わんばかりに頷く。俺達だけでなく、似たようなやり取りが、それぞれ近しい者同士で行われていた。


「では行こう」


 海辺までここにいる全員で移動していては面倒なので、今集まっているのはあくまでもメンバーの最終確認のみ。向かう時は一定の人数ごとに固まって動く。

 俺達はファーニーの背に乗っての移動なので最も早く付くだろう。なので船を出す付近の安全確保もその役割に入っていた。


 ファーニーは既にメリユース王都のすぐ外に待機させている。事前にトアンとミシェが拠点に呼びに行ってくれており、ファーニー自身もかなりやる気を出していた。


 外に出てきて、早速ファーニーの背に乗り移動を開始する。海辺までは数時間で辿り着けるため、休憩を挟まずに一直線に飛ぶだけだ。

 キャロル達も一日やそこらで辿り着くだろう。苦労すると思われた船を運び出す作業も、イルミアの異能によって船を軽くすることによりある程度解決している。


 空を移動しながら、俺は常に探知を発動させていた。

 海辺に辿り着くという頃、俺の探知が人影を捉える。


「こいつらは・・・・・・」


 敵ではない。それどころかよく知った人物であり、しかし何故ここにいるのか分からない奴らでもあった。


「久しぶりだな」

「待っていましたよ」


 俺と同じ白い髪の男女、ソラとラビだ。


「どうした? 何でこんなところに?」


 思わぬ再開に疑問をぶつけると、2人はそれぞれ厳しい顔つきになる。


「実はですね・・・・・・」


 ソラがその理由を説明してくれた。

 俺達が霧魔花についての資料を見つけて、その解析が済んだ頃くらいの話だ。霧魔の村ハクラによって襲われたらしい。

 村は壊滅。霧魔の民の大勢が殺され、抵抗したヒエンも、恐ろしいまでの力を持ったハクラに成す術もなく負けて、ラビとソラを逃がすことが精一杯だったらしく、2人も共に戦おうとしたのだが、ハクラの意志によりその場は生き延びて、俺達と合流することを選んだ。


「行くんだろ? 俺達も連れて行ってくれ!」

「きっと役に立ってみせますので」


 深々と頭を下げる2人。そこには霧魔の村で会った時には無かった、明確な戦う意志が見て取れた。

 基本スタンスとして、霧魔の民は一貫して世界の行く末には関与しないということだったが、状況が変わり戦う為に動いた。それがこの2人だけなのか、他の霧魔の民の生き残り達もそうなのかは分からないが、それだけのことがあったのだろう。

 そもそも生き残りがいるかすら分からない。聞くのは躊躇われた。


「フィオン、俺はいいと思う。ラビもソラも戦力としてはかなりの期待が出来る」


 一番初めにハクラに負けた後、この2人とは共に特訓をした。その際に2人の実力は把握しており、さらにはハクラが使っていた能力の解析もしたため、前よりも強くなっている。その辺の兵士ならアレだが、この2人なら喜んで同行してもらいたいものだ。


「そうだな・・・・・・戦力として期待できる以上断る理由はない。是非とも頼む」


 フィオンも断る理由はないと考え、一瞬悩んだ後にはすぐに答えを出した。


「そういう訳だよろしく頼む」


 こちらの答えを聞いて、2人は安心したような表情になった。


「任せてくれ、絶対に役に立ってみせる!」

「私達の運用はそちらにお任せします。何でも言ってください」


 そういうわけで、キャロルが到着していないため最終決定は出来ないが、今のうちにどんな役回りをしてもらうかをある程度決めておく。

 大抵の敵相手では勝つことのできるであろう2人は任せられることも多く、どこに割り当てるかを決めるのに逆に難航した。

 結局、不測の事態に備えたカバー要因として基本的には動いてもらうことになり、何も無ければイルミアとキャロルと共に動いてもらうということになった。

 なんにせよ、意図していないところから大幅な戦力増強は嬉しい誤算である。どれだけ戦力があっても困らない戦いなので、キャロルもすぐに受け入れるだろう。


 決めるべきことは決まったので、俺達は当初の予定通りキャロル達の到着を待つことになる。

 拠点付近から運び出した霧を弾くための装置を設置し安置を作ってから、フィオンが異能で簡易的な休むための家を作り出していく。

 俺とラビ、ソラで周囲の警戒を行い、トアン達はフィオンの手伝いをしてあっという間に完成させていった。


 ラビとソラは霧魔の村を出てから気の休まない日々を過ごしていたらしく、落ち着ける場所が出来た途端にダウンしていった。

 何があったかを聞いているために、誰も文句など言わない。むしろしっかりと休んで、今後の戦いに備えてほしいという気持ちが強かった。


 俺達も交代で休むことにする。

 ミシェが気を遣ってか、からかってか分からないが、俺とフィオンに見張りはいらないと言ったのは、流石に苦笑いするしかなかった。


VRくん「これで全員集結か?」

VRちゃん「味方になりそうなのはもう誰もいないわね」

VRくん「しかし改めて考えると、今までの登場人物達による総力戦ってワクワクするな」

VRちゃん「規模が桁違いだからどうなるか本当に楽しみよね。 さて次回! 『船上にて』 お楽しみに~」

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