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ミストライフ  作者: VRクロエ
崩壊編
174/226

拠点では

新章の告知が前回のあとがきと遅くて申し訳ございません!!!

どうしようか迷っていたのもありますが……終わりまでの流れや章などは既に固めたのでご安心くださいまし。

 ラクリィ達が霧魔花の群生地がある島に出発してから数日経った。ミストライフの拠点ではいつもと変わらない様子が流れていたが、いよいよ霧がなくなるかもしれない、その情報は皆に伝えられていたため、心なしかメンバー全員がソワソワしているようにも見える。


 生活班のリーダーでありながら、かつては戦場をかけており、終わりなき戦いの中でいつか平和が来ることを願っていたマキアは、時代の流れの中心にいるラクリィ達のことを想いながらも自身が動くことはない。

 それでも何か思うところはあるのか、特にようもないのに珍しくもかつてのリーダーであるリレンザの元に足を運んでいた。


「気になるのかい?」


 そんなマキアの内心を見透かしているようなことを言う。

 リレンザにからすればマキアもまだまだ若く、自身の子供程の年齢なので、面倒を見てやることもやぶさかではなかった。


「そうかもしれません・・・・・・私自身、今の時代を担う者ではありませんが、あの子達のことを考えると、じっとしていては気持ちが悪いのです」


 レイラやサレンとの再会もあり、兵士だった頃の懐かしさに触れたこともまたじっとしていられない原因なのだろう。


「あんたは色々と考えすぎだね。脇役に与えられる役目は多くない、今のあんたの役目は子供達を守ることだよ」


 ミストライフにいる子供達は皆孤児であったり、厳しい環境にいたのを保護したのだ。今となっては元気な顔を見せてくれてはいるが、来たばかりの頃は暗い表情を見せていた。

 笑顔を取り戻せたのは、ここの環境であり他の子供達のおかげであり、母のような雰囲気を纏うマキアのお陰だった。


「そうですね。それに今の私にそこまで大それたことが出来る力がないのも事実です」


 今でもそれなりには戦えるだろう。五芒星のメンバーと戦うことになっても早々引けを取らないとも思う。

 だが王クラスの猛者ともなればどこまで戦えるか・・・・・・命を懸けて戦っても厳しいと感じていた。


 ラクリィ達はマキアの強さはレイラやサレン達と同等と思っているかもしれないが、それは間違いだ。

 全盛期の頃のマキアはレイラとサレン2人を同時に相手にしても負けはなかった。それに加えて、他の兵士も同時に相手にしていたのだ。

 はっきり言ってしまえばあの2人ではマキアの強さには及ばない。ミストライフに入らずに国に使えていたとしたのなら、確実に異能を持たない人間の中では最強と謳われたことだろう。


 それでも、マキアは戦いから遠のきすぎたのだ。

 マキアは若干の靄を感じながらも、リレンザの部屋を出ていった。


 畑に戻ってくるとルコとミールが仲良さげに野菜を洗っている。

 ルコはマキアが一番初めに保護した子供であり、マキア自身も特別な思い入れがあった。

 かなりしっかりしているように見えるが、適度に回る頭は様々なことを考えてしまい、結果的に同じ子供通しでも、ルコは仲が良いとまで言える子はいなかった。

 それもミールがやってくるまでは。


 ラクリィ達に連れてこられたミールは、説明を受けていたのかミストライフの立場も正確に理解していた。幼い子供が理解、納得するにはあまりにも重たいものなのにも関わらず、ミールはそれを受け入れており、それが本当に正しいことなのだと自分で判断出来ていた。

 ルコに似て子供ながらに聡明な子だというのがマキアの印象だ。


 そんな2人はすぐに仲良くなり、ラクリィ達が外に出ている時に時々見せていた不安そうな表情も見せなくなっていた。

 それはマキアにとっても喜ばしいことだ。


 ルコとミールはマキアに気が付くと一旦手を止めて駆け寄る。2人の頭をマキアが優しく撫でると嬉しそうにしていた。

 そうしていると先程リレンザに言われたことを思い出す。

 この子達が健やかに暮らせるように頑張るのが自分の役目だとマキアは再確認し、共に作業を行った。


 それから生活班の仕事を終わらせ、現状の物資などにも目を通し一日が終わる。

 いつもと変わらぬ日常だが、マキアは兵士であった時に比べて大きな幸せを感じていた。

 2人の、特にルコの笑った顔を思い出すと、こちらまで思わず笑顔が零れてくる。

 今ある大事なものを噛み締めながらマキアは横になった。


 静かな夜。ここは地中に出来た拠点なので外の物音は一切聞こえてこない。

 だが、その日は違った。いつもは聞こえもしない音が微かにだが聞こえてくる。マキアはそれが気になって仕方がなかった。


 部屋から出て音の鳴る方に向かってみる。

 どうやら研究室があるフロアから鳴っているようで、何かの実験でもしてるのかとも思ったが、長くミストライフに所属する中でそんなことは一度もなかった。


 近づいていくにつれて段々と音が大きくなる。

 暴れているようにも感じてしまう音。その正体を確かめるべくさらに進んでいくと、突然、決定的とも言えるようなものが聞こえてきた。


「うぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」


 断末魔、しかもその声には聞き覚えがあった。

 嫌な予感がし走って研究室に向かうと、ミストライフの研究員達が血を流して倒れており、その先には原因であろう人物たちが立っていた。


 マキアがその場に現れたことに気が付いたコナットは、焦るような表情で駆けよってくる。


「マキアさん、どうか逃げてください! 敵に侵入されました。子供達の避難を急いで!」


 恐れていたことが起きてしまった。

 よりにもよって調査班が全員不在の時に襲撃されたのだ。

 マキアは武装もしておらず、なんの抵抗も出来ない状態だったので、コナットは死ぬ気で足止めするつもりだとは察していたが、言われた通りにするしかなかった。


VRくん「こっちでも状況が最悪じゃねーか!」

VRちゃん「怒涛の展開になってきてるわね。拠点はどうなるのかしら?」

VRくん「マキア! なんとかしてくれ!」

VRちゃん「全てが最悪の展開とか嫌よ? さて次回! 『母と子』 お楽しみに~」

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