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ミストライフ  作者: VRクロエ
崩壊編
184/226

謝罪とお礼

 日が差し込むのを感じ目を覚ます。

 身体には倦怠感があるが、むしろ嬉しいと思うことだった。

 しばらくの間ここまで気持ちのいい朝を迎えることは無かったので清々しい気分にもなる。日が昇っているので朝ではなく昼なのは置いておこう。


 隣に目を向けると、昨日までとは違いスッキリした表情で寝ているフィオンがいる。

 昨晩何があったかは言わなくても分かるだろう。誰かに見られては不味い恰好をしているフィオンを揺さぶって起こす。


「んぁ・・・・・・ラクリィ?」

「おはようフィオン。とりあえず、服は着よう」

「ん? あっ・・・・・・そうだな・・・・・・」


 俺達は互いに恥ずかしがりながら起き上がって、動きやすい恰好に着替える。

 着替えが終わり、一先ず皆の元に向かおうとしたところでフィオンがよろけたのが、咄嗟に支えることが出来た。


「すまんな。ここ数日で急激に減った体力が効いてるみたいだ」

「仕方ないさ。それに安心しろ、いつでも支えてやるから」

「ふふっ、ありがとうラクリィ。でも仲間の元までは自力で行くさ」

「そうか、無理はするなよ?」


 フィオンは深呼吸をした後しっかりと自分の足で立つ。

 心配だが、フィオンの目を見ていると徐々に安心もしてくる。それにいざとなれば今みたいに支えてやればいいんだ。


 昼なので皆がどこにいるのかは分からない。とりあえず今後のことなどについて話し合った部屋に向かってみることにした。


「お! きたきた!」

「ミシェ、それに皆も・・・・・・」


 部屋に入ると、俺達が来るのが分かっていたかのようにミシェが声を上げた。

 いるのはミシェだけではない、調査班全員にキャロル達メリユース陣営の人も揃っている。明らかに俺とフィオンが来るのを待っていたという感じだ。


 何がなんだか分からずに俺とフィオンが呆けていると、キャロルが近づいてきてフィオンを抱きしめた。


「お帰りなさいフィオン。心配しましたよ・・・・・・?」

「キャロル・・・・・・すまなかった、情けないところを見せたな。皆も、すまなかった。でももう大丈夫だ」


 抱きしめるキャロルにフィオンは申し訳ないような、それでいて何処か嬉しそうな表情をしながら謝った。

 それを聞いたキャロルも皆も温かい笑顔になる。フィオンの胸の内を聞いて、卑屈な感情も沢山身に受けたが、そんな卑屈な感情などいらない程にフィオンは皆から愛され、頼られ、信頼されているのだと、こうして見れば簡単に分かることだ。

 これこそがフィオンの積み上げてきたもの。誰もが口を揃えてフィオンは頑張っていたと励ますだろう。


 形容し難い空気が流れる中、それを変えたのはミシェのとんでもない一言だった。


「それにしてもお2人さん、昨晩はお楽しみだったようで」

「んなっ!?」

「ミシェ! まさか私達の部屋を覗いてたのか!?」

「偶々どうなったのかなーって見に行ったら、ね? 覗いてはいないから安心して?」

「お前なぁ・・・・・・」

「・・・・・・」


 わざわざ言わなくても良かっただろうに。フィオンなんか顔を真っ赤にしたまま黙ってしまった。

 皆の目も生暖かい、恥ずかしすぎる・・・・・・


「ま、おめでたいことではあるわな。素直に祝福しようじゃないか」

「トアン・・・・・・」

「おめでとうございます。やりましたねフィオン」

「キャロルまで・・・・・・」


 別の意味で形容し難い空気になってしまった。

 フィオンは何やら女性陣に連行されていき。この場には俺とトアンだけが残る。


「災難だったなラクリィ」

「やめてくれ、普通に恥ずかしいんだ」

「なんだよ柄にもなく照れやがって。いいじゃないか、頑張ってきたお前達2人を俺は祝福するぜ?」

「まあ、ありがとう。・・・・・・そういうお前はいいのか?」

「ん? なにがだ?」

「ミシェとだよ」


 トアンは多分だがミシェに惚れているはずだ。ミシェの方は俺には分からないが、脈はあると思う。

 こうして俺とフィオンを祝福してくれたトアンとミシェにも、出来ることなら幸せになってほしい。


「そうさなぁ・・・・・・全く考えてない訳じゃない、長い付き合いでもあるからな。だけど俺といることがミシェの幸せに繋がるかと考えると、分かんなくなるな」

「あー、俺も似たようなもんだったな」

「ラクリィはどうやって割り切ったんだ?」

「俺は気持ちを伝えないつもりでいたんだ」

「それはどうして?」

「理由は・・・・・・言わないでおくよ。少なくともフィオンが幸せになることはないと考えていた。でもちょっとしたことから気持ちを知られてな、私を幸せにしてくれと言われたよ・・・・・・それでも迷って、結局はアロマに背中を押されたな」

「そうだったのか・・・・・・」

「なあトアン。今だから言えるんだと思われるかもしれないが、迷ったなら、何が何でも幸せにするってくらい割り切らないか? きっと、その方がいい結果になると思うぞ?」


 現状の俺とフィオンは間違いなくいい結果になった。この先がどうであれ、今を幸せに生きることが出来ている。


「何が何でも幸せにする、か・・・・・・覚えておくよ」

「ああ、いい結果を期待してるぞ」


 男2人、こうして話すことは少なかったが、心地のいいものだ。

 友人として、トアンには幸せになってもらいたいものだな。


VRくん「いつかトアン&ミシェも見たいな」

VRちゃん「トアンは気持ちを伝えるのかしら?」

VRくん「ラクリィからのアドバイスもあったしわんちゃん」

VRちゃん「幸せになってくれるといいわね。 さて次回! 『アロマの墓』 お楽しみに~」

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