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ミストライフ  作者: VRクロエ
王都決戦編
140/226

動き出すレホラ

 現レホラの国王であるヤカサスは野心家であり、自信家だった。王族という血筋というのもあるが、それにしても増長しすぎだとも言えよう。

 基本的に視界に映るもの全てを見下して、それにより他よりも優れていると本気で思い優越感に浸っていた。

 それはアロマとイルミアに完膚なきまでに敗北したとしても変わることはなく、王となった今手の付けようがない状態へと悪化していた。


 そんなヤカサスは国内の混乱などは適当な部下に任せて、着々と戦争の準備を行っている。

 何故そこまで急いで戦争の準備などしているのかというと、メリユースの実権を現在キャロルが握っていることに起因している。


 自信家のヤカサスは、妹であるキャロルすら見下していた。

 出来の悪い妹。周りに目を向けるのは弱さの証拠だと、ヤカサスから見たキャロルはそんな評価だった。

 無論ヤカサスの評価程キャロルは弱い人間ではない。それどころか実力、頭脳共にヤカサスに比べれば余程優れていると言える。

 確かにキャロルは周りにも目をしっかりと向けている。しかしそれは、1人では出来ることの限界があるのを理解しており、周りに頼ることで得られる恩恵、そして自身の弱点も補ってくれるものだと理解してのことだった。

 ヤカサスには理解出来ない話である。


 そんなヤカサスがキャロルが実権を握るメリユースに攻めようと考えりのは、いわば必然であった。

 負けることなど微塵にも想定していない。キャロルを下して、メリユースを手に入れて二つの国の王になってやろうと考えるヤカサスは、やはり野心家だった。


 敗北したあの時よりも強くなっていることからも、その自信はやってくる。

 クーデターが起こった日、その場にフィオンが現れたことは情報を掴んでいる。

 キャロルとフィオンが繋がっているのならば、メリユースを手に入れた後、ミストライフの情報を聞き出して、アロマを手に入れるのもまたいいかもしれないなと邪悪な笑みを浮かべた。


 ヤカサスの性格だけで戦争の行方が決まるわけではないが、現状どちらが有利かなどは言うまでもない。






 ――――――――――






 まだまだ問題を抱えているメリユースを少しずつでも落ち着かせるために、多く上がっている報告書に目を通しているキャロルの元に大きな情報が入ってきた。


「キャロル様、失礼致します」

「あら? どうしましたレイラ?」

「先刻レホラから宣戦布告がなされました。今までのような小競り合いではなく、本気でこちらを落としにくるようです」


 レホラからの宣戦布告。それまでの戦争はそんなものはなく、各地で突発的な小競り合いが起こる程度だったが、わざわざ宣戦布告をしてくるということは、今回は本気だという合図でもあった。

 勿論レイラも戦争の裏側を知る人間なので、その小競り合いの意味もよく理解出来ていた。だからこそ、ここにきての宣戦布告に若干の戸惑いがあったのだ。


「はぁ・・・・・・全くあの人は本当に救いようがない」

「どうなされますか?」

「迎え撃つしかありません。五芒星のメンバーを出してくるかは分かりませんが、そうでないならば戦力的には問題ないでしょう。予想では二週間後には王都に辿り着くはずです。その前に迎え撃つ準備を」

「分かりました、指揮はお任せください!」

「それと私も出ます。恐らくヤカサスも戦場に出てくるでしょうから」

「それはいけません、と言いたいところですが・・・・・・分かりました。しかし、新たなレホラの国王が本当に出てくるでしょうか?」

「それは間違いありませんよ。あの人の性格は熟知しています、必ず出てくるでしょう。容赦なく折らせてもらいます」

「全く、恐ろしい方だ。では、レホラの王の方はよろしくお願いします」


 キャロルの自身、慢心だとすれば危険だとレイラは考えるが、キャロルの顔を見ればそんな考えは杞憂だと首を振ることになる。

 レイラとキャロルの付き合いは短い。それでもキャロルが出来ると確信を持って言ったことは、必ずその通りになってきた。

 恐ろしいまでの頭の回転の良さ。それを存分に使った分析能力は一種の異能なのではないかと錯覚させられるほど。

 それでいて慢心はせず、常に物事を考え続けている。


 高すぎると思うような能力を有していながら、民のことを想い、信頼し、引っ張ってくれる。そんなキャロルだからこそ、レイラは忠誠を誓おうと思ったのだ。


「それで、ミストライフへの報告はどうしますか?」

「報告をしないで後でフィオンに文句を言われるのも嫌ですし、情報は全て伝えてください。それと助けはいらないとも」

「いいので? ミストライフの助けがあればかなり有利になると思いますが・・・・・・」

「フィオン達にはやるべきことがあります。これ以上、国の問題に時間を使ってほしくはありません。それに、これはメリユースという国を背負うことを決めた私達のやるべきことです」

「なるほど、仰る通りで」


 キャロルの根幹にあるものは、今でもフィオンの、友の助けになりたいというものだ。

 それなのにも逆に頼っては本末転倒。勿論本当に危ない場面では頼るかもしれないが、今はその時ではない。


 クーデターの時に垣間見たラクリィとフィオンの実力。レイラも見ていたからこその提案だったが、キャロルの意志に反するのならば、即座にその考えは捨てて、自身の預かる軍部でどうにかする。そのくらいの覚悟をレイラ持っていた。


 その世界において数百年来の大きな衝突。果たしてどちらの国が最後に立っているのだろうか。

VRくん「唐突に幕間挟んだな。しかも特定キャラじゃなく」

VRちゃん「強いて言うならキャロルとヤカサスのレホラ兄妹の話ってとこね」

VRくん「一難去ってまた一難。殺伐とした世界だな」

VRちゃん「でも今回は余裕がみえるわね、さっくり勝ちそう。 さて次回! 『キャロルを信じて』 お楽しみに~」

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