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ミストライフ  作者: VRクロエ
前時代の痕跡編
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メリユースVSレホラ2

 キャロルとレイラの元にレホラ軍が森を抜けたという報告が入っていた。

 ここからはいよいよ総力戦となるわけだが、被害状況的にはメリユースに軍配が上がっている。

 無理やり森へ進軍するレホラ軍に対して、メリユースは被害を最小限に抑えながらゆっくりと後退するという戦術を取っていたこともあり、数的にも疲労的にもその違いは出てくる。


 レホラ軍は既にその数を二割程減らしており、疲労も顕著に見えるのだが、撤退する様子は無かった。

 その辺りはヤカサスの指示なのだろう。キャロルならば何かしらの手を考えるはずなのだが、こういった所で明確な器の違いが垣間見える。


 現在は森を抜けて数キロの地点で戦闘が始まっており、指揮官であるキャロルとレイラ、それと大気を命じられていたサレンが最前線に到着したところだ。

 五芒星のメンバーはまだ出てきていないようで、兵士同士による混戦になっている。

 若干メリユース軍が押しているという状況で、キャロルたちの登場により、さらにメリユース軍の士気が上がった。


「私達が最前線に立ち多くの敵を撃破します。レイラ、サレン、頼みますよ」

「腕がなりますね」

「頑張りませんと」


 3人はそれぞれ剣を抜き、一気に戦場の最前線へ出る。

 手始めにキャロルは異能グラビティサークルにより十人ほどの兵士を纏めて戦闘不能にする。

 キャロルも前のシャクスト戦以降その力を大幅に上げていた。現在は五メートル程に効果範囲を広げることが出来、圧し潰す力なども上がっているので、抵抗する手段がない相手ならば一瞬で勝負が決まってしまう。

 不意打ちで態勢を崩してしまえばそれまでなのだ。


 その後二回目の発動は流石に抜け出してくる者が何人かいた。だが圧し潰すことだけがグラビティサークルの強みではない。

 今度は宙に強力な引力を持つ重力場を発生させると、兵士達はそれに引き寄せられる、あるいは引き寄せられないように抗う為に動きが止まる。


 そこにキャロルは魔法を放った。フィオンの魔法と同様の氷魔法だ。

 引き寄せられた兵士達はまたも抵抗出来ずに身体を貫かれていく。引き寄せられぬように踏ん張っていた者達も、力を抜こうものなら引き寄せられてしまう為結局動くことが出来ずに命を落としていった。


 キャロルにより戦場の一角に穴が開きつつある中、レイラとサレンも次々に敵を薙ぎ払っていく。


 かつて最前線で猛威を振るっていた2人。それぞれ人の上に立つ職に着いてからは戦場に出ることは殆ど無かったが、その強さがなくなった訳ではない。

 むしろフィオンに負けてからは悔しさと、いざという時の為に五芒星と戦えるようにさらなる研鑽を積んでいた。昔よりも強くなっているくらいだ。


 レイラは数人の兵士達が何度も波のように斬りかかってくるなか、涼しい顔をして次々に捌いていく。

 魔法の才にそこまで恵まれなかったレイラだが、それを覆すほどの剣の才能があり、美しいとまで言える剣さばきはまさに圧巻だった。


 サレンもまた圧倒的だった。

 自身のオリジナルであり、最も得意とする『抜刀風迅閃』を使い、ガードごと貫いて数名の兵士がまとめて散っていく。

 ネックだった発動時間の長さは既に克服しており、敵を斬りながら流れるように抜刀したと思うと、一秒程後には既に風の刃を纏った剣が引き抜かれている。

 威力の面でみれば流石に溜めたほうが高いのは間違いないが、汎用性が高まった分サレンの魔法と剣術による多彩な手札の中に組み込みやすくなったのだ。


 戦争において数は重要なことだ。数が多い程とれる戦術も戦闘の優位性もある。

 メリユースは先のクーデターにより、数の上でみればレホラに劣っていた。

 が、それはキャロルの的確な戦術と、今もなお最前線で暴れまわるキャロルを含めたたった3人により覆っている。


 勢い付いたメリユース軍は、加速度的に勝利へと歩みを進めていた。


 ここぞとばかりに戦場に致命的な穴を作るべく、サレンはより強力な抜刀風迅閃を放つ。

 地面を抉りながらレホラの兵士を吹き飛ばし、遂に戦場に穴が開く。

 だが、その勢いはようやく状況を理解して前線に出てきた男によって止められた。


「やってくれたなぁ妹よ」


 ヤカサスと2人の男女の前に見えない壁が形成されており、抜刀風迅閃はそれに阻まれて消える。


「お久しぶりです。できることなら二度とその顔を見たくありませんでしたよ」


 ヤカサスの登場を見たキャロルとレイラはサレンと合流した。


「随分と生意気になったじゃないかキャロル。レホラにいた頃は僕に何も言えずにいただけの弱者がメリユースを手中に収めた途端大きくなったなぁ!」

「私は別に変りませんよ。あの頃はあなたの愚かさに言葉が出なかっただけですので」

「・・・・・・減らず口を」


 キャロルの言葉にヤカサスは目に見えてキレていた。

 2人のやり取りを見ていたレイラとキャロルは、兄妹でここまで差が出るのかと若干呆れ気味だ。そのくらいキャロルに比べてヤカサスという男は小物に感じる。


「まあいい。生意気な妹は兄として躾けてやらないとな。ついでにメリユースも貰ってやるよ」


 ヤカサスは剣を引き抜くのと同時にキャロルに斬りかかっていった。


VRくん「ほんと、何でこんな強いキャラがこれまで活躍しなかったんだ」

VRちゃん「やっぱり重力を操れるのは反則よね」

VRくん「レイラとサレンも一般的に見ればやっぱり強いし、負ける未来がみえないな」

VRちゃん「でもここからでしょうね。ヤカサスも出て来たし」

VRくん「でも話が進むたびにヤカサスの小物感が……」

VRちゃん「言わないの。もしかしたら連れてる2人が強いかもしれないでしょ」

VRくん「んー、でもキャロルはなんも言わなかったし」

VRちゃん「あら? そこに気付くなんて中々やるじゃない。 さて次回! 『兄妹対決』 お楽しみに~」

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