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ミストライフ  作者: VRクロエ
前時代の痕跡編
162/226

霧魔花の島

 自身の中でフィオンに対する気持ちを明確にした翌日。フィオンの顔を見て何か反応をしてしまわないか心配だったが、運良くと言うべきかフィオンを見かけることはなかった。

 何かやることでもあるのだろうか? 食堂にもフィオンが現れることはなかった。

 単純に食事を取る時間が俺とは違ったのかと思ったが、聞いてみたところやはり来ていないらしい。


 結局、何かが起こることもなく、それから数日が過ぎていき、やがて霧魔花の元へ向かう日が来てしまった。


 レホラ王都まではキャロルにも同行してもらったので、そこでさらに二日を過ごし準備を完全に整える。

 ここまで来てしまうと、もうフィオンへの気持ちをどうするかなど迷っている場合ではない。霧魔花のことだけを考えるのに集中する。

 フィオンの方も、迷っていたのが嘘のように集中力が高まっており、いい感じに心が落ち着いているようにも見えた。

 これならば何も心配はないだろう。


「それでは気を付けて。いい結果に終わることを期待していますよ」


 レホラ王都でキャロルに見送られて、俺達は海に向かった。

 ファーニーに乗っての移動なので、かなりの速度がある。海まではあっという間にやってきた。


「これが海・・・・・・」


 アロマは初めて見る海に感嘆の声を上げていた。

 果てしなく先まで水で埋まっており、波が岩を打つ音が響いている。底まで見ることは出来ない、綺麗な水かと思っていたが、砂なんかを巻き上げてそれが密度を増し濁って見えるようだ。


 この海の先に霧魔花が咲く島がある。


「頼むぞファーニー」


 ファーニーに声を掛けて頑張ってもらう。

 俺達は遂に霧魔花の元へ飛び立った。


 丸一日飛び続け、流石に休憩も取らなくてはならないので小島に上陸して数時間休む。

 人が霧の中で耐えることのできる限界時間は一週間ほどだ。速度があればそれまでに辿り着くことが出来ると、俺の父親が残した紙には書かれていた。

 現状考えられる中では最高速度を誇るファーニーによる移動だ、問題ないはずだが、一体どれくらいで着くのだろうか?

 一日、またさらに一日と移動を続けたが、まだそれらしき島は見つからない。


 そして四日目に突入し、移動している最中にイルミアが何かに気が付いた。


「アレじゃない?」


 イルミアが指さす左の方向に目を向けると、霧により全体を確認することは出来ないが、確かに巨大な島があった。


「ファーニー!」

「グァ!」


 指示を出すとファーニーは旋回して島に向かって一直線に進む。

 近づけば近づくほど、その島の大きさが分かる。今まで休憩の為に降りた小島とは比べ物にならない。全容は把握出来ないが、一国の領地ほどあるのではないだろうか?


「どうするんだフィオン?」

「ここまで来てしまえばもう探すしかない」


 霧のない場所があるかどうかは分からない。そうなった以上はひたすらに探して見つける以外の方法はなかった。

 ファーニーにはここで待機していてもらう。島は森のようになっている場所が多いので、ファーニーの巨体では移動しにくいからだ。


 俺達は森の中に足を踏み入れる。

 勿論のこと始めてくる土地なので、がむしゃらに進んでいくしかない。念のために探知は発動させているが、意味はあまりないだろう。


 代わり映えのしない景色の中、霧魔獣の気配を捉える。

 流石に生物が何もいないということはなかったようだ。

 現れたのはハウンドの群れ。あちらとの違いはないようだったのでさっさと片付ける。


 それを数度繰り返しながら進んでいると、探知がさらに別のものを捉えた。


「これは・・・・・・」

「何か見つけたのか?」

「ああ、人が住む家みたいなものがあった」


 明らかに人工的に作られた木造の家。

 前時代の人達が作り出したものではないだろう。まだ新しい感じがした。

 新しいといっても、数年単位ではなく、恐らくは十数年は経過していると思われるが。


「どうやらその周囲には霧も無いみたいだぞ」

「本当か!? それはありがたい。一先ず行ってみよう」


 向かった先には探知で捉えたように家があった。

 霧がないということは、かつて作られた霧を弾く装置があるのだろう。

 研究所のように俺の能力が使えないということはないようで、家の中が安全なのも確認できた。

 現在は誰も住んでいないようで、汚れが溜まっている。


「入ってみよう」


 誰も住んでいないのならば勝手に入っても問題は無いだろう。


 中はいくつかの部屋に分かれており、とりあえず何か手がかりは残っていないか探すことにした。

 俺の入った部屋には男物の服や、いくつかの剣があり、机の上には一枚の紙と、もう一つは手紙のようで、封がしてあった。


 紙の方には『この島の特徴について』と書かれており、まさに俺達が探していたものだ。


 そして手紙の方。誰に向けて書かれたものか、裏返してみるとそこには―――――


「そうか、この家は・・・・・・」


『俺の息子ラクリィへ』と封の裏面に書いてあった。



VRくん「結局進展のないままストーリーが進んでいくのかよ!」

VRちゃん「ラクリィの方は元々伝えないってスタンスだしね」

VRくん「フィオンは何も伝えないまま終わりにするのか?」

VRちゃん「どうでしょうね、フィオンのことだから何かしらの考えはあるのでしょうけど」

VRくん「つってももう終わるぞ」

VRちゃん「私達には成り行きを見守ることしか出来ないわ。 さて次回! 『父親が残したもの1』 お楽しみに~」

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