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ミストライフ  作者: VRクロエ
前時代の痕跡編
155/226

終戦

 エスとイウを倒し終えたレイラとサレンは足早にキャロルの元に向かって行った。

 目視できる範囲で戦闘を行ってはいなかったため、かなり後方だろうと向かっていると、キャロルの姿はすぐに見つけることが出来た。


「キャロル様!」

「2人とも終わったのですね。ご苦労様でした」

「最も楽といっていた相手でしたので。レイラは剣が折れてしまいましたが」

「剣などいくらでも替えが利くからサレンは気にしなくていい。それでキャロル様、それは・・・・・・」


 レイラは何となく予想がついていたのだが、聞かずにはいられなかった。キャロルの足元に広がる血だまりについてを。


「ヤカサスです」

「すいません・・・・・・何となく分かってはいたのですが、あまりにも衝撃的だったもので・・・・・・」


 少し前にエスとイウの身体を引き裂いて勝利という形で倒したレイラとサレン。腕や足が宙に舞うといった中々に衝撃的なものだったのだが、これはそれ以上だった。

 サレンもこの惨状について何も言わないものの、流石に若干引いていた。


「しかしこれではヤカサスを打ち取ったとレホラ軍に分からせるのは難しくないですか?」

「その心配はありませんよ。こちらがあるので」

「・・・・・・それは?」


 キャロルの手にはネックレスが握られていた。

 かなり凝った装飾で、相当価値のあるものだと分かる。


「これはレホラで新たな王が誕生した際に作られる王の証のようなものです。これが私の手にあれば、ヤカサスを打ち取ったという言葉を疑う者はいないでしょう」

「なるほど、では――――――」

「終戦です。この無意味な戦争を終わらせるとしましょう」


 キャロルは最後にヤカサスのなれの果てに視線を送ると、踵を返して今も兵士達が戦っている戦場に向け歩き出した。






 ――――――――――






 レホラが落ち着きを取り戻すのはとても早かった。

 元々キャロルはレホラ内では人気があり、キャロルが国の上に立つことを民衆が歓喜したこと。

 さらには、王都内でも高い立場にあり、五芒星に染まっていない者達からの信頼も厚く、ヤカサスが王になることに若干の不安を感じていた者達がキャロルが戻ってきたことを大いに喜んだのだ。


 キャロル自身にも、人気に答えられるほどの能力がある為、纏め上げるのに時間が掛からなかったのも納得できる話だ。


 とはいえ、キャロル自身はレホラに身を置くことは出来ない。

 不可能ではないのだが、メリユースにいる方が、肝心な時にミストライフの支援をしやすいというのが理由だった。

 一部の者達にはミストライフのこと、五芒星のことを話したので、快く納得してくれた。


 その中にミストライフのトップがフィオンだということもあるだろう。

 フィオンもレホラにいた頃は中々に人気があり、フィオンを知る人物達からはぜひ支えてあげてくれとまで言われたほどだ。


 民衆通しの蟠りがすぐに消えることはないだろうが、レイラとサレンは既にレホラでも認められているので、そこまで遠い話でもないだろう。


「ですが大きな問題があります」


 メリユースに帰ってきて数日たったある日、キャロルはレイラとサレンに、今後のことについての話をしていた。


「現状何とかなっていますが、長い目で見ると私の跡継ぎなども必要になってきます。歳を重ねる程二つの国を私が収めるのには無理が出てきますから。理想はその前にフィオン達が霧を消し去ってくれることですが、用意はしておいた方がいいでしょう」


 ミストライフならば成し遂げてくれるとキャロルも信じているが、簡単なことではないので時間が掛かることは考えておかなければいけない。

 それが国の上に立つ者としての責務でもある。


「ご結婚なされるということですか?」

「そうですねぇ・・・・・・極論を言えば結婚しなくとも跡継ぎとなる子供はほしいところです」

「それはまたキャロル様らしいと言えばそうですが・・・・・・一つ個人的な意見を言わせていただいても?」

「構いませんよ」

「出来れば相手はキャロル様が納得できる者、そして私達自身も納得できる相手にしてほしいです」

「それについては私もレイラに賛成です。キャロル様がそのようなことに身を削ることには反対です」


 キャロルは言ってしまえば、それなりの能力がある相手ならば最悪誰でもいいとまで考えていた。

 レイラとサレンはそれを見抜いたからこそ、珍しくもキャロルに個人的な感情で進言したのだ。


「なるほど・・・・・・あなた達の意見は分かりました。ですがその相手となると難しいですね。誰か候補のような者はいますか?」


 レイラとサレンは考える。キャロルの相手として納得できる者。さらには能力も高い相手となると、中々に難しいものだった。


 しばらく考えた後に、サレンが思いついたようで顔を上げる。


「ラクリィ、はどうでしょう?」

「ラクリィか、悪くないな・・・・・・」


 サレンの思い浮かんだ相手はラクリィだった。

 3人とも知った相手であり、能力も高く人柄もいい。レイラも悪くないと考えた。


「ラクリィさんですか・・・・・・確かにラクリィさんならば私も納得できます。むしろ人柄や信念などを見れば私自身も好ましいと思っているくらいです。今度ゆっくり会いに行ってみることにしましょう。最終的にはラクリィさん次第ですが」

「その時はお供します」

「アロマには申し訳ないですが、ラクリィの気持ちに任せるとしましょう」


 終戦まもなくして、知らない所でとんでもない事態に巻き込まれるラクリィだったが、本人は知る由もない。

VRくん「まさかのヒロインにフォルムチェンジだと……」

VRちゃん「色んな意味で強キャラね」

VRくん「ここまでヒロインたちと大した進展がなかったラクリィをどう攻略するのか見ものだな」

VRちゃん「ラクリィのガードは硬いわよ。 さて次回! 『解析終了』 お楽しみに~」

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