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ミストライフ  作者: VRクロエ
崩壊編
187/226

最終作戦2

 作戦会議は次の段階に移行する。


「キャロル、船の方はどうなってる?」

「一応完成はしていますよ。頑丈でバランスのいいものを作れば良かったので、手間はそこまでかからなかったと報告を受けていますね」


 霧魔花の島まではそれなりの距離がある。前時代の人々は移動手段で積んでいたみたいなのだが、期間内に辿り着けるような速度は出せるのだろうか?


「後で私も確認しに行こう。必要なことがあれば手伝うことが出来るしな」

「それはありがたいですね。出来れば一度の加速で進んでいられる距離が長くなるようにしたかったんです。速度自体は私が異能で解決するので大丈夫なのですが、流石に休みなしでだとどうなるか分からなかったもので・・・・・・」


 2人の会話を聞くに、動力はキャロルが異能で賄うみたいだ。

 難しいことは分からないが、キャロルが出来ると言って、フィオンが否定しないのを見るに問題はなさそうだ。


 俺達の移動手段でもあるファーニーは、現在拠点の方にいる。ファーニーなりにどこか思うことがあるらしく、しばらくは自由にさせておくことにした。


「よし、それじゃあ島に着いてからの話を始めようか」


 ここからが本筋だ。全ての行動に関わってくる内容であり、俺達が勝つために最も必要なこと。


「まずは島に上陸してからすぐの行動、第一に行うことは霧魔花の場所を探ることだ。勿論むやみやたらに探し回っては効率も悪いし危険も大きい。なので仮拠点の設営から入る」

「場所は海辺際の見晴らしがいいところにしようと考えています。見つかりやすいでしょうが、逆に足止めの為に出張ってくるであろうフュストルなどの襲撃にも気が付きやすいからです」


 俺以外のメンバーは霧の中では明確な時間制限がある。長期戦になった場合に備えるのならば仮拠点はあった方がいい。俺の両親が暮らしていた家は壊されてしまったので自分たちで用意するしかないのだ。

 霧を弾くための装置はフィオンとキャロルが既に用意しているのだろう。俺達の拠点にあった物を掘り出して持っていくのもアリかもしれない。寂しいが、もう必要ないものだ。


「拠点が出来次第行動に移る。兵士達には拠点付近の警護、ここにいる私達は二つの組を作って交互に探索に出る。メンバーの割り振りは、ミストライフの調査班、もう一つはキャロル、レイラ、サレンだ」

「均等に分けることも考えたのですが、やり慣れてるメンバーの方がいいでしょう。接敵時は出来るなら拠点までの退避、無理そうなら出来るだけ目立つように行います。拠点までの退避が出来たのならば、相手によって先程決めた担当の者が戦闘を行い、それ以外の者は周囲の警戒、さらには攻勢に出ます」

「互いに戦力を割った状態ならば事前情報があるこちらが有利だ。一つの戦闘を火種にしてさらに有利な状況に持っていく。


 確実に相手の戦力を削るのは定石だが、時間を掛ける程ハクラを考えたときに不利になる可能性がある。最終的にハクラに勝てなければ負けなのだから。

 探索中の接敵ならば、その付近に何かがあるとも考えられる。だからこそ、一度の接敵をきっかけに攻勢に出るという思い切りのいい作戦になったのだろう。


「もし霧魔花の場所が分かった時は、ラクリィには悪いが最優先で頼む」

「分かってる。目的を見失ったりはしないさ」


 フィオンが謝ったのは、もしシェダが出てこようとも霧魔花を優先しろと暗に言ったからだ。

 俺が自身の手でシェダを倒したいのはフィオンも理解してくれている、だからこその気遣い。申し訳ない気持ちがあっても俺の道を正してくれるフィオンの優しさだ。

 その気持ちに応えるためにも俺は迷ったりしない。例え目の前にシェダが現れたとしても、霧魔花の元には俺が向かう。アロマもきっとそれを望んでいるはずだ。


「霧魔花が発見された時フィオンとラクリィさん以外は何としてもそこに敵を近づけないのが使命です。2人を信じて私達は命が消えようとも持ちこたえねばなりません。世界を変えるためには、そのくらいの覚悟を持っていてくださいね?」


 キャロルは言葉を濁して言ったが、世界の為に命を投げ出せと言っているようなものだ。

 しかし皆の表情には怖気づいた様子など見えない。とっくに覚悟は出来ているといった感じだ。

 出来ることなら皆には死んでほしくない。だがここで危なくなったら逃げろとでも言ってしまえば怒られることだろう。


「行動は作成、探索、戦闘の三段階。もしも作成の段階で襲われた時に限り全員で全力対応、基本指揮は私とフィオンで常に行いますが、臨機応変な対応も必要になるでしょう」

「なぁに、大丈夫だ。ここにいるメンバーは生半可な人生を送ってきてはいないはずだ。だろ?」


 フィオンの不敵な笑みに全員が頷く。厳しい場面でも対応できるだけの経験を積んできたんだ、いざとなれば何を言われなくとも最適行動を起こしてくれる。それを今更疑ったりはしない。


「そうですね、失礼しました。各人の裁量で勝利を掴みましょう!」


 主な作戦も固まり、会議は以上となる。

 まだ出発まで少しの猶予があるが、既にやる気は最高潮まで高まっていた。


VRくん「勝ってくれ……」

VRちゃん「メンバーは申し分ないけど、相手も一筋縄じゃいかないわよね」

VRくん「ラクリィがハクラにさえ勝てれば……」

VRちゃん「きっと勝ってくれるわよ。 さて次回! 『最後の言葉』 お楽しみに~」

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