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ミストライフ  作者: VRクロエ
王都決戦編
143/226

今、やるべきこと

唐突ですが次回から新章!

 サレンさんは、マキアさんと積もる話もあるだろうが、レホラが戦線布告してきている以上あまりゆっくりはしていられないと帰っていった。

 後日レイラさんも交えて会う約束をしていたみたいなので、落ち着き次第また来るだろう。


 それから一週間後、俺は今日フィオンと2人で捜索に出るため、外に出る準備をしていた。

 といっても、余程のことがない限りは激しい戦闘が起こることはないだろう。なので、最低限の携帯できる食料と、ミールに付与をしてもらった短剣を二本。それに加えてサギリがいれば、問題はない。


 今回行くのはメリユース領の端の方にある深い渓谷。大地の裂け目とはまた別の所だ。

 渓谷の底まで捜索するとなると、落下してもボディーミストでなんとかなる俺と、足場を作って移動できるフィオンが最適なのだ。

 落下の心配はアロマも大丈夫なのだが、今日もイルミアと捜索に出ている。

 前にヤカサスを倒した時以降、あの2人はかなり仲が良さそうだった。


 さて準備もそこそこに出発する。

 自室にいるフィオンを呼びに行き、準備は終わっていたみたいなので直ぐに外に出てきた。


 目的の場所まではメリユースの王都に立ち寄ると、食料等も補充出来ていいのだが、既に戦争は始まっている頃なので、今は出向かない方がいいだろう。


「戦争か・・・・・・前は渦中にいたのにこうして事の成り行きを見守る場所にいると、何だか落ち着かないな」

「どうした? いつになくナーバスじゃないか」

「逆にフィオンは心配じゃないのか? いくらキャロルの能力が優れているっていっても、実際にはどうなるか分からないんだぞ?」


 サレンさんの話ではキャロル自身も戦場に出ると言っていた。フィオンの口振りからしても、ヤカサスやそれに準ずる実力者には後れを取らないだろうが、戦争となると局所的に勝てても大部分で負けてしまえば意味がないのだ。


「そうだなぁ・・・・・・まずは訂正させてもらうと、私もキャロルのことが心配だし、不安もまだある。表には出していないがな」


 いつも通りに見えるフィオン、だが内面では心配しているみたいだ。その内面を圧し潰すことが出来のは、やはり心が強いからだろうか・・・・・・


「ラクリィ、お前は今私の心が強いと思ったかもしれない」


 こちらの考えを見透かして言葉を繋げるフィオン。


「だが、それは間違いだ。私は、私自身の心の強さで内面を隠しているのではない」

「ならなにで・・・・・・」

「私達のやるべきことはなんだ?」

「世界から霧を無くして無意味な戦争を終わらせる、人の住める場所を、資源を増やすことだ」

「そうだ。その為に今必要なのは、任せてくれと言った友の言葉を振り切って加勢することではない」


 キャロルはミストライフとは別行動を取るとはっきり言っていた。それは協力しないということとイコールではないが、それぞれのやるべきことは違うと、役割を分けたのだ。


「今回の宣戦布告に対してキャロルが私達の助力は要らないとわざわざ告げたのは、自分たちのやるべきことは自分たちでやる、だからお前達も自分たちのやるべきことを全うしろという意味に私は聞こえた。キャロルはきっと戦争に勝つ。心配ではあるが私はそう信じている。なのに私達がやるべきことを全うできなくては、合わせる顔がない。私の内面を表に出させないようにしている要因があるとするのならば、それは矜持だろうな」

「矜持か・・・・・・」

「そうだ。幸いなことにキャロルには今私以外にもしっかりと支えてくれる者がいる。私にもそうだ、ならば助けるのは私達でなくてもいい。今は、それぞれがやるべきことをやるだけだ」


 俺達が助力をすれば、勝つ可能性は格段に上がる。だが、勝ってもミストライフの目的には近づかない。むしろ遠回りになる可能性もある。

 キャロルからすれば、己のすべきことは真っ当出来た結果になるが、その時俺達がまだ何も成せていなのなら、何をやっていたのだと、任せてくれと言ったのにと、そう言われてもおかしくない。

 それは失態でもあり、フィオンが顔向けできないと言った理由だ。さらにはミストライフの目標はフィオンの信念でもあり、それを曲げれば矜持が欠ける。

 行動の果てについてくる結果を正しく理解しているからこそ、フィオンの中では心配を表に出させない程に他の感情があるのだ。


 リレンザと初めて話した時、私の代わりにフィオンをさせてくれと言われた。きっとリレンザはフィオンがこういう人間だと知っているからこそ俺にそう言ったのだ。


「・・・・・・悪い、変なことを聞いたな」

「いいさ。その代わり、キャロルに助力出来ない分まで私を助けてくれよ?」

「勿論だ」


 何かのきっかけでフィオンの中のある部分が逆転すればフィオンは立てなくなってしまうかもしれない。それ程に危ういと感じた。

 そうならないようにするのが俺であり、ミストライフの皆である。今はまだ、戦力以外の部分では支えられてばかりだが、いつかフィオンが弱い部分を少しでも出しても折れなくなるように、そんな存在になりたいと俺は思った。




VRくん「改めてやることを再確認した感じだな」

VRちゃん「次回から新章だからそれに向けてね」

VRくん「結局今の章では捜索も大してやってなかったしな」

VRちゃん「一応はやっていたけど、なんの成果もなかったからカットされてのよ」

VRくん「なるほど。まあ次章で進展することは分かってるし何でもいいな」

VRちゃん「次章はかなりの秘密に迫りそう。見逃せないわね。 さて次回! 『渓谷の底で』 お楽しみに~」

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