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ミストライフ  作者: VRクロエ
王都決戦編
138/226

緑流亭

 拠点に帰ってきた俺とフィオンは、メリユース王都内であったことを皆に話した。

 クーデターの成功、キャロルとの再会、シェダが失踪したこと。短い期間だったが、起こっていたことはかなり濃いものだった。


 現在はキョロル主導の元、ミストライフと敵対しない国、それも一部は協力するという思想を定着させている。

 一般の市民には詳しい話はしないと思うが、例えば軍内部では味方に引き込める人材を選定して、五芒星と戦う為の部隊が編成されている。

 その他、五芒星と繋がっていそうな人物や、今後敵対する可能性がある者は公にならないように処理しているらしい。


 そうして、戦争が起きない現状も相まって、クーデターがあったというのにも関わらず王都内はかなり落ち着いた様子になっていた。

 これもキャロルの手腕によるものだろう。こういった場面では流石の能力を発揮してくれている。


 俺とフィオンは定期的に王都に行ってはキャロルやサレンさんから内情を聞いていた。

 レイラ中佐は軍部の実質的なトップという立ち位置になっているので、忙しそうにしており、中々話す機会がなかった。


 キャロルからは、王都内の要所に配置されている兵士達には既に話を通してあるから、いつでも来てくれて問題無いと言われている。

 そういう訳で、俺達は柄の間の休息とばかりにルコとミールも連れて王都にやってきた。


 今回は気難しいことは置いておいて、羽を休めるということになっている。

 メリユースが五芒星の手から離れたとはいえ、俺達がやることが終わった訳ではない。少しすれば本格的に霧魔花を作り出した場所の捜索を開始する。

 ゆっくりしている暇は恐らくなくなるので、今の内だけだ。


 俺達調査班のメンバーとルコとミールは、俺がミストライフに入る以前にアロマと来た緑流亭に足を運んだ。


「こうしてまたここに来れるなんて、最近では思ってもなかったよ」

「余計なことを考えている暇なんてあんまりなかったからな。それよりも、お前の兄達のことについてはいいのか?」

「まあ、冷たいかもしれないけどしょうがないって気持ちしかないかな。正直あの人達よりもらっくんとフィオンの方がよっぽど大事だしね」

「そうか・・・・・・確かに元からあんまり仲が良い感じじゃなかったな」

「そもそもわたしが嫌われてたからねー」


 ヤガンとルーイを殺したことについて、アロマはあんまり気にしていない様子だった。

 兄とはいえ、昔から仲が悪かったのは知っている。それに加えて敵となったのなら、仕方がないといとアロマは考えているようだ。


「それよりもサレンさんとレイラ中佐に会いたいな!」

「後で顔を出しに行くか。2人ともアロマのことは気になってたみたいだし、喜ぶんじゃないか?」

「何なら誘ってみれば良かったね。・・・・・・あ! 料理来たよ!」


 そんな話をしていると、香ばしい香りと共に料理が運ばれてきた。

 ルコとミールも景色を眺めていたのをこちらに戻し、料理を見て喜んでいる。


「前にラクリィとアロマの話を盗み聞きしている時に見ていたが、本当に旨そうだな」

「え? 何その話!? いつのこと!?」

「ラクリィがミストライフに入る少し前だな。そこでお前達2人の話を聞いて勧誘できるんじゃないかと思ったんだ」

「そんなことがあったんだ・・・・・・らっくんは知ってた?」

「いや、俺も初めて聞いた」

「言ってなかったか? まあ別に気にすることでもないだろう」


 まさかあの時見られているとは思ってもいなかった。確かに勧誘は突然のことだったが、フィオンはここでの話を聞いて俺とアロマが五芒星側の人間ではないと予め知っていたのか。


「それにしてもアロマとラクリィが羨ましいな。ミストライフに来る前はこんないい店でご飯食べてたんでしょ? 私とトアンがいたシノレフにはこんないい店なかったよー」

「タキシムにもなかった」

「わたし達だってそんなに来てた訳じゃないよ? なんなら今回が二回目だし」

「そうなの? 勿体ない。でもこれからはいつでも来れるんだよね?」

「現状キャロルが国を握っている状態だから来れるには来れるだろうな。だが、こちらにばかり現を抜かすなよ?」

「分かってるって! フィオンは心配症だなぁ」

「別に心配してる訳じゃないんだが・・・・・・まあいい、偶にはこういうのも大事だろう」


 こうしていると普段の様子が嘘のようだ。

 別に普段から緩い会話が無い訳ではないのだが、やはりどこか張り詰めたものがある。今はそれがないだけだ。


「そういえばアロマ。王になるつもりはないのか?」


 ふと思ったことを聞いてみた。

 王族であるアロマならば、今のメリユースの王になれるだろう。民衆も何も言うことはないだろうし。それにアロマが王になれば安心感もある。その性格で国をいい方向に導いてくれるという期待もある。


「んー、それに関しては全く考えてないかな。わたしは皆を引っ張っていけるような人間じゃないし」

「そんなことはないと思うが・・・・・・俺はアロマならいい王になると思うぞ?」

「そう言ってくれるのは嬉しいけど、やっぱり王になる気はないかな。らっくんやフィオンの手伝いをするくらいの方がわたしには合ってるよ」

「まあ、アロマがいてくれるのは確かに心強いな」

「ふふっ、ありがと! これからも力になるから任せて!」

「頼りにしてるよ」


 前に来た時とはメンバーも話す内容も全く違う。それでも何も知らなくて不信感を覚えていたあの時に比べたらマシだ。

 アロマも似たようなことを思ったのか、お互いに顔を見合わせて笑い合った。

VRくん「久々のほのぼの回! 緑流亭行けてよかったな」

VRちゃん「エモい場所よね」

VRくん「急に若者言葉出て来たな」

VRちゃん「いいじゃない別に、それだけ思い入れのある場所ってことよ。 さて次回! 『メリユースの方針』 お楽しみに~」

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