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ミストライフ  作者: VRクロエ
前時代の痕跡編
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父親が残したもの2

 二枚目を読む前にフィオンに母親からの手紙を渡してきた。

 内容は分からないが、フィオンに渡すのが正しいものなのは間違いないので、それを読んだ後の判断はフィオンに任せることにしよう。


 俺はまた父親からの手紙があった部屋に戻ってきて、再び1人手紙の続きを読む。

 果たしてどんなことが書かれているのか・・・・・・


『恋愛的な話はここまでにして、これには恐らく敵対するであろうハクラのことと、それに対抗するための方法でも書いておこう。念のため、俺が知りうる限りの王達の勢力も書いておくことにするか。


 ハクラについてだが、もう会ったか? もし会っていたら戦闘になったと思うが、これを読めているなら殺されることはなかったようで安心したよ。

 会っていなかった時の為に、ハクラについて少し話しておくか。


 ハクラはラクリィよりも十三個歳が上の霧魔の民だ。

 幼い頃から危険な思想の持ち主でな。考えを改めさせようとした両親を自分の手で殺しているとんでもない奴だ。


 ハクラは世界の支配の為に霧魔花を探している。

 理由は、霧魔花のすぐそばでさらに霧と同調することでさらなる力を得るため。

 そして、霧が存在する限り不老になるということをも可能にするためだ。


 そんなことが可能なのかと思ったかもしれないが、結論から言うと可能だ。

 正確に言えば歳はとるが、肉体の維持を霧に任せることにより、再生をも可能にすることが出来る。

 傷すらも軽度ならば即座に直すことが出来るだろう。

 そうなったらもう勝ち目は殆ど無いと言って良い。ハクラは元々がかなり強いからな、正直もう後何年かすれば俺よりも強くなっている可能性もある。


 俺とサリアはもう世界の行く末に関与するのはやめた。だから霧魔花がこの島のどこにあるのかは残すつもりはない。これをハクラが読んでいる可能性があるならなおさらだ。

 それでもハクラに世界を握らせたくはないから、対応策だけは言っとくぞ? これは個人的な我儘だから何も文句は言わせない。


 まずハクラが使う霧分身だが、あれは自身の霧をぶつけることで消すことが出来る。ハクラが増えた瞬間に霧をぶつけてみることが最善策だ。

 目視や探知で見分けることは絶対に無理だから諦めろ。


 次に気配を消す技について。

 アレは自身を周囲の霧に同化させている。ハクラは霧化している最中ですらそれを行えるから探知で捉えるのはこちらも不可能だ。

 解決策としては、探知の要領で自身の霧を全方位に広いげること。それもただ広げるだけじゃダメだ、波を起こせ。その波が乱れた先にハクラはいるはずだ。

 波を起こすのはかなり高度な霧の操作が必要になる。難易度は高いが、俺の息子なら出来るようになるはずだと信じてる。


 明確に対策が必要なのはこの二つくらいか? 何か抜けてたら悪いが後は自分で考えてくれ。


 ハクラとの戦闘はアメノサギリも経験がない。探り探りになると思うが、アメノサギリは優秀だ、為になる意見もくれるだろう。

 もしハクラと戦闘になった時、ラクリィが勝てることを期待してるよ。


 俺からの話はこれで終わりだ。本当はもっと言いたいことがあるが、全てを書いているととんでもない量になりそうだから、死人はこの辺で口を閉じることにする。

 最後にこれだけは言わせてくれ。


 離れていてもお前を愛していたよラクリィ』


 その後の紙には王達の情報や、五芒星のメンバー達の情報が書かれていた。

 といってもその辺はサギリから直接聞いているし、シェダ以外の王のことは直接戦って知っていたので、今となってはあまり意味もないだろう。


 シェダのことはどういうわけか載っていなかった。

 俺の父親とシェダは敵対していなさそうなことが分かっている。だからこそ載せなかったのだろう。


 シェダとは直接戦闘になったりしたことがない。何かしらの目的があって動いているようにも感じるので、もしかしたら敵とはなりえない可能性もある。

 クーデターの時に姿を消して以降その足取りが掴めていないので、底しえない不気味さはあるが、放っておいても問題はなさそうだ。


 手紙を読み終えた俺は椅子に座りしばらく手紙の内容を振り返る。

 両親は本当に俺のことを想ってくれていたみたいだった。だからこそ霧魔花を処理しなかった。

 きっと様々な葛藤があったのだろう。父親は元々今の俺達のような目的があって行動していたみたいだからそれも無理はない。

 俺に迷いがないのは大切な人達がその後の世界を生きられるからだ。ある意味では最適な環境にいると言える。


 母親が残した方の手紙にはどんなことが書いてあったのだろうか・・・・・・後でフィオンに聞いてみよう。


「俺が生まれてこなければ今頃皆幸せに暮らしてたのかな・・・・・・?」

「その言い方は良くないですよ。あの2人はラクリィが生まれたとき本当に嬉しそうにしていましたから。だからこそボクを傍に残したのです」

「そう、だな・・・・・・俺は幸せものだよ。だから、俺は後を継ぐことにするよ」


 こんなにも愛されていたのならば俺は十分に幸せだったのだ。

 結局のところ、俺の目指す場所自体には何の変りもいな。

 ハクラが強かろうが、霧を消して全てを変えようと、改めて思うだけだった。


VRくん「ハクラは昔から危ない奴だったんだな」

VRちゃん「危ない奴って言い方辞めない? 否定はしないけど」

VRくん「ならいいだろ別に。でも念願のハクラ対策がここで出てくるか」

VRちゃん「霧魔花さえどうにかすればいいだけだから戦う機会はもうないかもね」

VRくん「それはそれでなんか悲しいな」

VRちゃん「戦わないことが一番よ。 さて次回! 『サリアの残したもの』 お楽しみに~」

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