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ミストライフ  作者: VRクロエ
前時代の痕跡編
151/226

メリユースVSレホラ1

 フィオン達が霧魔花に関する資料の解析を行っている頃、レホラの宣戦布告により始まった戦争はさらに規模を広げていた。


 まだどちらにも致命的な被害はなく、泥沼化しているように見える。

 だが実際にはそうではない。これでもかという規模の戦力を率いてメリユースに攻め込んだはずのレホラが、未だに王都まで勢力を広げることが出来ていないのが現状だった。


 全てはキャロルの天才的なまでの読みと戦略眼によりコントロールされた状況なのだが、ヤカサスはそれを知る由もなく、停滞していることにイライラを募らせていた。


 主な戦場となっているのは、深い森と平然が交差するような場所。レホラからメリユースに来るためには避けて通れぬところなのだが、早めに手を打ったキャロルの采配により、森の中は既にメリユース側のテリトリーと化している。

 平原側に位置しているレホラの軍は、遮蔽物が殆ど無い中で魔法などの遠距離攻撃に対処しなくてはならないので、攻勢に出るにはあまりにも厳しい状況だった。

 それでも森に魔法を放って一部を焼くなどの対処により、少しづつではあるが前に進むことが出来ていた。


 前線で指揮を取るキャロルとレイラの元に伝令の兵士が報告をしにくる。


「レホラ軍の侵攻により十三キロの後退! 被害はゼロです!」

「分かりました。さらに後方三キロの地点で迎撃態勢を敷いてください」

「了解しました!」


 キャロルの出した指示を前線に伝えるため兵士は戻っていく。


 レホラ軍が森に入ってからの行動は繰り返しになっている。今回で四度目だ。

 それでも一方的に攻撃し、交代しているメリユース軍と、不利な状況で無理やり進軍しているレホラ軍では、被害に無視できない違いが出ている。


「後三度でレホラ軍が森を抜けます。そこからは総力戦になるでしょう。レイラ、あなたも準備を」

「現在の被害状況ならば勝つことは難しくないと考えますが」

「まだ五芒星のメンバーがどれ程いるかは全く把握出来ていません。油断は出来ないでしょう」

「本当にキャロル様も前線に立たれるのですよね?」

「ええ。自惚れするつもりはありませんが、私も戦力的に還元すれば最高戦力ということになります。ここで指示を出しているだけにもいかないでしょう。安心してください、きっちりと勝ちますよ」

「そこは疑っておりませんので」


 取った作戦行動は数少ないが、レイラは改めてキャロルという人物に対して戦慄を覚えていた。

 いくらレホラの王女だからといっても考えられない程正確な相手の戦力把握。それだけではない、進行ルート、到着時刻までも正確。さらには後退する距離感に関しても完璧だといってよかった。


 レイラもそれなりに長く人の上に立ってきたが、だからこそキャロルが別格だということを嫌でも理解させられる。

 もし、戦争に裏表なく、キャロルが指揮を取るレホラと戦っていたのだとしたら、何が起きたのかも理解する余裕もなく敗北していたと確信を持って言えた。


 だが、そのキャロルがまだ安心しきっていないということは、まだ把握出来ていないという戦力が油断ならないということも同じく理解出来る。

 負けるつもりはないとキャロルは言ったが、どれだけの被害が出るかは未知数ということだ。


「レイラとサレンには敵の強者と戦ってもらうことになります。くれぐれも気を付けるように」

「お任せを。この身が砕けようと勝利してみせます」

「頼もしいですが、砕けることはないようにしてくださいね? あなた達にいなくなられては困りますから。生き残って今後も私を支えてください」

「勿体ないくらいの言葉です。ですが、そう言われてしまえば何としても生きなければなりませんね」


 レイラのキャロルに対する敬意はこれ以上ない程に大きい。崇拝していると言って良いレベルだ。

 何にそこまで惚れ込んだのか? 天才的なまでの頭脳か、人柄か、レイラ自身も分からなかった。


 キャロルもレイラのことは心から信頼している。サレンのこともだ。

 振り切った言い方をすれば、他の人材と比べて替えが利かないと思っているくらいにはだ。

 能力面で見ても、人柄を見ても2人の評価は高い。忠誠心もあり、下からの信頼も厚い。

 これほどの人材は中々いないものだ。


「ミストライフの助力は本当に必要なかったので?」

「これは国の問題ですからね。それに私にも上に立つ者としての責任がありますので。頼ってばかりでは私の能力も疑われてしまいます」

「なるほど」


 既に十分なくらい能力は示せていると考えるレイラだが、こういった部分もキャロルの魅力なのだと思った。

 兵士にも民にも愛される王女となったキャロルだが、妥協はしないのだろう。


 それでもレイラなら手を貸す為に来ただろうが、ミストライフにいるキャロルが友と呼ぶ少女は、キャロルの意図を正確に理解しているからこそここには現れない。

 そこには言葉で言い表せない程の信頼関係があった。


「羨ましいですね、本当に・・・・・・」

「自慢の友ですから」


 戦争中にも関わらず、この場には穏やかな雰囲気が流れていた。






VRくん「忘れてたけど戦争してるんだったな」

VRちゃん「最近のキャロルは出てくるたびにカリスマが上昇してる気がするわ」

VRくん「頭が良くて強くて綺麗な王女とか最強かよ」

VRちゃん「レイラとのやり取りもいいわね、信頼してる感じがするわ。 さて次回! 『メリユースVSレホラ2』 お楽しみに~」

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