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ミストライフ  作者: VRクロエ
王都決戦編
133/226

再会

 王都の近くまでやってくると、音だけで中の混乱が伝わってきた。

 戦闘が行われているであろう場所からはまだ遠い為、悲鳴などは聞こえてきていないが、戸惑いの声、逃げて来たような声がチラホラと聞こえる。


「何処からいく?」

「正面だ。どの道バレるのだから隠れていても関係ない、それよりもレイラ達が見つけやすいことの方が大切だ」

「了解。俺が前を走るから魔法なんかは頼んだぞ」

「任せておけ」


 ここに着くまで、フィオンはどうして危険を冒してまで加勢しにくるのかを語ってくれはしなかった。

 だがチラッと、まだ確証がないからと言っていたので、フィオンしか知りえない、もしくは予想しえない何かがあるみたいだ。


 まあこうして来たからには、俺も全力でサレンさんとレイラ中佐の助けになろうとは思っているので、今更詳しく聞き出そうとはしない。


「霧の理、その道に剣あれ」

「復唱します。霧の理、その道に剣あれ」


 俺はサギリを引き抜き、ついでに探知の発動と霧の理で剣を三本生み出しておく。

 そのまま正面の門を走り抜ける。フィオンもしっかりと付いてきていた。


 門にいた兵士が何か叫んでいたが、気にしなくてもいいだろう。

 久々に戻ってきた王都を懐かしく感じながら、覚えている限りの最短ルートで王城を目指す。


 人を掻き分け、民家の間もその速度のまますり抜けていくと、やがて王城が近くに見えてくる。

 この辺からは一般人はおらず、クーデターを起こした側であろう兵士たちがそこかしこにいる。

 俺は髪の色もあり、それなりに顔を知られているため、こちらに気が付いた兵士達からは「なんであいつが!?」などと声が聞こえてくる。

 そして、そんな俺は向こうから見れば敵の可能性が大いにあった。ここまでは走っているだけだったが、ここからは攻撃を掻い潜りながら行くことになる。


 正面の左右から斬りかかってくる兵士に対して霧の剣で対応、空いた胴に回し蹴りを入れて無力化する。

 殺してしまえるのならば楽なのだが、サレンさん達の協力者なのならば、出来るだけ殺さずに無力化したかった。


 建物の上から魔法が飛んでくるが、即座にフィオンが消してくれる。この程度の量の魔法であれば、フィオン1人でどうにでもなる。俺は目の前の兵士に集中するだけだ。


 俺達のせいで騒ぎが大きくなる中、向かってくる兵士に対しては的確に無力化していき、それに圧倒されつつあるのか、向かってくる数が徐々に減ってきていた。


 戦闘をしながらなので若干速度は落ちており、王城まではまだ少しかかる。

 この間にも王城では激しい戦闘が起こっているのだろうか? サレンさんは前線に出ているとアロマは言っていたが、無事だろうか? 大きな怪我などが無いことを願うしかない。


「ラクリィ!」


 考え事をしながら走っていると、フィオンがこちらに手を伸ばしてきた。

 突然のことだったが、伸ばされた手を掴むと宙に浮かぶような感覚と共に、高い壁を登っていた。


「ショートカットだ」


 にやりと笑うフィオンはマフラーを巧みに異能で操り高い壁をものともせずに登っていく。ここを超えれば確かに王城までは目の前だ。


 壁を超えると今度は逆の俺がフィオンを抱えて、壁を思い切り蹴る。遠くまで飛ぶなら俺の方が距離を稼げる。

 衝撃を消すように地面に着地し、また再び走り出す。

 ここまで来ると兵士の数かかなり減っており、何かがあった時の伝令や足止め程度の役目を任されているのだろう。

 そして今まさに何かがあり、足止めをしようと向かってくるが、霧の理のみで無力化していく。

 ここに配置されている兵士は、先程の兵士達よりも実力があるのだろうが、その程度の変化では正直俺にはあまり意味がない。むしろ数が多かった先程の方が余程厄介だった。


「着くぞ!」


 そんな疲れもしない戦闘を何度か繰り返し、俺達は王城の目の前まで辿り着いた。

 王城の前には完全武装した隊長クラスが何人かと、その下に付いているだあろう多くの兵士がいた。


 その内の1人。顔を見たことがある、何処かの隊長だ。その人がこちらに気が付いて素早く動き、大剣で斬りかかってきた。

 丁度いい、こちらに気が付いてもらう為にも派手に無力化しよう。

 俺はあえて真正面から剣で受けて、巧みに力を逸らしながら剣を弾いた後、そのまま力一杯に斬りかかる。

 速度はあまり上げていない。ガード出来る速度で放った攻撃をそいつがガードするのを確認して、吹っ飛ばすように力を込めてサギリを振るった。

 当て方を誤ると、サギリの切れ味では剣を斬りそのままそいつも斬ってしまうので、細心の注意を払った一撃。

 俺に吹き飛ばされたそいつは吹き飛んだまま、兵士が集まる中に突っ込んでいった。


 突然のことに兵士達は驚いているが、即座に臨戦態勢に入り、いつでも斬りかかってきそうな状況が出来上がった。

 その兵士達を掻き分け、レイラ中佐が姿を見せる。


「誰だ!? ・・・・・・お前はラクリィか!? それにフィオンまで、何故ここにいる!」

「お久しぶりですレイラ中佐。加勢しに来ましたよ」


 レイラ中佐は俺だと分かると剣を下げるように兵士達に言う。かくいうレイラ中佐も戸惑っているようだった。

 どうしようかという空気になっていると、さらにそこに驚きの人物が姿を現した。


「・・・・・・お久しぶりですねフィオン、それにラクリィさんも」


 特徴的な緑の髪。間違いなくずっと行方が分からなかったキャロルだった。

VRくん「キャロル! 生きてたのか!」

VRちゃん「いいキャラだもの、少しの登場で死なせるには惜しいわ」

VRくん「ミストライフにも新戦力が加わったな! にしても、レイラ中佐とキャロルはどう出会ったんだろう?」

VRちゃん「その辺の話は次話ね、楽しみにしときましょ。 さて次回! 『別れた後』 お楽しみに~」

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