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ミストライフ  作者: VRクロエ
前時代の痕跡編
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霧魔花の研究

 当初の予定にはなかったが、仲間が増えた。人間でないのは置いておいて、戦力としてもなかなか期待出来そうである。

 しかし俺達にはここでまだやることが残っている。なので一旦ここで待っていてもらおうかと思ったが、どうせなので、外に出してやることにした。


 ファブニールのタックルでも壊れなかったガラスだが、こういった物を壊すのにはコツがいるらしく、フィオンが簡単に砕いてくれた。

 建物内の廊下はギリギリ通ることが出来、何とか外に出てくる。


「ここで待っててくれるか? 少し遅くなるだろうけど」

「グァー」


 ファブニールは返事をするように鳴く。

 仲間にする時にも思ったが。かなり正確に言葉を理解しているみたいで、言ったことには返事をするし、指示にも従ってくれる。

 昔ここの人達に話しかけられて覚えたのかどうなのかは分からないが、頭は良いみたいだ。


 大人しくしていることを確認した俺は、フィオンがいる地下のもう一つの方の部屋に向かう。

 数日過ごして、研究所内に危険がないことは分かったので、きっとあの部屋にも危険なものはないだろうと、フィオンは先に向かっていた。


 恐らくは霧魔花についての研究がされていた部屋。いよいよ目的に近づく。


 中に入ってみると、蒸し暑い風が流れてきておもわず顔をしかめる。その先には様々な植物が溢れかえっていた。

 さながら楽園のよう。色鮮やかな花が並んでいて心なしか明るいように感じた。

 何処からか汲み上げてきているであろう水が水路を流れて、その音もまた心地が良い。


 フィオンはどこだろうか? 花に埋もれて奥の方まで見えないので、入ってすぐには見つからなかった。

 通路を進んでいきながら、花を眺める。以前フィオンに見せてもらった霧魔花とはどれも形が違う。ここに咲く花は普通の花なのだろう。


 部屋の中をさらに進んだ最奥に新たな扉が現れた。

 これ以上はどこにも道がないのでとりあえず入ってみると、一転景色が変わって膨大な資料の山と、見たこともない実験器具、変な色の液体等、研究所というに相応しい様子だった。


 その中でフィオンが椅子に座って資料の山を読み漁っている。


「来たかラクリィ」

「ファブニールは外で大人しくさせてある。それにしても前の部屋には驚いたな」

「そうだな・・・・・・一体どれだけの種類の花があることか。数種だが、私の知らない花もあった。現在では絶滅いている種だろうな」


 基本的に何でも知ってそうなフィオンが知らないものがあるとなると、その凄さが何となく想像出来た。


「それで、肝心なものは?」

「ああ、あったぞ。ここにある全てのものが霧魔花の研究に関することだ」


 棚一面を埋め尽くすほどの資料全てが霧魔花のことについて書かれているらしい。

 研究者ではない俺でも分かるほど、ここには苦労と執念が宿っていた。


「どのくらいかかりそうだ?」

「さあな。何せこれだけの量だ、それを丁寧に読んでいくとなると予想はつけにくい。そこでだラクリィ」

「ん?」

「一度拠点に戻ろうと思う。ファブニールが仲間になった今、背に乗って帰ればかなりの速度で帰ることが出来るはずだ。それに資料の持ち運びも楽になる。ならば数回に分けて資料を持ち帰って、落ち着いた場所で整理しようと思うんだが」

「いいんじゃないか? ファブニールは俺達の言葉を理解しているみたいだし、何とかなるだろ」

「よし、では早速準備をしよう。まずは上の階で集めた資料からだな。必要なものとそうでないものは分けてあるから直ぐだ」


 というわけで、俺とフィオンは一度上に戻り、持てるだけの資料を持ってファブニールの元へ向かった。

 俺達を乗せて帰れるか聞いてみると、問題ないというように鳴く。


 そのままでは振り落とされてしまいかねないので、フィオンがマフラーをファブニールの首に巻き、俺たち自身も背に固定されるようにする。

 感覚的には馬に付けるリードのような物だ。


 飛んでいいと合図を出すと、強烈な浮遊感と共に一気に谷の上まで昇っていく。

 あっという間に谷を抜け、さらに大空へと舞い上がった。

 拠点までの方角はフィオンが覚えているので問題ない。指示を出すと徒歩ではあり得ない速度での移動を開始した。

 かなりの速度が出ている。初めて自由に飛んだのであろうファブニールは心なしか楽しそうにしている。


「そういえば、一応少しは資料を読んだんだろ? 何か分かったか?」

「正直まだ何もだな。初めの方はコンセプトや必要になるであろう物について書かれているだけだった」


 あれだけの量となると、初めの方を読んだだけでは何も分からないみたいだ。


 それにしても、思い出すだけで花があった部屋には圧巻される。よくもまああそこまで集めたものだ。

 現在は絶滅している種まで保管されているとなると、宝の宝庫なのではないだろうか・・・・・・


 花のことを思い出していると、ふと気になることがあった。


「なんで花なんだろうな・・・・・・」

「考えられる理由はいくつかあるぞ。生き物に比べて倫理的に問題が少ない点、完成後の根付きやすさ、後は単純に遺伝子などを弄りやすかったり結果が分かりやすかったりなどだな。簡単に言えば研究の部品にしやすいからだ」

「意外と理由に深い意味はないんだな」

「あくまでも推測だから特別な理由がある可能性もあるけどな」


 それについてもいずれ分かるだろう。今はフィオンや研究班の人達に任せるしかない。


 とんでもない速度で飛んでいた為、会話が終わる頃には拠点に着いていた。


VRくん「花だったのはそういう理由か」

VRちゃん「ちなみにそのことが物語に影響してくることはないわ」

VRくん「じゃあなんで説明させたんだよ!」

VRちゃん「言っとかないと後々なんで花なの? とか聞かれたら面倒臭いじゃない」

VRくん「別に説明すりゃいいだけだろ!」

VRちゃん「いいじゃない別に、誰も損してないんだから」

VRくん「それはそうだけど……」

VRちゃん「ここからが本番なんだからくだらないことは置いておいて。 さて次回! 『ファブニールの強さ』 お楽しみに~」

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