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ミストライフ  作者: VRクロエ
ミストライフ加入編
19/226

フィオンの実力

「さて準備はいいな?」

「ああ、俺はいつでも大丈夫だ。それよりもそれは?」


 俺とフィオンは一定の距離を取り立っている。

 俺の手には使い慣れた宝剣でもある一振りの剣。そして対するフィオンの手には――――――


「ただの鉄で出来た細長い棒だ!」

「それはわかってるよ・・・・・・」


 フィオンの手には自分の身長程の棒が地面に突き立てるように握られていた。


「わかっているならいちいち聞いて来るな。さあ始めるぞ!」


 この際まあいいかと俺も無理やり納得することにした。


「それじゃあはじめ!」

「っ!!」


 ミシャの始まりの合図と共にフィオンから感じるプレッシャーが突然大きくなった。


 これは大口を叩くだけあるかもな・・・・・・。さてまずはどうしたもんか。


 直観だが無策に突っ込んでも軽くあしらわれる気がした。

 しばらく様子を見ているとフィオンが不思議層に首を傾げた。


「どうした、来ないのか? 胸は貸してやるからどこからでもかかってこい」

「無い胸指して何言ってんだか」

「――――――お前は後で殺す」


 どうやらトアンは地雷を踏み抜いたようだ。


 まあ負けても死ぬわけじゃない。とりあえず小手調べといくか!


 軸足に力を籠めフィオンへと一気に距離を詰める。

 俺の間合いに入るだろうというところでフィオンがやっと迎撃態勢に入った。


「ふっ!」


 まずは右上段からの斬りこみ。

 フィオンはそれを何でもないように手に持つ鉄の棒で弾く。

 この流れは予想していたので流れるような動作でそのまま2撃目を放つ。

 しかしこれもフィオンによって簡単に弾かれてしまう。


 にやりと笑うフィオン。俺は1度深く息を吐いてから再び斬りこむ。

 今度は先程のように分かりやすくではなく、変則的な攻撃を織り交ぜながら攻める。

 目にも止まらない連続攻撃をフィオンはまるで躍るように体全体と鉄の棒を使い捌いてくる。

 それでも攻撃の手を休めない。細い糸を通すように攻撃が通る穴を見つけるその瞬間まで。


 いくつもの攻防を繰り返したある1撃で一瞬だがフィオンの持つ鉄の棒が少し弾けた。

 このタイミングなら剣より・・・・・・

 俺は体を目一杯捻りフィオンの胴に向け蹴りを放つ。

 タイミング的に完璧に入ったはずだった。

 だがフィオンは寸のところで自分の左手を割り込ませ急所を避けつつ勢いを利用して後ろにジャンプした。

 そしてこちらが直ぐに追撃が出来ないところで鉄の棒を主柱にして態勢を整える。


「いやぁ驚いたな。なかなかやるじゃないか」

「褒められている気がしないな。いい加減本気でやったらどうだ」


 フィオンは俺の攻撃を捌くばかりで攻撃は1度もしてきていない。

 そこそこの実力しか持たない者ならば、フィオンは俺の攻撃を捌くので必死なように見えるが、先程の打ち合いが正確に見えていた者ならばフィオンはあえて攻撃してきていないとわかるだろう。

 いったいどのくらの余力がフィオンにあるかは流石にわからないが、本気でないことだけは確かだ。


「んー、そうは言ってもこれでも途中からはそれなりに真面目にやっていたぞ? 単純な打ち合いだけならラクリィに分があると私は感じている。だが異能を使っていないお前は本気を出すほどでもないことは確かだ」

「そうかよ・・・・・・、ならここからは俺も本気でやらせてもらう!」


 ここからは正真正銘の全力でいくことにした。

 魔法などのミドルレンジの攻撃手段を持たない俺は再びフィオンと距離を詰める。

 本来ならば手練れを相手にするときこの距離を詰める工程からなのだが、俺の実力を見るためか、それとも余裕の表れかフィオンは簡単に距離を詰めさせてくれる。


 今回も先程と同じような攻防になる。

 相変わらずフィオンは正確に攻撃を捌いてくる。


 だがそれなら分かりやすくていい。避けるんじゃなく受けるタイミングを正確に見極めてソードミストで決めさせてもらう。


 タイミングを見計らう。フィオンはこちらの攻撃に対しほぼ半分の確率で回避を選択する。そのタイミングではダメだ。

 慎重に、攻撃の手は一切休めずに。


 きた! ここだ!


 直感で感じた。フィオンならここは受けを選択すると。

 ソードミストを発動する。読み通りフィオンは受けを選択しており、俺の剣はフィオンの鉄の棒をすり抜けた。


 ここからなら流石に回避は間に合わない。もら――――――っ!


 嫌な予感がした。

 考えるより体が先に動き、全力で上半身を捻った。

 すると体のあった場所に鋭い刺のようなものが伸びてきた。

 冷や汗が流れるが、体に命令を出し後ろに跳ぶ。

 視線を前に戻すとフィオンの持つ鉄の棒の中腹辺りから文字通り鉄の刺が伸びていた。


「何が起こった・・・・・・?」

「驚いたか?」


 フィオンが少し嬉しそうに声を発する。

 呆然と見ていると刺が吸収されていくかのように鉄の棒に戻っていく。

 魔法の類ではないだろう。こんな魔法は見たことも聞いたこともない。

 だとしたら考えられることは1つだ。


「私も使えるんだよ、異能が」


 思い至ったことが真実だというようにフィオンが答えを告げた。











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